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特集:第27回レインボー・リール東京

第27回レインボー・リール東京が7⽉7⽇(土)~8日(日)と13日(金)〜16⽇(月祝)の2週にわたり、東京ウィメンズプラザとスパイラルホールの2会場で開催されます。今年も、この映画祭でしか観られないであろう貴重な作品がいろいろ上映されます。 

特集:第27回レインボー・リール東京

今年のレインボー・リール東京(旧:東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のプログラムが発表されました。7⽉7⽇(土)~8日(日)@東京ウィメンズプラザ、13日(金)〜16⽇(月祝)@スパイラルホールと、2週にわたり、2会場で開催されますが、今年も日本初公開で、この映画祭でしか観られないであろう貴重な作品が多数、上映されます。7月14日(土)から海の日までの3連休は、ゲイイベントがいちばん熱く盛り上がる時期でもありますが、地方の方などもぜひ、東京に遊びに来られた際は、映画祭にも足を運んでみてください。(後藤純一)

 

第27回レインボー・リール東京 概要

 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は1992年に中野の小さな会議室でスタートし、1996年からは現在の表参道・スパイラルホールで開催されるようになりました。毎年多くのファンの方に愛され、観客動員数はのべ10万人を突破し、LGBTだけでなく一般の映画ファンなどからも高い支持を集めています。今年もめでたく第27回が開催され、ゲイコミュニティのイベントととしての最長記録を更新します。
 そんな東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が一昨年、25回という節目に際し、名称を「レインボー・リール東京」と改め、華やかな催しも行われました(レポートはこちら
 今年も、7月の海の日を含む3連休を中心に、大勢のゲイの方、レズビアンの方、いろんな方が集まって、映画をいっしょに観て笑ったり泣いたり(拍手が起こったり)、トークイベントを楽しんだり、ホワイエでブースを見て回ったり、冷たいドリンクを飲んだり(フリーです)、時にはステキな出会いもあったり(?)することでしょう。表参道のオシャレな会場で、リラックスした素敵な休日を過ごすことができます。

 なお、今年の映画祭にはテーマカラーがあります。赤だそうです。
「レインボーフラッグの赤には「生命」という意味が与えられているそうです。生命に満ちあふれた赤か、悶々とした思いにゆらぐ赤か。その赤1色であっても一人一人その色はゆらぎ、同じ赤はありません。LGBTの4文字の合間やレインボーフラッグの6色の中にひろがる世界は広大です。今年もその合間を少しだけ埋める興味深い作品をたくさん集めました。私たちの映画祭は、セクシュアリティの垣根を超えてみんなで一緒に映画を楽しめる場所です。そんな場所で、様々に生きる隣人との合間を少しだけ縮めてみませんか」(代表 宮沢英樹さんのことば)
 
第27回 レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)
2018年7月7日(土)〜8日(日)@東京ウィメンズプラザ
2018年7月13日(金)〜16日(月祝)@スパイラルホール
チケット:1回券(日時指定)前売1,400円 当日1,700円、スパイラル4回券5,200円、フェスティバルパス引換券(限定100枚)前売13,000円 当日15,000円(チケットの詳細はこちら
主催:レインボー・リール東京運営委員会、NPO法人レインボー・リール東京


 

今年のオススメ作品


 レインボー・リール東京では、海外の映画祭で話題になったようなセクシュアルマイノリティ(クィア)をフィーチャーした珠玉のドラマやドキュメンタリーを厳選して上映されます。ほとんどが日本初上映で、この映画祭でしか観ることができない名作・感動作にたくさん出会えます。
 今年も、上映される作品のうち15作品が日本初上映(プレミア)で、2017年に世界各国の映画祭で数多くの賞を受賞した
『ゴッズ・オウン・カントリー (原題God’s Own Country)』や、本国で物議を醸して上映中止に追い込まれた『傷 (原題 The Wound)』といった貴重な作品が上映されます。
 今年の上映プログラムの特徴は、複合的なテーマの作品が多いことです。家族との関係、伝統文化との軋轢、女性たちの葛藤など、現在の社会の中で生きるセクシュアル・マイノリティの姿が反映された作品は、現在の世相を反映していると言えるのではないでしょうか。
 ぜひレインボー・リール東京で、セクシュアルマイノリティを取り巻く環境の「今」を感じてください!
(公式サイトで上映作品およびスケジュールをご確認ください)

