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「結婚の自由をすべての人に」東京一次訴訟高裁判決の意義と喜びの声

2024年10月30日に東京高裁で、同性婚を認めない現行法は違憲であるとの明確な判決が下されました。この判決を受け手の記者会見・報告会をレポートし、判決の意義や原告・弁護団の方たちの喜びの声をご紹介します

「結婚の自由をすべての人に」東京一次訴訟高裁判決の意義と喜びの声

 2019年2月14日に始まり、全国5ヵ所で行なわれている「結婚の自由をすべての人に」訴訟。現在は二審(控訴審)のフェーズで進行していますが、3月の札幌高裁に続き、10月30日、東京高裁でも明確に違憲であるとの判決が出ました。
 この特集では、30日の午後に行なわれた記者会見&報告集会をレポートしつつ、判決の意義や、原告や弁護団や支援者の方たちの喜びの声をお伝えしてまいります。


【判決文要旨・全文】
 CALL4の下の方の「裁判所」のところに判決要旨と判決全文、弁護団判決声明文が掲載されています。
 
 朝日新聞にも要旨が掲載されています。

 Xで憲法学者の木村草太氏が「札幌高裁より理論が緻密になった印象」と、『台湾同性婚法の誕生』の著者である鈴木賢氏が「満点に近い判決。素晴らしい!」と称賛するような判決でした。
 
 

【記者会見】

 高裁判決の言い渡しを受けて30日午後、都内で記者会見と報告集会が行なわれました。
 以前の東京地裁判決のときのようなどんよりとした空気ではない、喜びや感動や感慨が満ちているような集会でした。

 弁護団の加藤弁護士が司会を務めました。

 最初に、弁護団が判決をどう受け止めたかということで、東京訴訟共同代表の上杉弁護士が弁護団声明を読み上げました(声明文はこちらでもお読みいただけます ※PDFです)

◎上杉弁護士:弁護団声明
「本日の高裁判決は、現行法が憲法14条1項と24条2項に違反するとの憲法判断を示した」
「この判決は、まず、婚姻の意義や目的について詳細な事実を認定し、婚姻は当事者間の親密な人的結合関係を社会的に正当なものと認め、一定の効果を与える制度であるとした。民法は、男女の夫婦とその間に生まれた子からなる家族を一般的に想定しているものの、この一般的な想定の全体にあてはまる家族だけを社会的に正当な家族のあり方と認めているわけではないとし、婚姻は、子の生殖よりも当事者間の永続的な関係を重視したものと理解されてきた旨を指摘した。そのうえで、本判決は、婚姻をすることで、自らの自由意思により人生の伴侶と定めた相手との永続的な人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成ができることは、安定的で充実した社会生活を送る基盤をなすものであり、個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益として十分に尊重されるべきものとした」
「そして、同性に性的指向が向く者については、こうした個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益やそれに伴う法的効果が、本人の意思で選択や変更することができない性的指向という属性により与えられていないという区別が生じているところ、こうした区別により生じる不利益は重大であり、区別に合理的根拠があるとは言えないとした」
「そのうえで、本判決は、性的指向が同性に向く者について、現行法令が、民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成にかかる規定を設けていないことは、憲法14条1項及び24条2項のいずれにも違反するとした。また、本判決は、この区別を解決するための具体的な立法については、個人の尊重(憲法13条)及び法の下の平等(14条)に立脚したものでなければならないという憲法上の要請があり、配偶者の地位にあることにより当然に生ずる権利について、男女間の婚姻と異なる規律とすることは、憲法14条1項違反となり得ると指摘した。さらに、具体的な制度の在り方が国会の合理的な立法裁量に委ねられるとしても、不合理な区別を解消する立法措置をとらないことの合理的根拠となるものではないとしている」
「本判決の原審(一審)では、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことについて憲法24条2項に違反する状態にあると判断しつつも、本件諸規定が憲法14条1項等に違反するとまでは認めなかった。本判決は、民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成にかかる規定が設けられていないことの違憲性について正面から判断し、憲法14条1項及び24条2項に違反すると認めたものであり、歴史的であり高く評価できる。なお、24条1項違反の有無については判断しなかった」
「他方で、本判決は、国会が同性間の婚姻を可能とする立法措置を講じないことは、現時点において、国会にとって明白であったとはいえず、国家賠償法上違法とはいえないとして、原告らの請求を棄却した」
「国は、本判決を真摯に受け止め、本件諸規定の改正に直ちに着手し、婚姻の扉を同性カップルに速やかに開かなければならない」
「最後に。婚姻の自由と平等の実現は、同性愛者等の尊厳回復にとって譲れないものであると同時に、日本に祝福と幸福を増やすものである。声を上げ続けた当事者、支援者、多くの方の声を受け、本日までに、2件の高裁判決を含む7件もの違憲判断が積み重なってきた。今後の全国の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の高裁及び最高裁においても、明確な違憲・違法との判断が下されること、そして、何より、立法府においては、本判決が、国会に立法裁量があることは、不合理な区別を解消する立法措置を取らないことの合理的理由とはならないと明示的に指摘したことを重く受け止め、直ちに婚姻の自由と平等を実現する立法を行うことを強く期待する。弁護団は、婚姻の自由と平等が真に実現するその日まで、共に声を上げ続ける。引き続き、さらなるご支援をいただきたい」

