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夏の夜、二丁目に打ち上げられた心意気という名の花火――「SUMMER BLAST」レポート
7月15日(土)、二丁目の5つのハコで6つのイベントが1チケットで楽しめるという前人未到のゲイフェス「SUMMER BLAST」が初開催されました。大勢のゲイピープルが最高に楽しいクラブパーティや同人誌即売会、マッチングイベントなどを堪能し、夢のような一夜となりました
2023年7月15日(土)という日は、二丁目に新たな歴史の1ページが刻まれた日になりました。二丁目の5つのハコで6つのイベントが1チケットで楽しめる前人未到のゲイフェス「SUMMER BLAST」が初開催されました。前日の「RAINBOW BEAR POOL」の盛り上がりを受けて、三連休の初日、二丁目には、内外から大勢のゲイピープルが集い、最高に楽しいクラブパーティや、同人誌即売会や、マッチングイベントを堪能しました。ふだんはたくさんのバーやクラブがあちこち、それぞれで営業している二丁目という街が、この日ばかりはイベント遊園地のようなワクワク感・お祭り感に包まれ、数えきれないくらい大勢のゲイピープルが真夏の夜の夢のような「SUMMER BLAST」を堪能しました。レポートをお届けします。
(取材・文:Junchan、写真提供:SUMMER BLAST)
猛暑日というわけではなく、実にちょうどいい、夏らしい日となった7月15日土曜日、意気揚々と二丁目に向かいました。新宿御苑前駅を降りて、盆踊りの準備がされている太宗寺を横目に見ながら、総合受付へと向かいました。
新宿通りから1本入った道(「Base」とか「もふもふ」が面している道)の、ふだん駐車場になっているスペースにテントを建てるかたちで、立派な総合受付のブースが設置されていました。イベント会社のプロのスタッフの方たちも働いていて、なんと本格的なのだろうと驚きましたが、伝説のGVモデル・義男さんとかもブースにいらして、ファンの方が感激して握手を求める場面などもあり(よかったね、と微笑ましく思いながら)、aktaの方たちが、回答するとドリンクも買える800円分のチケットがもらえるというアンケートを行なっていたりもして、コミュニティ感もあり、素敵でした。
受付を済ませた後、まずはaktaに行こうと思い、新宿公園の横を通り(開いてる新宿公園をひさしぶりに見たかも)、花園通りを越えて、『傳』の横のビルでエスカレーターに乗り、aktaに行きました。写真では見ていたのですが、奥の壁に、ニチョケット参加の絵師さんたちが描いたキャラクターの等身大パネルが設置されてて、本当に大きいし、どのキャラクターも魅力的だし、まじまじと眺めてしまいました。そして、スタッフさんに写真を撮ってもらったり(親切。ちょっとかわいかったです)、そこにたまたまいた友人としゃべったり。みなさん本を読んだり、写真を撮ったり、休憩所として思い思いに過ごしていらしたと思います。
それから、噂の「にちょけっと!」@EAGLE TOKYO BLUEに向かいました。まだ時間も早いのに、行列ができてました。
実はコミケというもの自体、生まれて初めての体験だったのですが、中に入ると、所狭しとブースが並び、いろんな作家さんの作品(「薄い本」と言うのでしょうか?)を物色する方や、すでにたくさんの「戦利品」を抱えた方などもいて、大にぎわいで、熱気を感じさせました。奥の「RYUGU」のスペースも使われていたり、階段下のスペースでは特製のクライナーも販売されていたり。あまりにも人が多すぎて気圧されてしまい、販売ブースをじっくり見れなかったのですが、何人か気になる(推しの?)作家さんも出展していたので、もっとねばって本を買ったりすればよかったな…と思いました(荷物になっちゃうかもしれないけど、二丁目にはコインロッカーもあるし)
GOGO BOYのAKIさんがMCをしていたのも豪華ですし、BGMも「小公女セーラ」だったりして、楽しかったです(正直、今のアニメはあまりわからなくて、アニソンイベントは得意ではないのですが、世界名作劇場とか80年代頃のアニメの曲だったら楽しめるかも、と思いました)