 なお、これは20年以上、映画祭に通い、たくさんの作品を観てきたからこそ言える真実ですが、プログラムの紹介文を読んで、写真を観て、そんなにピンとこなかった作品が、ずっと胸に残るような素晴らしい名作だったり(例えば2012年の『ウィークエンド』や、昨年の『17歳にもなると』がそうでした)、逆もまたしかりだったり、実際に観てみないとわからないところがあります(アプリでメールのやりとりをした後、初めて会う場面に似てるかもしれないですね。そういう意味では映画もまた「出会い」です)
 今年のレインボー・リール東京ではどんな「出会い」があるか、楽しみです。
 
 以下、オススメ作品をご紹介していきます。
(W:東京ウィメンズプラザホール、S:スパイラルホール)
 

ゴッズ・オウン・カントリー
7/13 20:00~ S ★イベント
7/15 18:50~ S

 ジョニーは老いた祖母と病気の父に代わり、ヨークシャーにある家族の牧場を営んでいる。日々の孤独な労働を酒と行きずりのセックスで癒やすジョニーのもとに、ルーマニア人移民のゲオルゲが羊の出産シーズンを手伝いにやってくる。初めはゲオルゲを受け入れないジョニーだったが、隔絶された荒野で共に働くうちに次第に心を開いていく…。
 大自然のなかで孤独な二人の男たちが互いを求め合う様は、英国の『ブロークバック・マウンテン』とも言うべきかどうかはわかりませんが、この『ゴッズ・オウン・カントリー』は、英国インディペンデント映画賞、テディ賞(ベルリン国際映画祭で最も優れたクィア映画作品に贈られる章)をはじめ、世界中の映画祭でアワードに輝いた作品、いわば2017年のベストゲイ映画です。スパイラルホールでのオープニング作品(イベントがあります)にもなっています。お見逃しなく!

ゴッズ・オウン・カントリー
監督:フランシス・リー
2017|イギリス|104分|英語、ルーマニア語 ※日本語字幕つき
日本初上映



7/14 18:25~ S
7/15 16:35~ S

 南アフリカのコサ人男性の間で成人儀礼として伝わる「割礼」。毎年、10代の少年たちが山奥のキャンプにこもって割礼を受け、先輩の若者たちから大人の男としての規律を学ぶ。工場労働者のコサニはヨハネスブルクから来た少年クワンダの教育係になるが、隠していた秘密をクワンダに知られてしまい…。
 第90回アカデミー賞外国語映画部門・南アフリカ代表作品。その内容が過激と判断され、南アフリカ共和国のメインストリームの映画館で上映中止に追い込まれたという「問題作」です。


監督:ジョン・トレンゴーヴ
2017年|南アフリカ、ドイツ、オランダ、フランス|88分|コサ語 ※日本語字幕つき
日本初上映


アフター・ルイ
7/7 14:15~ W
7/14 11:20~ S

 エイズで亡くなっていくゲイたちを見殺しにしていた政府に対してラディカルな抗議活動を行った「ACT UP」。そのメンバーとしてかつて、精力的に活動し、エイズ禍の時代を生き抜いたアーティストのサム。自分だけが生き残ってしまったという罪悪感をも抱えた彼は、新作の制作に目もくれず、親友の死をモチーフにしたビデオ制作に没頭している。自由奔放に生きる現代のゲイを苦々しく感じているサムだが、ある夜、魅力的な青年とバーで出会い、彼との関係にのめり込んでいく…。
 多くの観客の涙を誘った名作『チョコレートドーナツ』の名優、アラン・カミングが「中年の危機」に見舞われたゲイを熱演した作品です。


アフター・ルイ
監督:ヴィンセント・ガグリオストロ

2017|アメリカ|100分|英語
 ※日本語字幕つき
日本初上映


移ろう季節の中で
7/14 20:40~ S
7/16 11:30~ S

 夫と別居し、女手一つで高校生の息子スヒョンを育てるミギョン。数年後、兵役を終えたスヒョンは、親友ヨンジュンとの旅行中に交通事故に遭い、植物状態になってしまう。罪の意識を抱えながら献身的にスヒョンの看病をするヨンジュン。やがてミギョンは、二人の秘められた関係に気づく…。
 韓国のベテラン女優ペ・ジョンオクと端正なルックスで人気を集める若手俳優イ・ウォングンの繊細な演技が光る作品。2016年釜山国際映画祭出品作。