 判決の要点と意義がよくわかる声明で、「国は婚姻の扉を同性カップルに速やかに開かなければならない」という決然としたコメントもシビれました。
 
◎寺原弁護士:補足説明
 続いて、MFAJ共同代表の寺原弁護士が、判決について補足するお話をしてくださいました。

 婚姻制度の意義、目的について検討し、時代や社会によって変わっていくものだと最初に言って、そのうえで、いわゆる生殖能力については、そもそも婚姻の要件じゃないと押さえたうえで、当事者間の永続的な人的結合関係を重視していると明確に述べた。安定的に生活することに意義の多くを見出している。それを踏まえると、伴侶との間に、配偶者としての法的身分関係の形成ができることが、安定して充実した社会生活の基盤であり、人格的な存在と結びついて重要な法的利益だと述べている。
 24条の趣旨について。憲法制定時は、男女間の人的結合関係を言うものだったが、当時は同性婚が議論になかった。両性、夫婦という文言は、同性間の人的結合関係に法的保護を与えないことを許容する趣旨ではない。 
 性的指向による区別の存在について。かつては同性愛が病理とされており、制定時は、社会通念に従って男女とされた。しかし、性的指向は本人の意思で選択できるものではなく、変更もできないものであり、差別が許されない、人権や平等の観点で尊重されるべきだとの認識が広く共有された。理解増進法にも言及しつつ、日本でもそういう認識が共有されたと。そして、婚姻を望むカップルは現に存在すると、具体的な生活状況を説明しているのが、これまでにない特長。原告の生活の実態、困りごとを判決文の2ページ分くらいを使って説明している。お互いの人生の伴侶であり、家事や子育てを分担し、共同生活している実態を認定している。以上から、配偶者としての法的身分関係の形成は、個人の人格的存在と結びつく重要な法的利益であって、異性/同性に関係ないのに、同性カップルにそれが与えられないのは、重大な違反だとしている。
・区別の合理的根拠として、子どもや生殖について言われてきた。確かに婚姻した夫婦が生殖と養育に果たしてきた役割は否定できないが、婚姻に不可欠な目的ではない。同性カップルに法的保護を与えても、男女間の婚姻や子育てには影響しない。今だって、異性カップルも自然生殖だけじゃないし、同性カップルでも子育てをしている。
・否定的な考えを持つ人の存在について。差別は許されないという認識は、基本理念であり、国にも明確に認識されている。国連自由権規約委員会からも同性婚しなさいとの勧告を受けている。同性カップルも婚姻相当だと見なすパートナーシップ制度は、どれほど広がっていることか。現在も「区別」を維持する根拠はない。
・配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設ける方法について。民法を改正する方法と、別制度を設ける方法があると言われてきたが、国会が立法する時は、個人の尊重、法の下の平等があるから、国会の裁量には限界がある。例えば、配偶者の相続権は性別とか子どもの有無にはかかわらないし、そういうことがほとんどの婚姻規定に当てはまる。だから、国会の立法についてもかなり限定的な注文をつけている。結論として、規定を設けていないことは性的指向による差別だと。最後になお、と言うことで、両性とか夫婦の文言が今述べた結論を左右するものではないと言っている。

