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レポート:AiSOTOPE LOUNGE12周年パーティ
2024年9月14日(土)15日(日・祝前)に開催されたAiSOTOPE LOUNGE12周年パーティ。ゲイクラブで踊る楽しさやゲイカルチャーの素晴らしさを再確認させてくれるような、最高のパーティでした
二丁目最大のゲイクラブであり、ある意味二丁目の「顔」のような場所である「AiSOTOPE LOUNGE」。昨年の11周年パーティは、シークレットゲストとしてあのコロッケさんが登場し、サービスたっぷりに楽しませてくださって、フロアのお客さんも大盛り上がりでしたし、大勢の(新旧の)ドラァグクイーンのショーが目白押しで、本当に楽しい、満足度の高いパーティになりました(写真の都合でレポートはお届けしていませんでしたが、本当に素晴らしかったです)
今年は事前にアンミカさんの出演がアナウンスされて話題を呼び、予想通り、DAY1のアンミカさんの出演の時間はメインフロアが身動きとれないくらいの超満員となりました。DAY2もレジェンダリーなドラァグクイーンのみなさんやDJさんが盛り上げ、ゲイクラブで踊る楽しさやゲイカルチャーの素晴らしさを再確認させてくれるような、最高のパーティになりました。
DAY1: 9月14日(土)
AiSOTOPE LOUNGEに向かう途中、ALAMAS CAFEでHOMOLANDのみなさんがショーをやっていて、ものすごい人だかりができていました。ArcHがあった時代の周年パーティでのALAMAS CAFEの賑わいを思い出したりもして。周年前夜の金曜は二丁目にあまり人がいなくて寂しかったという話も聞きましたが、この日は路上にも人があふれていて、本当にすごかったです。さすがは二丁目最大のゲイクラブであり「二丁目の顔」的なAiSOTOPE LOUNGE(+ALAMAS CAFEやAiiRO CAFE)の周年パーティ。二丁目の活性化に貢献してるというか、背負って立ってる感を感じさせました。
24時過ぎにAiSOTOPE LOUNGEに着くと、DJ TABOさんが回していらっしゃったのですが、ああ、クラブで踊る楽しさってこういう感じだったよなぁって「体が思い出す」ような、2000年代〜2010年代の最も東京のゲイクラブシーンが輝いていた(と言ってよいのかどうかわかりませんが、ArcHもageHaもありましたし、そう感じる方も多いんじゃないかと思われる)時代のゲイナイトの魅力が詰め込まれたようなDJでした。
お客さんがだんだん多くなってきて、1時過ぎにはメインフロアがかなり満杯に。そして1時半、みなさんお待ちかねのアンミカさんが登場。「アンミカーニバル」のライブから始まり、みんなが期待してる「白は200色あるねんで」とかも言ってくれたり(わー!って歓声が上がりました)、ステージに上がったクイーンさんの衣装に「アイスクリームホワイト」「墨ブラック」みたいにコメントしてくれたりして、素敵でした。「生きてるだけでまるもうけ! 痛みを知る人は誰かに寄り添える力を持ってる! 笑顔は誰かの心を必ず照らす。みんな笑顔で生きていこうな!」という力強いコメントもくださって、感激でした。まさに「ハッピー、ラッキー、ラブ、スマイル、ピース、ドリーム」な時間でした(アンミカさん、インスタのオフィシャルアカウントでもこのステージの様子をシェアしてくださいました。本当にフレンドリー。最高です)
本当に楽しくて、朝までずっといたかったのですが、(朝5時までクラブ遊びをすると翌日に体が動かなくなるような年齢になってしまったので…)翌日のことを考えてこの日は早めに切り上げさせていただきました。
DAY2: 9月15日(日・祝前)
この日は何と言っても、DJとドラァグを満喫する日。DJはEMMAさん、SHINKAWAさん、M★NARUSEさん、ATTさんなどの豪華布陣。そしてクイーンは、シモーヌ深雪さん、マーガレットさん、ルチアーノさん、バビ江ノビッチさん、レイチェル・ダムールさんらが出演するのを楽しみにしていました(シモーヌさんとマーガレットさんという東西の最も古くからクイーンをしているレジェンドが並ぶ姿を見れるのはそうそうないこと。貴重です)
