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レポート:RAINBOW FESTA! 2014
10月11日(土)、大阪の扇町公園でRAINBOW FESTA! 2014が開催されました。天気にも恵まれ、絶好のイベント日和となったこの日、多くの方たちが晴れやかにお祭りを楽しみました。

2006年に「御堂筋を虹色に!」とスタートした関西レインボーパレード(通称「関パレ」)が昨年、「PLuS+」の感動が忘れられない…と、会場を堂山近くの扇町公園に移し、広場でのお祭りとパレードを組み合わせた「RAINBOW FESTA!」として生まれ変わりました。今年は、昨年よりもさらに充実した内容となり、より多くの人たちの参加を得て盛り上がりを見せ、とてもいいイベントになりました。レポートをお届けします。(後藤純一)

虹組ファイツのみなさん

淀川区・榊区長(右)と
都島区・田畑区長(左)

駐大阪・神戸アメリカ総領事館
アダム・ベンツ副領事(左は通訳の方)

NSM=のみなさん

手話教室L*Signのみなさん

新井祥さん(右)と
麻倉ケイトさん(左)

南和行さん&吉田昌史さん in
レインボーファッションショー

アポテケの方はシークレットで
登場。少し歌ってくれました。

カラフルミックスバンド

「平等結婚式」で式を挙げた
ゲイカップル

末永くお幸せに!

「新虹」によるエイサー演舞
11時、スタッフの方の宣言とともに「RAINBOW FESTA! 2014」がスタート。ステージパフォーマンスのトップバッターは、ゲイシーンでおなじみのアイドルグループ・虹組ファイツ。東海、近畿、九州など西日本のメンバー(今回初参加な新人さんもいれば、今回で卒業という方も)が出演し、明るく元気のいい歌とダンスで盛り上げてくれました。
それから、ゲストの方によるスピーチが行われました。まず、文面は読み上げられなかったのですが、大阪府知事や大阪市長をはじめ、堺市長、岸和田市長、東大阪市長、枚方市長…などの方々からお祝いのメッセージが届いていることが紹介されました(公式サイトでご覧いただけます)
そして昨年、LGBT支援宣言で注目を集め、電話相談やコミュニティスペースのオープンなど、めざましい活動を展開する淀川区の榊区長が、都島区の田畑区長とともに登壇。「来年は、淀川区・都島区・阿倍野区の3区で、区内の学校の先生にLGBTについてのテキストを配布することを目指す。また、レズビアンやゲイカップルも子育てできるように、里親制度の見直しに取り組みたい。時間がかかるかもしれないが、仲間を作っていくことが大事。大阪から社会を変えていこう」と語りました。
続いて、駐大阪・神戸アメリカ総領事館のアダム・ベンツ副領事が登壇。アダムさんはこの5月からパートナーのホルヘさんとともに来日した、オープンリー・ゲイの副領事です。「私はアイオワ出身で、地元にいたときはカミングアウトできなかったが、ニュージャージーの大学に行き、初めてゲイだということを肯定することができ、周囲にもカミングアウトした。両親も、私が幸せそうなのを見て、受け入れてくれた。外交官も、リネハンさんのような方のおかげで変わった。日本が私のパートナーを認めて同伴できたのがうれしい」と自身のことを語り、「この場に来るのは、とても勇敢なこと。みなさんは特別なパイオニアです」と、会場の方たちに賛辞を贈ってくれました。
素晴らしいスピーチの余韻にひたる間もなく、NSM=(名古屋で活躍するセクシュアルマイノリティアイドルグループ。イコールは平等への願いを込めてつけられたそうです)のパフォーマンスがスタート。48のヒット曲を次々に披露し(個人的には「RIVER」をやってくれて感激!)、「心のプラカード」では手描きのプラカードを掲げ、会場の方もいっしょに踊ったりして、楽しく、また感動的な時間になりました。
続いて、手話教室L*Signのみなさんが登場。2014年を代表するあの歌を、手話でお届け。センターの方が女装姿だったのですが、まさにあの歌と同じドレスで、しかも途中で変身!という素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、喝采を浴びていました。
それから、『性別がない!』の著者としても有名な新井祥さんが登場。ニューハーフ花嫁モデル・麻倉ケイトさんとのトークを繰り広げました。
レインボーファッションショーでは、南和行さん&吉田昌史さんの弁護士カップルや、杉山文野さん、昨年のRainbow Festa!のテーマソングを作ってくれたアポテケの方など、LGBTシーンで活躍するさまざまな方が、ファッショナブルないでたちで登場。通常のゲストスピーチではなく、ファッションショーという形でそういう方たちをご紹介したのが、オシャレで素敵だなあと思いました。
そして、昨年に続き、セクシュアリティも楽器もさまざまなカラフルミックスバンドがライブを行いました。誰もが知ってるような親しみやすい曲で、とてもほのぼのするような、あたたかい演奏でした。
13時過ぎ、関パレとしては初めての平等結婚式(同性結婚式ですが、Marriage Equalityの実現を、という意味で「平等結婚」なんだと思います)が行われ、1組のゲイカップルが式に臨みました。お二人はもともとゲイのバレーサークルで知り合い、おつきあいは2年くらい。こういう機会でもないと式を挙げられないということで、出ることにしたそうです。牧師の川江友二さんの言葉がよかったです。牧師さんはたぶん、事前にお二人のストーリーを聞いていたのでしょう、「紆余曲折があったそうですが」と語り、「神の采配で導かれた二人が、互いに愛しあい、生きていくことができますように。祝福してください」と。さらに「異性愛主義を乗り越えて」という言葉もありました。なかなか言えないことです。指輪の交換、「誓います」の宣誓、キス。式に感動した人たちが、あちこちで涙を拭う光景が見られました。
それから、パレードを歩く人たちを鼓舞するかのように、さまざまなイベントで活躍する「新虹(あらぬーじ)」によるエイサー演舞が披露されました。やはり関西のメンバーを中心に、数曲を披露し、最後には、お客さんもいっしょになって「カチャーシー」を踊りました。