 最後に、一部の報道で、憲法24条1項について合憲だとの判断が下ったと報道されているが、判断自体をしていないです、と釘を刺されていました。 

 
 続いて、原告のみなさんからコメントがありました。なお、原告の正さん&かつさんは、高裁で判決は聞いていたのですが、フライトの関係でこの場には来られませんでした。

◎原告コメント:小野春さん
 胸がいっぱいです。違憲というはっきりした言葉が聞けて、うれしく思っています。
 これまでの判決の中で、繰り返し、自然生殖ということを言われ、私は西川と一緒に子どもを育てていて、3人の子どもたちのことが胸に引っかかっていたのですが、今日は、裁判長が、いろんな家族がいるんだと言ってくださって、うれしかったです。実は、子どもの一人も一緒に判決を聞いていたのですが、よかったね、前進するねって言い合って、うれしい気持ちでした。裁判をやっているときは、自分の思いがちゃんと伝えられたのかとか、自信がないときもあったんですが、今日の判決はしっかり受け止めたくれたと感じられる内容でした。
 ここにいくさんの写真があります。一緒に聞きたかったと思う内容でした。最初に意見陳述した時に…(涙)、絶対、将来、結婚できるようになるよね、と話したけど、ちゃんと裁判長が違憲って言ってくれたよ、って。今日までに、同性婚実現を友達が、何人も亡くなりました。本当に一日も早く、法律になってほしいです。

◎原告コメント:小川葉子さん
 裁判長の口から、違憲だと聞けて、生きててよかったと思えました。足かけ5年以上かけて、その間にいろんなことが…いくさんのこともあるけども、いろんな影響があって、いろんなことが頭の中で回って、支えてくれた弁護士、マリフォーの皆さん、全国の仲間たちと一緒に、この判決を聞けてよかったです。
 でもやっぱり、時間がないんです。私たちも高齢です。今回、配偶者という言葉が聞けて、今までは家族という言葉でしたけども、配偶者という考え方ができるのかと希望が持てました。
 病院で検査を受けたり、体が悪いなか、法的なしっかりした支えがあれば安心だと思うことが多いです。立法に向けて早く動いてほしいです。

◎原告コメント:大江千束さん
 私も、なけなしの集中力で、裁判長の趣旨や要旨を聞きました。頭のいい裁判長で、優しげに説明してくれて。私たちが訴えてきたことを盛り込んで話してくれたのはうれしかったです。今考えたのは、長いこと同性婚を求める運動にたずさわってきて、1997年にハワイ州が同性婚を認めたことがきっかけで、世の中にそんなことがあるのかと思って、でも日本では無理だと思いながら、2000年頃から、レズビアンの人たちを中心に、同性婚の可能性を考える会を立ち上げて、2006年には尾辻さんがレインボートークをやって、同性愛者は二流市民扱いだと語っていて、2015年にパートナーシップ制度が始まったのはよかったけど、法的には効力がありません…。
 かねがね、婚姻制度にジェンダーの平等があるのかという疑問がありました。夫婦別姓とか、再婚禁止期間。再婚禁止期間については変わってきて、あとは別姓。ここで同性婚実現がジェンダーのバイアスを壊していく喝になると信じています。この勢いを途切らせないで、もう少し頑張っていきましょう。


 記者の方たちの質問に答える質疑応答が行なわれたあと(活発に質問が出されていました)、九州訴訟の原告のこうぞうさん&ゆうたさんからコメントがありました。

◎原告コメント:こうぞうさん
 東京で判決を聞くのは初めてでしたが、満足のいく判決でした。別制度と言われてきたことに対して、ぜひ婚姻の自由をと訴えてきましたが、そこについても現実的に無理なんじゃないかとの言葉があってうれしかったです。12月13日、福岡高裁の判決が今回のさらに上をいく判決になることを期待しています。

◎原告コメント:ゆうたさん
 12月13日、九州訴訟の控訴審判決が出ます。福岡は遠いと思いますが、冬の九州へぜひ。私たちも頑張ってきました。ぜひ見てください。力になります。今回と同じような結果になったら、皆様と喜びを分かち合いたいです。


【報告会】
 しばらくの休憩をはさんだのち、同じ会場でコミュニティ向けの報告会が行なわれました。記者会見よりももっとざっくばらんに、いろんな人が気持ちを語れるような会でした。
 司会は弁護団の仲村渠(なかんだかり)弁護士と三浦弁護士がつとめました。
 まず、「判決のここがスゴイ!」と題して、仲村渠弁護士と三浦弁護士が興奮ぎみに語ってくれました。

◎判決のここがスゴイ!

