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特集:2015年の年初を飾るゲイ映画
『チョコレートドーナツ』や『トム・アット・ザ・ファーム』、『不機嫌なママにメルシィ!』などが上映された昨年は、ゲイ映画の当たり年だったと思います。2015年はいったいどんなゲイ映画にめぐり会えるでしょうか。1月の映画情報をお届けします。

2月のアカデミー賞に向けてアメリカの映画賞レースが活気づく1月。1月12日にはゴールデングローブ賞が発表され、ゲイにも大人気の『ベイマックス』をおさえて『ヒックとドラゴン2』がアニメ映画賞を受賞しました。『ヒックとドラゴン』はドラゴンという異族(化け物)と人間の共生をテーマにした感動作で、あのDreamWorksが製作しています。あまり知られていませんが、監督のディーン・デュボアはオープンリー・ゲイの方で、『ヒックとドラゴン2』では主要なキャラクターの一人がゲイであることをカミングアウトしたりもします。今のところ日本での公開の予定はないようですが、ゴールデングローブ賞受賞を機に、きっと配給が決まると思います。楽しみに待ちましょう。
さて、日本でもこの1月、何本かゲイに関する映画を観ることができます。まとめてご紹介したいと思います。
アンコール上映『すべすべの秘法』+『家族コンプリート』

『すべすべの秘法』
「今泉浩一は1990年よりピンク映画俳優としてキャリアをスタートさせ、並行して1999年よりインディペンデントで一貫してゲイ映画を撮り続けている。セクシュアルマイノリティの映像作家が極端に少ない日本において、かつドラマ性のある映像作品を継続的に制作している作家、という点で非常に特異な存在である。ごく小規模な製作チームながらその作品は国内よりもむしろ海外で高く評価され、過去の作品はベルリン国際映画祭を初めとする数多くの映画祭に招待され、各国で上映を重ねてきた。国内での上映機会が非常に限られる今泉作品の、1年ぶりの再上映企画となる」(公式サイトより)
『家族コンプリート』は、とんでもなく面白いポルノ映画です。素晴らしくエロティックで(特にGMPD好きな方には鼻血モノです)、それでいてサ○エさんをパロディにした家族批評でもあります。
『すべすべの秘法』は、『初戀』のみずみずしさ(若いゲイたちの初々しさ)と、『家族コンプリート』のエロティシズムがバランスよく両方込められたような、愛おしい作品です。主役の方のピュアでやんちゃな魅力のトリコになる方、続出だと思います。
昨年2月の『すべすべの秘法』上映時は、あいにくの大雪に見舞われ、ご覧になれなかった方もいらしたようです。今回はぜひリベンジを。そして上映後のトークショーもお楽しみいただければと思います。
アンコール上映『すべすべの秘法』+『家族コンプリート』
日程:1月16日(金)〜20日(火)
会場:渋谷アップリンク
料金:一般¥1,800、UPLINK会員¥1,600
上映スケジュール:
●1月16日(金)
21:00~『すべすべの秘法』
●1月17日(土)
15:30~『すべすべの秘法』(上映後トークショー:マーガレット、今泉浩一)
21:00~『家族コンプリート』
●1月18日(日)
15:30~『家族コンプリート』(上映後トークショー:田亀源五郎、田口弘樹、今泉浩一)
21:00~『すべすべの秘法』
●1月19日(月)21:00~『すべすべの秘法』
●1月20日(火)21:00~『すべすべの秘法』
ITECHO 凍蝶圖鑑