移ろう季節の中で
監督:イ・ドンウン
2016|韓国|115分|韓国語 ※日本語字幕つき
日本初上映


アリフ、ザ・プリン(セ)ス
7/7 12:05~ W
7/15 14:10~ S

 都会で働く美容師のアリフは、女性になることを望むトランスジェンダー。しかし田舎の父からは原住民族の族長として後を継ぐように言われている。アリフの親友でレズビアンのペイチェンは、友情とは異なる感情をアリフに抱き始めるが、アリフは妻のいる公務員、クリスに惹かれていく…。
 『父の初七日』のワン・ユーリン監督が描く、さまざまなジェンダー、セクシュアリティ、世代の間の人間模様。2017年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、話題を集めた作品です。

アリフ、ザ・プリン(セ)ス
監督:ワン・ユーリン(王育麟)
2017年|台湾|91分|北京語、台湾語、パイワン語 ※日本語字幕つき
協力:東京国際映画祭


虹色の朝が来るまで
7/8 15:00~ W

 手話サークルで知り合ったろう者の高橋華と星野あゆみ。華は初めて同性に惹かれ、戸惑いながらも、あゆみと交際することにする。後日、華が実家へ帰り、両親にあゆみとの交際のことを打ち明けると、いつも味方してくれていた母親から拒絶されてしまい、華はショックを受ける。でも、あゆみとの関係を断ち切ることは、どうしてもできない。苦しんでいる華を見かねたあゆみは、東京で開かれる「ろうLGBTイベント」に華を誘う。そこには、それぞれ悩みを抱えつつも前向きに生きているろうのLGBTの人たちが集っていた。初めは緊張していたふたりも、次第に心を開いていく…。
 監督の今井ミカさんは、生まれた時から耳が聞こえないろう者の方で、レズビアンであることもオープンにしている方です。出演者のみなさんもろう者の方々です。予告編を観ていただけると、ああ、きっとこの作品は泣けるだろうな…と感じるのではないでしょうか。

虹色の朝が来るまで
監督:今井ミカ
2018|日本|62分|日本語


QUEER×APEC ~APQFFA傑作選2018~
7/8 12:25~ W
7/15 11:30~ S

 アジア・太平洋地域のLGBT映画の支援・振興のために活動するAsia Pacific Queer Film Festival Alliance (APQFFA)。このアライアンスに加盟する映画祭から推薦された短編映画を3作品ピックアップして上映。さらに今年は中編ドキュメンタリー『ルッキング・フォー?』を特別上映します。

◼︎新入生
 中学生になるハンナは、新しい学校では男の子の名前を捨て、女の子の学生服を着ると決めていた。しかし登校日が近づくにつれ、自分の生まれ持った性別がバレるのではないかと不安になる。
監督:ジュリー・カルセフ
2018|オーストラリア|18分|英語 ※日本語字幕つき
日本初上映
マルディグラ映画祭推薦

◼︎言葉にできない

 ムンバイを走る電車の中で出会った二人の男。お互いに惹かれ合うも、同性愛の禁じられた社会では声を掛けることすらできない。セリフなしで語られる密かな恋の行方は?
監督:ファラーズ・アリフ・アンサリ
2017|インド|15分|セリフなし
日本初上映
カシシュ・ムンバイ国際クィア映画祭推薦

◼︎繭
 香港の主権がイギリスから中国へ返還された1997年、少女は母親が女性と親密な関係を持っていることに気づく。古い体制が壊れていく中で変容する家族の形を描いたドラマ。
監督:メイ・リーイン(梅儷瀠)
2017|中国|26分|北京語 ※日本語字幕つき
日本初上映
上海プライド映画祭推薦

