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新宿バルト9で映画祭が開幕!

7月9日、第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が新宿バルト9で幕を明けました。金曜の夜、満員の観客たちがいっしょに映画を楽しみ、拍手を贈り、トークを楽しみました。初日レポートをお届けします!

新宿バルト9で映画祭が開幕!


代表の宮沢英樹さん(左)と、
スタッフの小関さん(右)
 7月9日金曜日、新宿バルト9最上階のフロアには、第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の受付カウンターが設けられ、『告白』や『トイ・ストーリー3』を観に来た人たちにまじって、ゲイやレズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー、そしてゲイフレンドリーなストレートの人たちがたくさん集まり、にぎやかでした。


『大変!息子がゲイなんて!』の監督
(真ん中)とプロデューサー(右)
 18:30過ぎ、いよいよ映画祭がスタート。オープニングには代表の宮沢英樹さんが登場し、「みなさんの楽しんでいただける様子を楽しみに、僕らもがんばっています」とごあいさつしました。
 続いて、ニューヨーク・インディペンデント映画祭観客賞やトリノGLBT映画祭観客賞を受賞しているコメディ映画『大変!息子がゲイなんて!』が上映されました。ゲイの息子というよりもカミングアウトを受けた両親が主役で、最後にはホロリとさせられ、大きな拍手が沸き起こりました。
 終演後、エフゲニー・アフィネフスキー監督とプロデューサーのスヴェトラナ・アヌフリエヴァさんが登場し、トークセッションが行われました。お二人は、「こんな大きな会場でたくさんの方に観ていただけるなんて…」「スタッフの方のホスピタリティ(気配り)が素晴らしい」と感激していました。
 

中村うさぎさん(左)と
MCのマーガレットさん(右)
 続いて21:00から、満員御礼で『シングルマン』の上映がスタートしました。
 サスペンスタッチな美しい映像と音楽に酔いしれた観客からは、やはり拍手が贈られました。
 上映終了後、MCのマーガレットさんとゲストの中村うさぎさんが登場し、『シングルマン』についてトークを繰り広げました。
 お二人とも『シングルマン』を観るのは初めてで、その場で感想を語っていたため、臨場感たっぷりで、「そうそう、そうだよね」という感じで、まるで友達どうしの会話のように楽しく共感できるトークでした。

 今回、パンフレットの配布が遅かったり、公式イベント『グランバル』が中止になったりと、様々ありましたが、上映作品は本当に素晴らしく(そこが大事ですよね)、いつも通りの華やかで素敵な初日となりました。
 ボランティア・スタッフの方たちに拍手!です。
 
 第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は10日、11日の夜にバルト9でレズビアン作品が上映され、来週15日からは青山のスパイラルに会場を移して開催されます。
 今回バルト9に来られなかった方もぜひ、スパイラルの方にお出かけください。


上映作品レビュー

『大変!息子がゲイなんて!』
 楽しく笑って見れるコメディ映画で、最後にはホロリとさせられます。
 こういう映画って今まではゲイの息子をフィーチャーするのが王道でしたが、この作品は両親が主役、というところが新しく、また「泣かせ」のポイントでもあります。カミングアウトされた親たちは、最初は落ち込んだり、とんちんかんな反応を繰り広げたりしていますが(そこが笑えます)、親が子を思う気持ちは揺るがないという一点で、次第に変わっていくのです。かわいくて、頼もしい、愛すべきファミリーの映画です。
ちょっと「USA版寅さん」みたいなノリかもしれません。
 キャストとして、ゲイの息子の恋人役にジェイ・ロドリゲス(『クィア・アイ』でダサ男を改造するゲイ・ファイブの1人。本業は舞台俳優で、最も有名なのは『RENT』のエンジェル役です)、伯父のマックス役にブルース・ヴィランキ(オープンリー・ゲイの脚本家/タレント。アカデミー賞やエミー賞などのショー・プログラムの ライターとしても有名です)が登場しているのも見どころです。

次の上映:7月16日(金)21:15〜 @青山スパイラルホール


『シングルマン』
 トム・フォードの美学とゲイテイストがこれでもかと詰まった映画に、身悶えするほど脳内麻薬が出まくりました。これぞゲイ映画。素晴らしくゲイ映画でした。
 とにかく、すさまじく映像が美しいです。どのカットを取っても即、宣伝用のスチール写真に使えます。全編ファッション広告といった趣です。
 しかし、それでいて、単なる「お耽美」映画でもないのです。ヘタなポルノ映画よりぜんぜんエロティック。ヘタなドラマよりぜんぜんドラマティック。そしてヘタな文芸映画よりぜんぜん文学的です(原作は有名な小説家クリストファー・イシャーウッドです)
 まるで高級なレストランで本当に美味しいものを食べたときのような、満ち足りた幸福感。「これで明日からまた元気に生きていける」…そう思えます。
 『シングルマン』はきっと、『ヴェニスに死す』や『ファスビンダーの「ケレル」』、『ブロークバック・マウンテン』などと比較され、賞揚されるようなゲイ映画の古典となるでしょう。間違いありません。

次の上映:10月2日より全国ロードショー公開(配給:GAGA)

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