二丁目でも最も広い老舗のバー「九州男」では23時まで、9monstersによる「THE MATCH」が開催されました。5人のナイモンモデルたちが集合!というだけでもたいへんゴージャスなのですが、プロのカメラマンさんによるプロフ写真撮影会がずっと行なわれていて(撮ってもらいたかった…でもとても混んでいた…)、スポーティパンサータイム、マッスルウルフタイム、ワイルドベアタイムという、ナイモンでおなじみのアイコンをイメージしたマッチングタイムが設けられ、ドリアンさん&枝豆順子さんという『ドリアン&順子のまあ大変ね♡ ~ナイモンのステキリアル談話~』でおなじみのお二人の司会でイベントが展開されていて、たいへん楽しいイベントになっていました。ワイルドベアタイムとか本当にイケてるベアだらけで、惚れ惚れするような光景でした。そんなモテ筋な方どうしで、同じ人を指名して、さあどっちを選ぶ?えーそっちなの?意外〜みたいな展開も、見てて面白かったです。最後に人気ユーザー権、タオル、パンツ、テンガなどが当たるビンゴ大会も開催されてました。本当にいいイベントなので、またぜひやってほしいです!
ちなみに「九州男」では24時頃、各イベントのオーガナイザーさんが勢揃いして樽酒の鏡開きが賑々しく行なわれました。これも二丁目ではなかなか見ることのできない、晴れやかな光景でした。
ARTY FARTYではK-POP PARTY「OPPA!」が開催されてました。「ageHa GAY NIGHT the FINAL “GLITTER BALL”」や昨年の「AVALON」で開催されていた際は、割と若い、ガチのK-POPファンの方が中心で、知ってる曲がかかると何人も一斉にステージに上がってフリコピを披露、お客さんも一緒に踊ってて一体感がスゴい!って感じでしたが、今回はいつになく、サマブラだからなのか、がちむち兄貴系のお客さんも多くて、眼福でした。たぶん韓国から来られたと思われるお客さんが、K-POPを口ずさんでたりもして、素敵♪と思いました。スクリーンにミュージックビデオの映像も流れたりしてて(ふだんのARTY FARTYにはなかったと思うので、このために特別に設置したんですよね、きっと)、楽しませる工夫がなされてました。やっぱりK-POPは熱いですね!
再びEAGLE TOKYO BLUEへ。「にちょけっと!」は21時に終了し、そこから「アキバナイト」へと移行していました。オープニングステージのクレサガ「出張!ヴェストリア放送局」は見逃してしまったのですが、(しま乳さんには本当に申し訳ないのですが、アニソンが得意ではないということもあり)実は「アキバナイト」自体が初体験だったので、新鮮な気持ちで参加しました。ステージにGOGO BOYS & GIRLSも上がって盛り上げてくれたり、スクリーンにアニメの映像も流れたりしてて、DJタイムのフロアの盛り上がりがとにかくスゴかったです。熱気に圧倒されました。
ショータイムでは、他のイベントと同じで、フロアの前のほうからみなさん座ってくれて、ちゃんとショーが見れました。おりいぶぅさんのちょっと自虐ネタを交えたショーもウケたし、アプナさんのマッチョ兄貴をフィーチャーしたドラゴンボールショー、プリズムさんの「20個もあるの」のタイミングでコンドームを撒くアリエルショーなども面白かったです。甘露寺蜜璃に扮したL子さんと、ドラミちゃんに扮した渦潮つば子さんのMCもよかったです。
AiSOTOPE LOUNGEでは、あの、伝説の「Shangri-La」が開催されました。一時期は行列ができていたのですが、空いた時間を見計らってアイソに入り、MAIN FLOORに行くと、そこは、まさに「Shangri-La」でした。ステージ上にDJブースが設置され、体にズンズン響く音、ライティング、レーザー、VJもカッコよく。がっちりマッチョやがちむちな兄貴がフロアに満載で、ハグしながら踊ってる方たちもいたり。GOGO TIMEには、ステージ、バーカウンター、フロアのあちこちにGOGO BOYSが登場し、ものすごく股間のもっこりを強調した(けしからん)パンツでお客さんを挑発し、エロティックに魅了していました。PEACH BOYS、BANANA BOYSとカテゴライズされてましたが、総勢20名ものGOGO BOYSがAiSOTOPE LOUNGEに集うって今までなかったんじゃないかと…本当にゴージャス&セクシーでしたし、お客さんも熱い視線を送ってました。
