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特集:アジアンクィア映画祭2026

数々の話題作を日本初上映してきたアジアンクィア映画祭が13年ぶりに復活を果たします。ここでしか観られない、本当に素晴らしいアジアのクィア映画を堪能できる映画祭です。ぜひこの機会にご覧ください。みんなで笑ったり泣いたり拍手を送ったりしましょう

特集:アジアンクィア映画祭2026

(アジアンクィア映画祭『夢を見たと言って』より) 

 渋谷ユーロライブで2月21日(土)・22日(日)の2日間にわたって第5回アジアンクィア映画祭(AQFF=Asian Queer Film Festival)が開催されます。日本でなかなか公開されないアジアのクィア映画(特にインディーズ作品)を発掘し、のちに日本でも劇場公開された『後悔なんてしない』や『GF*BF』など、数々の話題作を日本初上映してきました。アジアらしいエモーショナルな作品に魅了され、泣いたり笑ったり拍手を送ったりしてきた方も多いはず。そんなAQFFが今年、13年ぶりに復活を果たすことになりました。今回は「韓国フォーカス〜共振する色彩、輝くソウル〜」をテーマに、韓国のレズビアン&ゲイ映画6本が上映されます。オープニングとクロージングではゲストの登壇もあるそうです。2月の三連休にぜひ、アジアのレズビアン&ゲイ映画を楽しみましょう。

第5回アジアンクィア映画祭
日程:2月21日(土) – 2月22日(日)
会場:ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
上映スケジュールの詳細やチケットについては公式サイトをご覧ください


<アジアンクィア映画祭の魅力>
 アジアンクィア映画祭は、自身も短編映画を製作してきた(「Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN」にも参加していた)iriさんという方が始めた映画祭で、アジアの良質なクィア映画を日本でも!という熱い思いにあふれています。『後悔なんてしない』や『GF*BF』だけでなく、どの作品も本当に観てよかったと思える作品ばかりで(決して後悔なんてしません)、個人的には特に韓国の『蛍の光』という、今はすっかり年老いたおじさん二人が偶然、何十年もの時を経て再会し、若い頃に(うらぶれたホテルで)熱い一夜を共にしたことを思い出し…という、ゲイがゲイとして生きるのが難しかった時代を生きた世代へのオマージュのような作品や、マニラのスラム街に住むゲイの男の子とハンサムな警察官の「友情」を描いた『マキシモは花ざかり』を観て号泣したのを憶えています。

 レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)に比べると低予算で小規模な映画祭ではあるかもしれませんが、欧米よりも身近に感じられるようなアジアの人たちを描いた、笑いや感動のツボが近いエモーショナルな作品、一生忘れられないような、もしかしたら人生観が変わるかもしれないような映画に出合えることが大きな喜びです。

 すぐ近くの国でありながら、あまり現地のゲイの人たちと話したりすることがない韓国や台湾、香港、フィリピン、タイ、シンガポールなどの国々のゲイ(をはじめとする性的マイノリティ)の映画を観ることで、ああ、同じような経験をしてるんだな、とか、同じように悩んだり幸せを感じたりしてるんだな、と実感し、つながりや絆を感じられる機会にもなります。もしかしたらソウルの鍾路(チョンノ。二丁目みたいな街)に行ってみたい!と思ったり、実際に行ってみたり、友達を作ったりするきっかけにもなることでしょう。今は円安がひどくてアメリカやヨーロッパは気軽に行ける場所ではなくなってしまいましたが(考えてみればもともとアジア人差別などもありましたし)、今後ますますアジアのゲイコミュニティとのつながりが増えるでしょうし、そのことには決して小さくない意義があると思います。

 ともあれ、これを機に、アジアのクィア映画を楽しみ、ゲイだらけの会場で泣いたり笑ったり、熱い時間を過ごしていただれば幸いです。

<上映作品>
イバンリのチャン・マノク!
 ソウルでレズビアンバー〈レインボー〉を営むマノクは、母の訃報をきっかけに店を畳み、故郷イバンリへと戻る。しかし、村の長を務める元夫の妨害や、偏見に満ちた地域社会の現実に直面した彼女は、自ら村長選挙に立候補することを決意するが――。
 2025年の富川国際ファンタスティック映画祭で〈観客賞〉を受賞し、主演のヤン・マルボク(『同じ下着を着るふたりの女』『イカゲーム』出演)が〈俳優特別言及(Special Mention)〉を受けた本作。韓国の地方を舞台に、ジェンダーと世代を超えて生きる力を描いた、ハートフルなヒューマン・コメディ。現在、韓国国内外の映画祭で“マノク旋風”を巻き起こしている。頑固でチャーミングなマノクが繰り広げる、「笑いと痛み、そして連帯」の物語。(レビューはこちら
2024年|監督:イ・ユジン|108分|日本初上映|AQFFオープニング作品

