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ゲイ用語の基礎知識
性的嗜好
性的嗜好(sexual preference)は、人間の性的行動の対象や目的に関する、その人固有の特徴のある方向性や様式のことです。性的な対象や行動目標において特定の好みやこだわりが存在する場合、何らかの性的嗜好を持つと表現できます。
性的嗜好は、人間のあらゆる特徴や行為、行動、個人個人の好みや傾向が多様であるのと同様、本当に多様です(人の数だけ性がある、と言えるのではないでしょうか)
性的指向(性的な欲望がどの性別の人に向くか、あるいは向かないか)と性的嗜好は混同されがちですが、異なる概念で、互いに独立しています。性的指向はすべての人(異性愛者、両性愛者、同性愛者、全性愛者、無性愛者など)が持っている性的要素ですが、性的嗜好はそうではなく、特に持っていない(特徴がない)人も大勢います。
また、シスジェンダー・異性愛者で何らかの性的嗜好を持つ人も大勢います。LGBTQというのはSOGI(性的指向・性自認)に関するマイノリティのことであり、そこに性的嗜好は含まれていません。言い換えると、どんなに変わった(マイナーな)性的嗜好を持っていたとしても、その人がシスジェンダー・異性愛者であれば、性的マイノリティとは呼ばれません。
かつて、19世紀に性科学が誕生したときは、同性愛も、異性装も、様々なフェティシズム、露出症、窃視症、動物性愛などもいっしょくたで“性倒錯”と見なされていました。性行為についても、オーラルセックスやアナルセックスが“性倒錯”と見なされることがありました(違法とされ、逮捕される時代もありました)。しかし、マグヌス・ヒルシュフェルトやアルフレッド・キンゼイといった性科学者の研究や、ミシェル・フーコーの性研究、カミングアウトした精神科医たち、ストーンウォールで立ち上がった人たちなどのおかげで、同性愛は“異常”でも“病気”でもないと国際社会で認められるようになり、非犯罪化が実現し、差別禁止法や婚姻平等などの権利回復につながっていきました。
そうした過程で、性的指向と性的嗜好が区別されるようになりました。性的嗜好についても、“性倒錯”だとか“変態”だと見るのではなく、当人や周囲の人にとって害があるかどうかという点だけで判断されるようになっていきました。
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