懐かしの「Shangri-La」のアリーナが再現されていたこと、とても感慨深かったです。サマブラだからこその奇跡なのかもしれません。海外の方たちも喜んでいたのではないでしょうか。
サブフロアはちょっと明るめで、チルアウトというか、友達とゆっくりしゃべったりしながら過ごせる空間になってました(そう。ageHaのISLANDのように)
さあ、あとは、D-light,Tokyo+BOILERROOMで開催される、太ましき男"CHUNK"とCHUNK好きに贈るGMPD+Bearパーティ「CHUNKS」です。実は二丁目を移動しているときに「これからCHUNKS行くよ」っていう友達に何人も会ったのですが、全部の会場を回ってから最後に行こうと思っていて、ようやく着いたときには、長蛇の列が…(友達の話では、一時は仲通りまで行列ができてたそうです)。昨日のベアプーのお客さんが全員来たら、そりゃあ満員になるよね…とか、やっぱりみんな、ベア系・脱ぎ系イベントが大好きなのよね、と思いながら。
「CHUNKS」には全回参加しているわけですが(初回のレポートはこちら)、やはり今回は海外のお客さんも多いし、ハイレベルなGMPD、ベアな方々が大集結していた感がありました。控えめに言って、天国だな…と。一度は会ってみたいと思っていた韓国のツイドルさんとも絡めたし、前から憧れていたGOGOさんとも絡めたしで、なんだか夢のようでした…。
本当は最後にもう一回、全部の会場を回ろうかなと思ってたのですが、お友達からテキーラをたくさんご馳走になって気持ちよく酔っ払い、楽しすぎて、気がついたら朝になっていました。
もちろんGOGOさんのショーも素晴らしくセクシーでしたし(定番の六尺だけでなくマンキニ(紐パン)とか、いつも以上に露出度高めなアイテムでサービスしてくれてました。最後はタオルショーでした)、フィナーレで、冷たいミストがプシューって噴射されるやつ(特効)がフロアに放出されて、最高に気持ちよかったし、アゲハの六尺ナイトを思い出して胸がキュンとなりました。
イベントも終わり、すっかり明るくなった朝方の二丁目では、ボランティアスタッフのみなさんが清掃活動を行なっていました。本当に頭が下がります。ありがとうございました!
サマブラは二丁目コミュニティに贈られた打ち上げ花火のようなお祭りでした
ベアプーとサマブラ、きっと海外勢にも喜んでもらえたと思うので(翌日はAVALONもありましたし)、もし来年も同じような感じで開催されたら、もっとアジア各地からたくさん集まるでしょうし、これが毎年恒例になったら、ソンクラン、台北パレード、そしてTOKYO G FESTIVALがアジア三大ゲイイベントとして認知されるようになるのでは?と思いました。そうすると二丁目(というか東京)がもっと活性化されるでしょうし、観光産業と連携したり、インバウンド的な展開も見えてきたりするのでは?とか。夢は膨らみますね。
そういうこと以上に私が感動し、みなさんにお伝えしたいのは、サマブラは「二丁目コミュニティに贈られた打ち上げ花火のようなお祭り」だったということです。
打ち上げ花火って地域のコミュニティの人々が夏の風物詩として楽しめるように無料で開催される贈り物のようなイベントですよね。二丁目では2000年に初開催されたレインボー祭りのときに、サンフラワービルの屋上からサプライズで花火が上がり、大勢が感動で号泣したわけですが(Delightのアキさんが主催。the Private Partyのユキさんが花火を提案)、それもまさに、二丁目のコミュニティのみなさんへの贈り物でした。