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 若い脱北者チョルジュンは、脱北者同士の強い絆に支えられながらも、自らがゲイであることを隠したまま、深い孤独を抱えていた。やがて彼は、ソウルの活気あるゲイコミュニティに足を踏み入れ、そこで出会ったヨンジュンと心を通わせていくが――。
 2025年の全州国際映画祭では〈配給支援賞〉〈CGV賞〉〈Watcha賞〉を受賞し、ヨンジュン役のキム・ヒョンモクも〈俳優賞〉を受賞。また、同年の青龍映画賞では最優秀新人監督賞にノミネートされた本作は、同年9月に韓国で劇場公開され、インディ/アート系部門で興行ランキング首位を記録した話題作。静かな語り口の中にアイデンティティや理解、「共に生きること」の意味を問いかける感動作です。日本でも口コミで人気が広がっているとしてこちらの記事でフィーチャーされたりして関心が高まっていた作品です。
2025年|監督:パク・ジュンホ|124分|日本初上映

二人 〜リハーサルのない人生〜
 36年前、スヒョンはドイツ在住の韓国人女性信徒による修練会で、インソンと初めて出会い、花を贈った。当時既婚者だったインソンは、夫の脅迫や在独韓国人社会からの圧力にもかかわらず、愛を求めてスヒョンを選んだ。20代で言葉も通じない異国の地・ドイツに渡り、看護師として働いた二人は、30年間にわたって人生の苦楽を共に歩み、自分たちと同じ〈異邦人〉のために連帯し、互いを支え合ってきた。
 釜山国際映画祭やソウル国際女性映画祭をはじめ、韓国国内外の数多くの映画祭で上映され続けているドキュメンタリー作品。少数者の生に寄り添い、共に生きる人々の姿を見つめた映画であり、「境界を越えてきた二人の愛」を静かに、しかし力強く映し出す物語です。
2022年|監督:バン・パク・ジウン|80分|日本初上映

夢を見たと言って
 カメラの中古取引で出会ったキョンイルとキョンホ。キョンホはお金が必要でカメラを売りに来るが、愛着のあまりなかなか手放せない。ひと悶着の末にキョンイルがカメラを受け取って去ると、諦めきれないキョンホは思わず後を追う。奇妙な占い師や元カレとの遭遇を経て、二人の一日は思いがけない方向へ転がっていく——。
 2025年の全州国際映画祭でワールドプレミアされた本作は、オープンリー・ゲイの監督であり、韓国で初めて同性結婚を挙げたことでも知られるキム=ジョ・グァンス監督(『ただの友達?』『2度の結婚式と1度の葬式』)の最新作。“BLの名手”として確固たる人気を築いた監督が贈る、軽やかで愛おしいロマンティック・コメディです。
2025年|監督:キム=ジョ・グァンス|73分|日本初上映

夏の日のカメラ
 高校生のナツは、亡き父が残したフィルムを現像できずにいた。しかし、サッカー部のスター選手ヨンヌと出会い、彼女を撮るうちに心が動き始める。現像した最後のフィルムには、父が密かに撮影していた一人の男性の姿が写っており――。
 2025年のシアトル国際映画祭フューチャー・ウェーブ部門で〈最優秀長編作品賞〉を受賞。映画『虐待の証明』(2018)でデビューし、映画『クローゼット』やNetflix映画『キングダム:アシンの物語』『キル・ボクスン』、ドラマシリーズ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』シーズン2・3などに出演、複数の子役賞を受賞してきたキム・シアが、本作で初主演を務めます。
2025年|監督:ソン・ディヴァイン|82分

ソラスタルジア
 2022年、韓国・江原道東海市で朝鮮半島史上最大規模の山火事が発生する。映画学科の学生たちは、卒業制作のドキュメンタリーを撮るために被災地を訪れるが、撮影中の対立を経て大半のスタッフがソウルへ戻り、現地には監督と撮影監督だけが残ることに。二人は長い時間をともに過ごすうちに、監督の過去と心の傷が明らかになっていき――。
 本作は、韓国クィア映画の旗手イ=ソン・ヒイル監督(『後悔なんてしない』)による、10年ぶりのクィア映画復帰作であり、最新作。タイトルの「Solastalgia(ソラスタルジア)」は、環境変化によって故郷を失った人々が抱く“失われた場所への郷愁”を意味するそうです。
2024年|監督:イ=ソン・ヒイル|95分|海外初上映|AQFFクロージング作品

 
 

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