冒頭、「凍蝶の己が魂追うて飛ぶ」という句(高浜虚子の俳句)が映し出されます。凍蝶とは冬の蝶のことで、冬の蝶と言えばじっとして動かないと思われがちですが、それが、自らの魂を追いかけるがごとく、命懸けで飛んでいるというのですから、美しくも凄まじい情景です。(言うまでもなく、それは映画に登場するクィアな人々の生き様に重ね合わされます)
それから、大黒堂ミロさん(『薔薇族』に漫画を連載していた方。大阪で「MIX ROOM」というお店もやっていました)が登場し、新世界のディープなハッテン場を紹介しつつ(新世界に興味がある方にとっては、とても面白い内容です)、複雑な家庭だったせいで中学からこの街に出てきていて…と、生い立ちを語りはじめます。やがてカメラは、ミロさん主催の川原(淀川の河川敷?)でのBBQのシーンに移ります。ゲイの弟といっしょに来たお姉さんが「この子を(彼氏と)結婚さしてやりたいねん」と笑顔で語ったり、ヌーディストでありMである女性が「(彼に出会えなかったら)きっと私死んでたわ」と語ったりするシーンにグッときます。ちょっと泣きそうになります。
続いて、フェティッシュアートの画家、顔に生まれつき障がいがあるMTFトランスジェンダーの方、シモーヌ深雪さん、ラバーフェチが高じてのゴムアート制作を始めたバイの男性(語りがカッコよかったです)、ウェット&メッシー(濡れたり汚されたり)フェチの女性、彫り師の男性(ガチムチ系。セクシーでした)、女性の緊縛師、トランスジェンダーで薬物中毒の方へのカウンセリングを行っている方など、実にさまざまな方が登場します。
そして最後が、ミロさんのお店のシーン。祝福感があって、本当にあったかくて、ジーンときました。
この作品は大阪を舞台にしているのですが、そこもリアルでよかったです。東京ではこうはいかないんじゃないか、大阪の人たちだからこそ、どんな人でも見捨てずに受け入れる(包摂する)んじゃないかと思わせます。
それから、もし予告編などを見て、同性愛とか性同一性障害のことをこんな「ヘンタイ」の人たちといっしょに扱うなんて…と感じた方がいたとしたら、そういう人にこそ観てほしいと思います。世界は決してレズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、バイセクシュアル、ストレート(シスジェンダー)というように区切られているわけではなく、もっともっと多様で複雑で雑多で奥が深いありようなんだと気づかされます。
2014年/日本/監督:田中幸夫/出演:大黒堂ミロ、東學、あずみ、谷敦志、シモーヌ深雪ほか/配給:風楽創作事務所/新宿武蔵野館でレイトショー公開中
アムネスティ・フィルム・フェスティバル
アムネスティ・インターナショナルは世界最大の国際人権団体であり、パレードや映画祭にもたびたび協賛してくれていますが、2年に1度、アムネスティ・フィルム・フェスティバルを開催しています。
「世界には、ともすれば私たちが忘れてしまいがちな不条理に光をあてる映画が数多くあります。アムネスティ・フィルム・フェスティバル(アムネスティ映画祭)は、異なる文化や背景を持つ制作者がさまざまな思いで作り上げたフィクションやドキュメンタリーを通して、世界で何が起きているのか、人間の尊厳とは何か、を皆さまと一緒に考えていくことを目指しています」(公式サイトより)


過去には『ハーヴェイ・ミルク』や『刑法175条』を上映してきたアムネスティ・フィルム・フェスティバルですが、今回は『Call Me Kuchu ウガンダで、生きる』が上映されます。
『Call Me Kuchu ウガンダで、生きる』は、同性愛行為の最高刑を死刑とする法案が提出されたウガンダで、法案の成立を阻むため、また性的少数者の権利を求めて闘い続けたデイビッドとその周囲の人びとを描いた衝撃作。2013年5月にIDAHO(やっぱ愛ダホ!)関連イベントとして初上映されて以降、関西クィア映画祭など、全国各地で上映されてきました。
まだご覧になっていない方も多いと思いますので、ぜひ。ヤクルトホールのようなゴージャスな劇場で観る機会はそうそうないと思います。1月24日(土)13:30開映です。
終映後、15:20からは「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」共同代表、遠藤まめたさんによる「多様な性があたりまえの社会へ」というトークショーも予定されています。
<ストーリー>
”クチュ"とは、ウガンダでは"オカマ"や"ヘンタイ"を意味する。同国で初めてゲイであることを公言したデイビッド・カトーは、ウガンダ中の"クチュ”−−LGBTIの人びとの権利のために奔走していた。そんな中、2009年に反同性愛法が提案された。成立すれば同性愛者は死刑。わずかな支援者や仲間たちと共に、法案に反対し、"クチュ"が安心して暮らせる社会を求めて彼は闘い続けた。しかし、地元新聞に彼らの実名や顔写真、住所が掲載され始める。デイビッドは「私たちはここにいる」とLGBTIの権利を訴えるが…」
なお、アムネスティ・フィルム・フェスティバルではほかにも、中国を代表する現代芸術家アイ・ウェイウェイのドキュメンタリー『アイ・ウェイウェイは謝らない』や、大阪朝鮮高級学校ラグビー部が差別や困難を乗り越えて全国制覇をめざす『60万回のトライ』といった作品も上映されますので、興味のある方はご覧ください。
INDEX
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