◼︎ルッキング・フォー?
 ゲイの出会い系アプリで人は何を求めているのか? 日本を含む世界中を駆け回り、約60人にインタビューして制作した本作は、出会い系サイトの利用から現代のゲイのあり方を問いかける。あなたが探しているのは欲望? 愛? それとも…
監督:チョウ・トンイェン(周東彥)
2017|台湾|61分|北京語、英語 ※日本語字幕つき
日本初上映
台湾国際クィア映画祭推薦

 
レインボー・リール・コンペティション 2018
7/16 16:55~ S

 レインボー・リール・コンペティションは、日本でクィア映画を制作する新たな才能を発掘したり、若手クィア映像作家を育成するために初期の頃から毎年続けられてきた登竜門的なアワードです。今年の邦画もよりどりみどりの傑作揃いだそうです。会場にいらっしゃるみなさんに投票権が与えられるので、応援する「推し」作品に1票を入れる楽しさもあります(あなたの1票がグランプリを決定します)。おそらくドラァグクイーンの方などが登場し、イベント的に楽しく盛り上がります。

◼︎老ナルキソス
 ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎は、老いて醜く衰えゆく自分の姿に耐えられない。山崎はある夜、若く美しい男性レオに出会う。レオとのプレイ中に倒れた山崎は老いの苦しみを打ち明けるが、年若いレオの心には響かない。溺れ死ぬ時を逃し、年老いたナルキソスは、初めて他人と向き合い、恋に落ちていく…。
監督:東海林毅
2017|日本|21分|日本語
世界初上映
渋谷芸術祭2017・第6回渋谷映画祭 参加作品
第53回TOKYO月イチ映画祭 グランプリ
ゆうばり叛逆映画祭2018 入選
第5回岩槻映画祭 入選
JAPAN FILM FEST HAMBURG 2018 正式上映

◼︎KISS
 一組のゲイカップル。ふたりはひたすらキスを交わし、愛を深め続ける。主演のふたりはプライベートでもカップルなだけに、映像から見えてくるものは愛そのもの。監督自身も「キスという行為自体の持つ面白さや不思議さを表現した」と語っている。
監督:大村諒
2018|日本|8分|日本語

◼︎HIV x LOVE ?
 彼氏もできず、日々その場限りのセックスを楽しんでいる勇斗。だが、用心深くコンドームはいつも着けている。ある日、セフレの慈雨からLINEが入る。「勇斗も検査受けて。俺、陽性だった…」その時、勇斗が取った行動とは? 14もの海外映画祭で上映された『Sex × Friend ?』のパート2。
監督:山後勝英
2017|日本|10分|日本語
Lake View International Film Festival 正式上映
My True Colors Festival 正式上映
Queer Hippo International LGBT Film Festival 正式上映
Short Cine Fest LGBT-film部門 最優秀賞
KASHISH Mumbai International Queer Film 正式上映
South Film and Arts Academy Festival 正式上映
FIVE CONTINENTS INTERNATIONAL FILM FESTIVAL 正式上映

◼︎フリーダム
 とある宗教の村で育った少女は、思いがけず出逢った女性との一夜を忘れられずにいた。自分にとって自由とは何か?と葛藤し続ける少女は、ついにある決断をする。主演女優は、BBCで放映されている世界最長のSFテレビドラマシリーズ「ドクター・フー」で活躍するハナ・シャープ。
監督:古川彩圭
2018|日本|3分|日本語
日本初上映

◼︎京
 老舗の和菓子屋の息子に生まれ、進路に悩む中学3年の智弘。後継ぎになることを父親に期待され、店を手伝う日々。ある日、和菓子を届けに置屋へ配達をした智弘は、舞妓の厳しい世界を目の当たりにしてしまう。しかし、それを表に出さない舞妓に、智弘は心惹かれ…。
監督:中田侑杏
2017|日本|16分|日本語
世界初上映

◼︎ギャルソンヌ −2つの性をもつ女−
 性分化疾患(インターセックス)であるはづきは、芸能事務所を経営する叔父の勧めで女優を目指すことに。見た目は女性ながらも、男っぽさが抜けないはづきに、マネージャーの野口は「女性らしさ」を指導する。ある日、ドラマ出演の話が舞い込んできたが、相手役として現れたのは高校時代の同級生であり元カノの、麦田明日香だった。性自認が揺らぐなか、女優としての道を模索していくはづき。それにはある理由があった…
監督:穐山茉由
2017|日本|31分|日本語

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