今回のサマーブラストは、二丁目初のゲイクラブ「Delight」へのオマージュも込められたハコである「D-light」の吉野さんが、夏の二丁目で、5会場同時開催という前人未到のイベントとして開催し、海外や地方のお客さんも含めた何百人もが楽しみ、歓喜した、夏の夜の夢のような素晴らしいお祭りで、それは二丁目コミュニティに贈られた打ち上げ花火のようなイベントだったと思うのです。
コロナ禍で全く人がいなくなった週末の二丁目の姿を見て吉野さんは、「こんな二丁目は二度と見たくない」とその悔しさをTwitterに綴っていましたが、二丁目を愛し、二丁目とともに生きてきた方だからこその心意気と情熱が、このとんでもなく大がかりなイベントを生み出し、本当にたくさんの方たちがその心意気に賛同し、協力を惜しまず、奮闘し、開催の実現へとつながったのです。もう本当に…感謝しかありません。
サマブラに関わったみなさん、最高の時間をありがとうございました。
この素晴らしいイベントが来年も開催されることを。そして、二丁目が末永く二丁目らしい街であり続けることを、心から願います。
今後のイベント情報
最後に、この素晴らしいフェスをプレゼントしてくれた「D-light」の吉野さんに敬意を表し、吉野さん主催イベントの情報をお伝えします。
<ガッチビわちゃわゃナイト LOVE短躯(ラブタンク) vol.2>
ガッチビわちゃわちゃナイト!
短躯(たんく)がキーワードのNEW PARTY
当日はガッチビスタッフが皆様をわちゃわちゃおもてなし!
前回D-light単館で超満員! 今回はBOILER連結で広々会場でますます盛り上がること必至!
最高キュートなガッチビ短躯スタッフが皆様をお出迎えいたします(はあと)
ドレスコード:アンダーウェア(上着の着用1枚OK)※なおノースェもアンダーウェアとみなしますので上も一枚着れば参加ハードル低し!(笑)
ガッチビわちゃわゃナイト LOVE短躯(ラブタンク) vol.2
8月12日(土)
@D-light,Tokyo + BOILORROOM
21:00-5:00
3000円/1D、身長164cm以下の人は身長x10円が入場料!(paypay払い限定)
MEN ONLY
<G-BEACH 2023>
9月2日(土)、神奈川の三浦市・油壺でビーチパーティが開催!
六尺ナイト、CHUNKS、LOVE短躯の共同プロデュース! GMPDだらけで盛り上がりそう!
二丁目から大型観光バスで往復送迎付きプランもあります!
(万が一、台風などの荒天で中止になった場合は翌3日(日)にD-lightで「嵐だよ!全員落胆!」という別パーティをやるそうです。笑)
詳細情報、もうちょっとしたら明らかになると思いますので、しばらくお待ちください。
INDEX
- 特集:2023年10月公開・配信の映画・ドラマ
- レポート:ONAN’s DREAM -オナンを愛するすべての人へ-
- レポート:三条プライドパレード
- レポート:よつんばいナイト六歩目
- 特集:2023年秋冬のオススメ演劇作品
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- 特集:2023年9月公開・配信の映画・ドラマ
- 特集:デイヴィッド・ホックニー展
- 夏の夜、二丁目に打ち上げられた心意気という名の花火――「SUMMER BLAST」レポート
- レポート:第5回宮崎レインボーパレード
- 特集:2023年夏のLGBTQアート展
- 特集:2023年8月公開・配信の映画・ドラマ
- AAAの與真司郎さんがファンに向けてカミングアウト、「希望はある、世界は変わってきている」
- レポート:RAINBOW BEAR POOL 2023
- レポート:ひとりぼっちプライドパレード(長岡市)
- レポート:レインボー・リール東京2023クロージング
- レインボー・リール東京2023初日レポート
- レポート:PEAK! Tropical Pool Party
- レポート:「CHAOS」vol.2 feat.雄っぱい
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