仲村渠弁護士
 まず、めちゃシンプルに憲法違反って言ってくれて。要旨でいきなり結論で違反って言ってくれたことに涙。小野さんがすぐ泣いてました(笑)。婚姻とは配偶者としてきちんと法的に保障されることだと認めてくれた。生殖だけじゃなく、多様な家族のあり方があって、保障しなきゃいけないと認めてくれた。重要な法的権利なんだと正面から言ってくれた。控訴人の主張をそのまま採用してくれた気がしました。

三浦弁護士 
 国側が、婚姻について、子を産み育てる男女の関係を保護する、自然生殖可能性が大事だと主張していることにおかしいだろうと散々言ってきました。子を産めない方や高齢の方などもいらっしゃるなか、パートナーに法的保護を与えるなど様々な理由で婚姻制度を利用していると何度も言ってきました。東京地裁判決でも、まだその残滓というか「呪い」が残っていた。どうにかせんといかんと思いました。今回は子を産み育てる男女だけが正当なあり方ではないとバッサリと明言してくれて、興奮しました。

仲村渠弁護士
 当事者の実態をきちんと拾ってくれたことが胸熱。私は小野さんの担当だったのですが、みなさん、それぞれ互いを人生の伴侶として暮らしてきて、積み重ねてきたものがあり、それは異性の婚姻と変わらないと直球で言ってくれた。要旨では、小野さん西川さんとは言ってないけど、お二人のことが書いてありました。裁判所がきちんと受け止めてくれたことがうれしかったです。

三浦弁護士
 ふるえました。現実を直視してくれる裁判官は信頼できる。司法に対する信頼が高まる。各所で「人格的存在」という言葉が出てきました。東京地裁判決では「人格的生存に対する重大な脅威」というキラーフレーズがありましたが、今回は、「人格的存在」。生存よりももっと根源的なところでこの価値が大事なんだと言ってくれた。同性に性的指向が向く人で婚姻を望む人たちは現に存在する、と言ってくれた。繰り返し主張してきたことを「人格的存在」と言ってくれたことに興奮しました。

仲村渠弁護士
 同性カップルに婚姻を認めても何ら不都合がないとも明言してくれましたね。新たに同性間の法的保護を与えたとしても、男女間の法的保護は何ら減じない、支障をきたさないと。これはすごい。よくあるヘイトで“少子化につながる”とか“ 国が滅びる”とか言われたりしますが、裁判所がそれを一蹴した、がっぷり四つに組んで頭から落とした印象です。

三浦弁護士
 判決のいい部分にマーカーを引いたんですが、ご覧ください、真っ黄色です(笑)。同性婚を認めたらどうなるんだろうという不安を覚える方に対して、冷静に考えてくれよ、あなたが同性と結婚しなきゃいけないわけじゃない、それぞれの幸福追求に影響は及ぼさない、怖がらなくていい、多大な変化もらたさない、そのことにより何ら減ずるものではないと言ってくれた。いいですね。結婚したいと思う人が結婚できるようになるのだと。興奮しました。

仲村渠弁護士
 ニュージーランドの議員さんの言葉を拾ってくれましたね。

寺原弁護士
 判決がすごいんですかね。私たちが主張してきたことを判決がなぞっているだけで、内容は新しくはないんじゃないでしょうか。東京高裁の保守的と言われる、エリート層の人たちが私たちの主張を採用してくれたことの勇気に感謝、という気持ちです。

仲村渠弁護士
 確かにそうですね。私たちがすごい(笑)。最後、憲法違反を明言してくれて、よかった!と。「立法裁量は、個人の尊重と法の下の平等という基本原則に立脚すべきである。裁量の限界を画するものである」というくだりもよかったです。

三浦弁護士
 100点。ただ、ここまで完璧にしちゃうと上告の理由がなくなってしまう(笑)