24時過ぎに会場に着くと、SHINKAWAさんが回していて、程なくして、シモーヌさんとマーガレットさん、そしてルチアーノさんがステージに登場。レジェンドたちの夢の競演にウットリしました。(軽く説明すると、シモーヌ深雪さんは伝説のミス・グローリアスと一緒に日本初のドラァグクイーンパーティを始めた方で、99年には全国のクイーンを集めて大阪で「DIVA JAPAN」を開催したりもしています。マーガレットさんはHOSSYさんらと並んで東京で最も古くからドラァグクイーンとして活躍し、MISIAさんのツアーにも参加するなど、数々の伝説を残しています。ルチアーノさんは、札幌で90年代からドラァグしている女性のクイーンで(97年のパレードの前夜祭で『スリラー』に合わせて会場に納豆を撒き、本気で客を怖がらせたという伝説の持ち主。パレード当日は小雨模様で肌寒く、ゴールした中之島公園でUPPER CAMPのクイーンたちがルチアーノさんの巨大なスカートを布団代わりにして暖をとったというエピソードがフライングステージの芝居にも描かれています)。マーガレットさん&HOSSYさんとともに日本初のドラァグ雑誌の表紙を飾ったりもしています)
SHINKAWAさんのプレイは90年代からクラブに通っていた私の心をがっちり掴むような選曲で胸を熱くさせてくれました。ジャネットの「TOGETHER AGAIN」がかかるとレイチェルさん(アメフトのユニフォームをイメージしたおしゃれ衣装)がステージで盛り上げてくれたりして。本当に素敵な時間でした。
1:45にバビ江さんのショーがあるということで、心待ちにしていたのですが、なんと、ステージに登場したのはメイリー・ムーさんたち。往年の(20年くらい前だと思います)あのショーが再現される!と心踊りました。そしてバビ江さんが登場し、歓声と大きな拍手が沸き起こりました。3人はベッド・ミドラーの「Big Noise」、スリー・ディグリーズの「Everybody Gets To Go To the Moon」に合わせて、心から楽しそうに、セレブレーショナルなショーを魅せてくれました。
メイリームーさん、1時過ぎには目の覚めるような純白の美しいドレス(アンミカさんだったら何色と言うでしょうか)でフロアに来られていたのですが、まさか、ステージであのような、めっちゃ変顔でコミカルな演技を見せてくれるとは…今やお店のママでありメジャーな歌手でもある方が…そのサービス精神に感銘を受けました(人徳ですね)
実はEMMAさんのDJをちゃんと聴いたことがあまりなかったのですが(CDも持ってるし、Xもフォローしてます。芯の通った発言に感銘を受けてます)、DJとはBGMを流す人ではなく、ダンスフロアというものを作る人なのだということを如実に感じさせるプレイで、さすがだと思いました。
そして3:30。レイチェルさんのショータイム。昨年はレイチェルさんが美川憲一さんの「駄目な時ゃダメよ」をやって、途中でコロッケさんが登場するという、最も重要な役回りを見事に務めていらっしゃいましたが、今年はレイチェルさんらしさが全開な新作ショーを披露してくれました。たぶんほかの誰もやってないような、大きな木の板を組み合わせた重そうなドレスで登場し、スペインの大御所Monica Naranjoの「Ahora, Ahora」という歌で(リップシンク難しそう…)ゆったりと、しかしエモーショナルに魅せ、それからチャペル・ローンの「Super Graphic Ultra Modern Girl」で一気にクラブな雰囲気に変え、衣装を脱ぎ捨て、ダイナミックなダンスで盛り上げました。中高年の方にもZ世代の方にも目配りしつつ、自分らしさ(レイチェルさん的な世界観)は譲らないという、プライドを感じさせる素晴らしいショーでした。
最後のDJはATTさん。知ってる曲でも「え、こんなリミックスあるんだ?」と驚かせてくれたり、「わーこの曲、すごいアガるー!」と思うような曲を次々にかけて、魔法のようにオーディエンスを踊らせ(個人的にはZeddの「Stay the Night」が本当にアガりました)、クイーンさんもたくさんステージに上がって、それはそれはゴージャスで楽しい時間・空間を生み出してくれました。ディタさんが泥酔してステージ上で寝そべったり、それを他のクイーンさんが指差しながらリップシンクしたり(割とカオスでした)、アリアナの「Break Free」のときはクイーンさんが身を乗り出してセンター争いを始めたり、という光景も実に二丁目らしくて面白かったです。
