g-lad xx

FEATURES

レポート:第20回女装紅白歌合戦&新春女装公演2022

2021年〜2022年の年越しに二丁目のAiSOTOPE LOUNGEで開催された第20回女装紅白歌合戦&新春女装公演2022のレポートをお届けします。

レポート:第20回女装紅白歌合戦&新春女装公演2022

 今回の年末〜お正月は2年ぶりに帰省していた方も多かったのではないでしょうか。大晦日の夜は紅白をご覧になっていた方、多かったですね。コメントがTwitterにあふれていました(なかなか観どころ聴きどころの多い紅白でした。最後の辺りでゲイのリー・ピアソン選手のコメントが紹介されていましたね)。そんななか、二丁目では第20回女装紅白歌合戦が華やかに開催されていました。昨年はコロナ禍で初のオンライン配信(無観客開催)となった女装紅白@AiSOTOPE LOUNGEですが、今年はリアル&オンラインのハイブリッド開催となりました。めでたく2年ぶりのリアル開催となった女装紅白、現地で楽しみたい気持ちもあったのですが、ちょっと20時半に二丁目に行くことが難しく、後追いでオンラインで拝見させていただきました(1月6日まで配信中ですので、今からでもぜひご覧ください。チケットはこちら)。その代わり、明けて2時からの新春女装公演2022にお伺いし、大御所から新人さんまで多彩なドラァグクイーンのショーをたっぷりと楽しみ、あらためて二丁目のクイーンのみなさんの素晴らしさを実感しつつ、たくさん笑って、おめでたい新年の迎え方ができました。レポートをお届けします。
 
 
第20回女装紅白歌合戦

 オープニングには司会のブルボンヌさん&胡蝶蘭さんだけでなく、ほぼほぼ出演者全員がステージ上に登場し、超ゴージャスな幕開けとなりました(ブルボンヌさんが「みなさん死ぬ思いで間に合わせたのよ」と言って、出演者全員のお名前をご紹介する流れに。そういう配慮、大事ですね)
 このイベントは司会の方が全体の流れや雰囲気をつくっていくわけですが、ブルボンヌさんのコメントはいつも本当に気が利いてて絶妙に面白く、しかもちゃんと愛があって、どんな方のどんなショーでもちゃんとフォローして笑いに変えてその場を和やかにおさめていく手腕が見事!とあらためて感じました。配信をご覧になる方はぜひ、ブルボンヌさんのコメントの素晴らしさも堪能してください。
 
 トップバッターはマダム・ピロガネーゼさんvsちあきホイみさん(ここだけは本当に歌合戦でした)。ピロガネーゼさん、ちょっとお休みされていたと思いますが、お元気そうでよかったです(私信)。ホイみさんはバラードのイメージがありましたが百恵さんの「プレイバックPart2」とかも難なく歌ってました。両者のキャラの違いも際立つ、聴きごたえある生歌対決でした。

 
 続いておりぃぶぅさんが今年話題になったアニメの主題歌を(ブルボンヌさん「登場するのは竜なのか姫なのかそれとも細田監督なのか」笑)、「彼女は誰?」「MTF?」などの文字をアレンジしたオリジナルの映像をバックにパフォーマンス。カッコよかったです。対するサーシャBサバンナさんはビヨンセの「If I Were A Boy」をソウルフルにパフォーマンスしました(胡蝶蘭さん「男が女装で女性の曲で『もし私が男の子だったら』をやるってどういうこと?」、ブルボンヌさん「いいんです。ジェンダーは自分が決めればいいの!」)

 
 続いてアロムさんがYouTubeの「THE FIRST TAKE」をイメージした演出で中島美嘉さんの「僕が死のうと思ったのは」を(ブルボンヌさん「マジか?」「年の瀬に?」)、ディタ・スターマインさんが自身がTKとなってギターを弾く映像をバックに華原朋美さんの「Hate tell a lie」をやりちぎりました。


 リル・グランビッチさんは五輪でレインボーカラーの衣装で登場するなどLGBTQにいつもエールを贈ってくれているMISIAさんの名曲を、思いを込めてパフォーマンス。ウンディーネさんは「冬の女王」の異名をとるあの方を演じました(「顔芸」なので、あえて画像は載せないでおきます。ぜひ配信でご確認ください)

 そして前半戦最後の対決です。チッコーネさんが大先輩・美輪様の歌を『黒蜥蜴』とか『毛皮のマリー』を彷彿させるスタイリングで見事に演じきり、ホッシー先生がX Japanもビックリな高さの逆立てヘアや完璧な80年代ルックでアン・ルイスさんを演じきりました。貫禄を感じさせる圧巻の対決でした。

 
 審査員のみなさんのコメントもよかったです。日出郎さん、意外と真面目に緻密に審査してくださったのですが、うっかり「ホッシーには満点をつけた」とおっしゃって、ブルボンヌさんが「審査結果がダダ漏れ」とツッコミを入れてました(笑)。Womanオンリーイベント「Diamond Cutter」のJOEさんは(どのクイーンがイケるとか)終始レズビアンの視点で語ってくださって面白かったです。アイソの小原さんは「紅白でしか見れないショーがある。みなさんの気合いを感じます」と手堅くコメントしていました。
 
 ここで休憩時間。あのAdoさん(女装)の映像やストリチナヤのCM(超ゲイプライドしてて素晴らしかったです)が上映されました。
 
 後半戦は、穴野をしる子さん、エルさん、プリズムさん、ぺネロペ最低賃金さん、頬紅チー子さん、1.2.じゅん子さんによるBiSHメドレー(本家のBiSHが紅白に出演しただけに、感慨深かったですね)、イズミ・セクシーさん、バビ江ノビッチさん、バンザイきょう子さんのPerfumeユニット「ハイレグに恋して」によるハイテク映像技術を使った東京五輪オマージュなショーで幕を開けました(開会式にまつわるMIKIKO先生の不遇を悲しむPerfumeファンにとっては涙モノ…。プラス、五輪ではありえないエッチな「ピクトグラム」が映像化。ぜひ配信でご覧ください!)