仲村渠弁護士
 判決のよかった部分をぜひ、拡散してくださいね。


 この後、参加者の方たちがコメントしました。初めに、他の訴訟の原告や弁護団の方がお話しました。

◎コメント:東京二次訴訟原告の山縣さん
 判決の後、立ち上がって、中川弁護士が握手してくれて、それだけで感動しました。中川さんは府中青年の家裁判以来、ずっと私たちを支援してくれた弁護士です。判決は沁みる言葉があった。東京二次の地裁判決は、社会的承認という言葉があって、反対の人もいるから、と。しかし、半年経って、全然変わって。これが集団訴訟の醍醐味なんだなと思いました。積み重なってるのがすごく感じられた。あの時は悔しかったけど、ここでは盛り上がって。だから我々が強い、勝てると確信しました。上杉さんも言ってたけど、僕もいい年だし、日々、人権侵害を受けている、ずっと人権蹂躙が続いているわけです。亡くなってしまう方もいます。早くこれを止めないと、と思います。

◎コメント:北海道訴訟の林弁護士
 全部いい。うれしいです。札幌高裁の判決はいいスタートダッシュでした。北海道のみんなもすごいです。

◎コメント:愛知訴訟の水谷弁護士
 私は東京訴訟にも関わってきたので、いくさんのことを思い出してしまって…。愛知の裁判官も、東京や福岡を意識していて、判決文を提出してほしいと言われています。今回の判決を提出することで、愛知でもいい判決が出るんじゃないかと期待しています。全国のこれまでの判決の中で、時には悔しい判決もありました。でも、みんなで前進を勝ち取っているなと感じられました。みんなで最高裁に行きたいです。

◎コメント:関西訴訟の三輪弁護士
 まずはおめでとう。とてもいい判決でした。今回の激熱ポイントは、制度の構築について、国会には立法裁量があるが、何の制度の構築もしないことの言い訳にはならないと言ってくれたこと。関西は、11月13日におそらく結審し、早ければ年度内に判決が出ます。大阪はまだ違憲判決に立ち合えていません。ご支援をお願いします。林官房長官が、他の訴訟も継続していて確定してない、注視していきたいと述べた。いつまで注視しとんねん、と。違憲判決がこれだけ出てるのに。選挙で国会の構成員も変わったことだし、議論が進むように声を上げていきましょう。

◎コメント:九州訴訟原告のこうぞうさん
 福岡地裁では、違憲状態という判決で、あとで記事になった自分の写真は、納得してない顔でした。次の高裁判決では笑顔になるように。同性婚が認められても誰も困ることはない。総理大臣が変わっても、相変わらず慎重姿勢です。立法府は早く動いてください。

◎コメント:九州訴訟原告のゆうたさん
 違憲って言ってくれた。別制度の話でモヤモヤが続いていて、正直、別制度という言葉を聞いたときから頭の中に入ってこなくて…でも、法廷を出たら、別制度はダメって言ってたんだと知って、これっていい判決だったんだ…としみじみわかった。みなさんと話して分かち合うことの意味を実感しました。

◎コメント:弁護団の鈴木弁護士
 2019年2月14日の東京の提訴のとき、私も東京にいて、入廷の時に小川さんたちのコートをお預かりしたりして。あの日から、この日までやっときたか…という感慨がありました。


 続いて、会場にいらした方にマイクが回され、自由に思いが語られました。

◎会場の方のコメント
 おめでとう。長いこと、頑張ってこられて、今日の日につながった。キレッキレの裁判長でした。資料を出せとタイトなスケジュールを示して、弁護団もそれに応えて動いてくれて。石垣を築いてくれたと思います。

◎会場の方のコメント
 きょうだいが仲良くて、パートナーも紹介して、親しくしてきたのですが、そんなきょうだいが、同性婚が認められて社会が変わるのは嫌だと言ったんです。子や孫に影響があったら嫌だと。ショックを受けました。

◎会場の方のコメント
 昨年2月の「見るのも嫌だ」という差別発言で心を病んだ。でも、この裁判の判決だけは聞こうと思って。報告を聞いて、私は生きてていんだと思えた。この世の中にいていいと認められたと思えた。うれしかった。この訴訟と今日の判決は、たくさんの同性愛者や多様な人々に勇気を与えてくれている。命を救ってきたと思う。少なくとも私は助かった。
(ものすごく身につまされるお話でした…。小野さんがたまらずハンカチで顔を覆っていました)