フロアでは、若い方たちだけでなく、往年の「GOLD」や「ラジオシティ」で遊んでいたのではないかと思われるような世代の兄貴たちも楽しんでいらっしゃいましたし、もちろんゲイだけじゃなく(たぶん)レズビアンの方もノンケさんたちも、いろんな方たちが一緒に楽しんでました。
レジェンドがこれでもかと登場した夢の一夜というだけでなく、ゲイナイトの楽しさ、クラブで踊ることの楽しさ、そして二丁目のゲイカルチャーの楽しさを再確認させてくれるような、本当にいいパーティでした。
AiSOTOPE LOUNGE12周年に寄せて
アイソがまだなくてローソンの向かいのビルの地下1Fに「ArcH」があった頃から周年パーティをレポートしていますが(ALAMAS CAFEからArcHまで花魁道中をやったときの感動は忘れられません)、ALAMAS&ArcHの周年って二丁目の夏の風物詩みたいな趣で、ALAMASは軒先から水が噴き出す仕様になってたり(アルピーナさんがユーミンショーをしたり)、「神話」とか「エアライン」とか毎回違うテーマ設定で素敵に盛り上がって、本当に楽しくて…そんなArcHが2014年に突然、閉めることになって、最後の日のパーティは本当に涙、涙で…。レインボー祭りもそうですが、お店もイベントも、気づいたらなくなってしまうんですよね…。だからこそ、「次があるさ」じゃなくて行ける時に絶対行ったほうがいいし、そうやってみんなで遊びに行くことがお店やイベントを支えることにもつながると思うし(お客さんあってのイベントです)、そういうイベントの一つ一つが、かけがえのないものだと思います。
AiSOTOPE LOUNGEは2012年4月にオープンして、新しい二丁目の「顔」になり、数々の素晴らしいイベントが開催されてきました。g-lad xxでも数え切れないくらいたくさん、イベントをレポートしてきましたが、振り返ってみると、クラブイベントだけでなく、映画上映会だったり、HIV予防啓発のイベントやトークイベント、コロナ禍の時には二丁目のお店の皆さんのための集まりなども開催され、ただの遊び場ではなく、カルチャーが生まれる場所だったり、二丁目コミュニティの重要なミーティングスペースの役割も果たしてきたことに気づかされます。二丁目という街にとって、そういう場所があることの意義は計り知れないものがあると思います。
12年って干支の一回りなわけで、あれからもう12年経ったのか、という思いと、また新たな一回りが始まるんだな、という思いもあり、感慨を禁じえません。これからの12年がさらに素晴らしいものになりますように、と願うものです。
二丁目に限らず、クラブに限らずですが、オーナーさんが異様にがめついお店とか(なかにはヤクザみたいな方もいるようです)、イベントを盛り上げてくれた方たちへの感謝がないハコとか、オーガナイザーさんに断りなく勝手にいろいろ変えるハコもあるなかで(そういうところは長続きしないでしょうね…人心が離れてしまいます)、アイソは小原くんやおーいしくんをはじめ(あと、広報のNANAさんとか)みなさん、人がいいし、(きっと内部ではいろいろと大変なこともあるでしょうが、苦労をおくびにも出さず)いつも笑顔で接してくれて、ヘンなことをしないっていう安心感とか信頼が持てますよね。以前、某店のママさんが「小原がいるからアイソでやる」と言ってイベントをやってましたが、そういうことなんですよね。ハコが広くて豪華だから、というだけでなく、人の良さのおかげでこれだけ愛される場所になってるし、だからこそ、ずっと変わらずたくさんのオーガナイザーさんがイベントをやりたがって、人が集まって、毎週多彩なイベントで盛り上がりを見せてるんだと思います。
AiSOTOPE LOUNGEの「Ai」は、もともとの英語のスペルはISOTOPE(同位元素という意味)ですが、そこに「愛」を込めて「Ai」としているわけで(あれ、そうですよね? 違います?)、1人1人の人が「元素」だとすると、このAiSOTOPE LOUNGEという場所にいろんな人が集まって素敵な化学反応(ケミストリー)が生まれ、たくさんの「愛」が交わされてきました。そうしてできた「愛」の結晶のようなものが、みんなの心の印画紙に鮮やかに焼き付けられ、キラキラと輝いているんじゃないかと思います。
これからもこの場所でたくさんの「愛」が生まれることと思います。みんなの「愛」を持ち寄って、この場所を大切にしていきましょう。
(取材・文:Junchan)
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