パレードは、昨年よりもコースが延びて、ついに堂山を回ることになりました。扇町公園から天神橋筋に出て北上し、天六の交差点を左折して都島通に入り、しばらく歩いて、堂山に出るみなさんが必ず通るあの交差点を左折し、御堂筋へ。TSUTAYAの前を通って、曽根崎東交差点を左折、東急インの前を通って、神山町から扇町公園へ、というコースでした。
フロートは今回、PRフロート(街行く人たちにアピールしたい人向け)、DJフロート(音楽を楽しみながら歩きたい人向け)、メッセージフロート(事前にTwitterなどで募集したメッセージを載せて行進。撮影禁止ゾーンも)という3つになっていました。先頭のPRフロートは、結婚式の白いタキシードを着た方が元気にコールしたり、「BEARS TOKYO」のTシャツを着たガチムチ集団が「Y〜MCA♪」とかいっしょに踊ってたり、ノリよく盛り上がっていました。おそろいのピンクのプラカードは、パリで行われたアンチ同性婚デモへのカウンターだそう(仲パレの方たちも参加していたそうです)。DJフロートは、アポテケの方が歌ってくださったりもして、楽しく、オシャレに盛り上がっていました。
沿道を歩きながら写真を撮ってると、初老の男性に「これは何なん?」と聞かれたり、また、御堂筋辺りでは、居酒屋の兄ちゃんたちが出てきて「ちゃんと警察が先導してるんやな」と感心しながら写メを撮っていたりと、いろんな反応が見られました。最後の方で、集団で手を振ってくれる女性たち(どこかの会社の人たち?)もいて、元気をもらえました。
ゲイと思しき男性の方も(去年よりも堂山で呑んでるような方たちが増えて、よかったです)、女性の方も、どちらかわからない方も、アライの方も、お子さんも、外国人の方も、いろんな方が笑顔で「陽のあたる大通り」を歩く様は、何度見ても素敵で、パレードっていいなあと思えるのでした。
15時頃、パレードの一行が会場の扇町公園に帰ってくると、エイサーのお出迎え演舞が行われており、また「おかえりなさい」と拍手を贈ってくれる方たちが両サイドにたくさん並んでいて…感激しました。

虹色ダイバーシティとJAMMIN

ホテルグランヴィア京都

Out Asia Travelほか

堂山ゲイバー合同ブース

LGBTの家族と友人をつなぐ会

メンミク
まず、「淀川区の奇跡」に貢献したNPO法人 虹色ダイバーシティ。代表の村木真紀さんはもちろん、チャリティTシャツを制作したJAMMINの方もいらしていました。
それから、IGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行連盟)のプラカードを掲げた一群、ホテルグランヴィア京都、京都東急ホテル、株式会社京都トラベラーズイン、グランデコリゾート、吉田山荘、Out Asia Travelのブースも目立っていました。春光院とのコラボで仏式の同性結婚式を企画したホテルグランヴィア京都は今回、なんと、京都の小川珈琲とのコラボで、この日のために、オリジナルの「レインボー八つ橋」を作って販売してくれました。その気持ちがうれしい。素晴らしいです。
奥の方では、淀川区や都島区の職員さんがボランティアでブースを出し、食べ物や飲み物を売っていました。友達がわざわざ「あそこのブースで区長さんがブースに立って、自分で売ってるんだよ」と教えてくれたように、スゴい!と感じた方は多かったようです。
それから、今回初めて、堂山のゲイバー10店舗が合同でブースを出店し、スポーツドリンク(ありがたい)やコーラなどを売っていました。これは、札幌パレードで活躍していた「DUNGAREE」のマスター・秀樹さんが、昨年のパレードの様子を見て、「堂山に呑みに来ているようなゲイがとても少ない」と残念に感じ、お友達の「楽都」のマスターなどに声をかけて実行委員会に提案したんだそうです。土曜日の午前中からお店の方が出てくるってけっこう大変だと思いますが、みなさん笑顔で接客してくれて…素晴らしかったです(秀樹さんはフィナーレのバルーンリリースを見て、「札幌の亡くなった友達のことを思い出して…」と涙を拭っていました)
ほかにも「LGBTの家族と友人をつなぐ会」、LGBT向けのウェディングをサポートする「glitter」、おなじみの「メンミク」、文房具メーカーの「CASSAROS」などがブース出店していました。

太田裕哥さん×Amiさん×Akiさん

虹組ファイツ×NSM=

「陽のあたる坂道で」を合唱

フィナーレ!
そして、今回のパレード参加者は801名でした(参加登録はないので実数だと思います)と発表され、最後に、レインボーの風船を一斉に空に放ち、美しくも感動的なフィナーレを迎えました。
本当にハッピーで、盛りだくさんで、とてもいいパレードでした。小さな奇跡、大きな歓びがあちこちで見られました。スタッフのみなさん(若い方ばかりでした)、本当におつかれさまでした。ありがとうございました。
会場に来られた方も、今回は残念ながら来られなかった方も、来年ぜひ、笑顔でお会いしましょう。
INDEX
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