◎上杉弁護士
 おめでとうと言ってくださるのですが、これはみんなで勝ち取った裁判だと思います。みんなの思いに私たちが共感して、みんなのためにやっているんです。

◎会場の方のコメント
 大阪の判決で傷ついた。当時は当事者だと気づいたばかりで、本当に、心に痛かった。上京して、「結婚の自由をすべての人に」に関わって。あの判決からここまで来た。毎回ドキドキ。今日は違憲って出てよかったです。

◎会場の方のコメント(かずえちゃん)
 台湾のパレードに18万人が参加していました。沿道からも山のように応援がありました。判決を聞いて、涙が出てきた。いま台湾にいて町の人にインタビューしているんですが、ある50代くらいのストレートの男性が、以前はマンションとか地下鉄で同性どうしで手をつないでいるのを見かけて、変な人、見ちゃいけないと思ってたのに、同性婚が法制化されたあと、ふと、もしかしたら、自分が間違ってるんじゃないかと気づいた、と語っていました。法制化したことで、自分が奥さんと結婚したように、彼らも結婚したいのか、好きって気持ちは同じなのかと気づいたって言うんですね。それを聞いたとき、こうやって、法制化されることで社会が変わっていくんだなって感じました。

◎石川大我参議院議員
 今日まで頑張ってこられたみなさんに敬意を表します。衆院選でいい結果が出ました。尾辻さんが当選しました。最高裁の前に、国会で法制化したい。どっちが先か、競争だね、と言ったりしています。ぜひみんなで、国会にプレッシャーをかけていきましょう。

 最後に、原告のみなさんから改めてコメントがありました。

◎小野さん
 みなさんと一緒に前に進んで来られたと思っています。感謝です。すごい緊張してました。地裁判決では、チクチクするような言葉が入っていて、心が折れました。言い尽くしてもこうなんだ、って…。それで、控訴審のときには、意見書を書かなきゃいけないのに、何を書けばよいのかと無気力感にとらわれてしまって…。今は、もう一度丁寧に書けばよかったと後悔しています。今日は、すごく怖くて。みんなが頑張ってくれてたのに、自分はあまり頑張っていなかったので。でも違憲って言っってくれて、すごくうれしかったです(涙)。5年間いろんなことがあって、亡くなった友達のことも思い出して。今日、本当によかったです。頑張ろうと思えました。ありがとうございます。

◎小川さん
 担当の弁護士の三浦さんと水谷さんにお世話になりました。感謝です。先ほど「呪い」という言葉がありましたが、「呪い」って「祝い」という漢字とそっくりで、表裏一体なのかもしれないですね。私たちは祝うような判決を望みます。呪うのはもうよそうよ、と。周囲でも、気づいたら、以前非難したりしていた人がコロッと変わって、態度を変えたりしています。社会の大きな変化を感じています。このままだと自分が呪われると感じたんじゃないかな。世の中ってそういうものなのではないでしょうか。

◎大江さん
 私が原告の中でいちばん年かさで。いろんなことがある。体調不良。老化現象。できることができなくなる。思い返すと、高裁の意見陳述でも、口腔フレイールでうまく喋れないということがあって、担当の方が理解してくれて、最後にようやく陳述できました。ありがたいです。老化が進みながらも、今日この日に立ち合えてよかったです。私たちが主張してきたことを裁判官がなぞってくれた。社会的承認が高まってると思います。LGBTQとアライのみなさんにとって、力になるような、エンパワーされる判決でした。みなさんありがとうございます。

 本当の最後に、東京訴訟共同代表の上杉弁護士から締めのコメントがありました。

◎上杉弁護士
 5年間、いろいろありました。最初の裁判長は原告の尋問すらさせないという人で、それで署名活動をしたり。地裁の判決では不当な内容もあって、それに対して今回、膨大な書面を提出し、すごく頑張った結果、今日の判決があります。嫌なところが何もない判決でした。当たり前の、我々の主張に追いついている内容でした。日本でこんなに違憲判決が続けて出ることが珍しいし、どんどん良くなっていると思います。一日も早く法制化を。

INDEX

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