 続いて、アプナさん&渦潮つば子さんによるt.A.T.uショー(「ArcH」で開催されてた頃の「二丁目ハイスクール」を思い出しました)、そしてオナン・スペルマーメイドさん&ブイヤベースさんによる「UFO」ショーというデュオ対決。ブイヤベースさんが途中でステージ上をのたうちまわるという自由すぎるカオスなパフォーマンスを見せ、でも、なんか様子がおかしいぞ…と思っていたら、なんと本番中に腰を抜かして立てなくなっていたという驚愕の顛末に…。(これに対する日出郎さんの「女装は現場で起きてるんだ」というコメントが秀逸でした)


 気を取り直して、いよいよ対決も終盤戦に。十数年ぶりに登場!の肉襦袢ゲブ美さんが最近結婚したaikoさんのショーをウエディングドレス姿で披露。まるでゲブ美さん自身が結婚して幸せになるように見えて、ちょっとジーンときたのですが…その後のショーの展開のひどさ(褒め言葉)はみなさんご存じの通り(笑)。そして対するはオクラwithイズバンビさん。まさかの、あの、椎名林檎さんのバックダンサーも務めていた本物のあの方が登場!というスゴい展開でした。これは必見!です。


 そして大トリです。白組はエンジェル・ジャスコさん。2019年、AiSOTOPE LOUNGEに来て歌ってくださった岩崎宏美さんの「聖母たちのララバイ」による、荘厳にして感動的なショーでした。対する紅組はレイチェル・ダムールさん。フィナーレにふさわしい、越路吹雪さんの「ラストダンスは私に」を熱演してくれました。最後は出演者全員ステージに上がっての大団円。2021年を楽しく、素敵に締めくくってくれました。


 恒例の(今は本家でもやらない)箱に入った球をひと〜つふた〜つと数えては投げていく儀式を経て、紅組の優勝が決定(これは本家と同じでしたね)。最後にみんなで集合して記念写真を撮って、第20回を記念する女装紅白歌合戦は華やかに幕を閉じました。

★第20回 女装紅白歌合戦 "Colorful 〜カラフル〜"の見逃し配信チケットはこちら

 
 

新春女装公演2022

 女装紅白の後はカウントダウンパーティに突入し、日付が変わる時には盛大にカウントダウンが行なわれ、2時からは「新春女装公演2022」が行なわれました。
 トップバッターはホッシー先生とリル・グランビッチさん。新年早々の「めおとショー」、おめでたい限りでした(『トルコ行進曲』でもおなじみのあの姉妹ユニットの歌でした)
 次がオナンさんの『キャバレー』。これ映画も本当に名作で、世界中のゲイにとっての心の名曲の一つ&ドラァグショーの超定番なのですが、オナンさんが演じることで人生の深みとかドラァグカルチャーへのリスペクトとかいろんなことがにじみ出て、本当に素晴らしかったです。
 続くレイチェルさんは、マドンナの『Medellin』(ワン・ツー・チャチャチャ)を選曲。ラテンテイストとクラブ的なカッコよさが同居するオシャレ曲はレイチェルさんにピッタリで、衣装もガウジャスでした。
 …というように2時間分の何十人ものクイーンさんのショーを全部紹介していくととても長くなってしまうので、端折らせていただきますが、これだけは書いておかなければと思うのは、ゲブ美さんの「年末ジャンボ」ショー。ジャンボなディルドが滑車で吊り上げられ(すごい絵面でした)、ゲブ美さんがジャンボディルドで自分の顔をマラビンタするなど。腹を抱えて笑わせていただきました(新春初笑い)。さすがです。







 女装紅白はトータルプロデュースがなされているので、出演するクイーンさんも「こんな感じのショーでお願い」という依頼に基づいて短めにショーをやっていると思うのですが(ショートプログラム)、この時間は全くの自由で(フリースタイル)、本来の持ち味が遺憾無く発揮されるショータイムなので、女装紅白とはまた違った楽しさがあったと思います(ただ、後半に行くにつれて新人さんになっていくというスタイルなので、足がしびれたり退屈した方がどんどん立ち去っていくという、新人クイーンにとっては修行のような時間でした…)
 ショータイム後も、定番のオネハが惜しみなくジャンジャンかかり、クイーンさんがステージ上で盛り上げ、お酒がバンバン振る舞われ、本当にハッピーでおめでたさあふれるパーティでした(酔っ払ったホッシー先生が神々のステージから下界に降りてきて私たち下々の者一人ひとりにリップシンクでアピールしてくださったりして、今年一年無病息災で過ごせそう、ありがたや〜と思いました)
 ひさしぶりにお会いできる方もたくさんいて(同窓会みたいな)、本当に楽しかったです。
 
 二丁目のドラァグクイーンって本当に幅が広いというか奥が深いというか、世界に誇れるレベルの多彩さ・豊かさだし、無限の可能性を秘めていると、あらためて思いました。そんな素晴らしいクイーンさんのショーを楽しみながら新年を二丁目で迎えるって、本当に素敵な、幸せな年越しです。
 次回は(コロナも落ち着いて)きっと配信もなくなってリアル開催に戻るのでは?と思います。あの臨場感をぜひ「現場」で味わいましょう。

INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。