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特集:2026年4月の映画・ドラマ
2026年4月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月はゲイコミュニティ発信の映画の上映会がいくつかあります。ぜひ足を運んでみてください

( theStagPartyShowMovies10th「夜行」上映会より)
桜も咲いて(花粉症の方にはつらいですが)春の訪れに心躍る季節になりましたね。学校を卒業し(おめでとうございます)、この4月から進学や就職で都会に来られる方もいらっしゃることでしょう。一方で、世界情勢ゆえに不安な気持ち(や怒り)を抱える方も多いことと思います。震災やコロナ禍の際もぼくらのコミュニティではさまざま、温かくも素敵な取組みが行われ、励まし、支え合おうとしてきました。希望を失わず、今回もきっと乗り越えられると信じましょう。
この4月に上映・配信されるLGBTQ(クィア)映画の特集です。今月はゲイコミュニティ発信の映画の上映がいくつかあります(逆に一般公開の作品は珍しくほとんどありません)。お休みの日、ぜひ映画館に足を運んでみましょう。
新たに情報がわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに4月1日は「ファーストデー」(しかも日曜日)。多くの映画館で1100円〜1300円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『レンタル・ファミリー』『ジョン・クランコ バレエの革命児』なども上映中です。
(最終更新日:2025年3月29日)
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<今月のトピック>
ギィ・ジルのこと
4月18日(土)から「忘れ去られたヌーヴェルヴァーグの名匠」ギィ・ジル監督の初期2作品『海辺の恋』と『オー・パン・クペ』が上映されます(詳しくはこちらをご覧ください)。1960年代のフランスで、若い映画人が従来のルールに囚われない革新的なスタイルで新たな映画表現を確立していった、その「新しい波」がヌーヴェルヴァーグと呼ばれていて、ジャン=リュック・ゴダール(『勝手にしやがれ』)、フランソワ・トリュフォー(『大人は判ってくれない』)、クロード・シャブロル、エリック・ロメール、ジャック・リヴェットなどの監督が有名ですが、ギィ・ジルも、生前はほとんど知られることがなかったものの、近年再評価されています。
ギィ・ジルはバイセクシュアルで、1971年にプルースト(20世紀の最も偉大な作家の一人であり、ゲイ)のドキュメンタリーを製作し、1972年公開の「Repeated Absences(反復された不在)」という作品でもバイセクシュアルなありようが描かれました(主人公のフランソワにはギィという友人がいて、二人はそれぞれ異性の恋人がいるけれども、お互いに友情以上の感情を抱いている様子が描かれています)。その後、ジャン・ジュネのドキュメンタリーを製作し、1978年のゲイ映画祭(世界初?)でプレミア上映されることになりましたが、会場に押し入ってきたファシストたちに攻撃され、負傷しました。ギィ・ジルは80年代後半、エイズを発症し、1996年2月3日に57歳で逝去しました。
今回上映される2作品はクィア的な要素はないのですが、そういう監督が作った映画だということはお伝えしたいと思いました。
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上映中
レンタル・ファミリー
『ザ・ホエール』で死にゆく巨漢のゲイを演じ、第95回アカデミー主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーが主演を務め、全編日本で撮影を敢行したヒューマンドラマ映画です。ゲイのキャラクターが登場するようです(※ブレンダン・フレイザーではありません)。また、“家族”のような役割を演じる人をレンタルするというありようが、血のつながりを重視するのではなく各々が大切だと感じる人と家族になっていくLGBTQの「chosen family」を連想させる、などとも言われているようです。
<あらすじ>
かつて歯磨き粉のCMで一世を風靡したものの、近頃は世間から忘れ去られつつあるアメリカ人俳優フィリップ。俳優業を細々と続けながら東京で暮らし、すっかり街になじんでいた。そんなある日、フィリップはレンタル・ファミリー会社を経営する多田から仕事を依頼される。レンタル・ファミリーとは、依頼人にとって大切な「家族」のような役割を演じることで報酬を得る仕事。最初のうちは、他人の人生に深く関わることに戸惑うフィリップだったが、仕事を通して出会った人々と交流していくうちに、いつしか彼自身の心にも変化が起こりはじめる。
レンタル・ファミリー
原題:Rental Family
2025年/アメリカ/110分/配給:ディズニー/監督:HIKARI/出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマンシャノン眞陽ほか
2月27日より全国でロードショー公開
上映中
ブルームーン
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』に始まる3部作や、『6才のボクが、大人になるまで』で知られるリチャード・リンクレイター監督が、長年にわたりタッグを組んできたイーサン・ホークを主演に迎え、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』『ブルームーン』など数々のスタンダードの詞を世に送り出した天才作詞家、ロレンツ・ハートの忘れられない一夜を描いたほろ苦い伝記ファンタジー映画です。ロレンツ・ハートはゲイで、恋に奔放で、アルコール依存症でもあったようですが、長年作曲家のリチャード・ロジャースと組んで、名曲を生み出してきました。演劇人たちの溜まり場であり、公演初日の夜には酒や料理を楽しみながらその日の劇評が載った朝刊の早刷りを待つ場所ともなってきたブロードウェイのレストラン『サーディーズ』を舞台に、ロレンツ・ハートがリチャード・ロジャースが二度と自分とは仕事をしないだろう予感にふるえながらバーテンに愚痴をこぼしたりしている、けれども以前からミューズのように仰いでいた聡明な美女・エリザベスと待ち合わせていて、今夜こそはその愛を得ようと意気込んでいる(ゲイであるハートがなぜエリザベスに?というのは、1940年代という時代ゆえのことでもあるでしょう。映画を観ればきっとわかると思います)というお話です。ロジャース役をアンドリュー・スコットが演じ(ゲイのハートをノンケのイーサンが、ノンケのロジャースをスコットが演じているのが面白いです)、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しています。スタンダード・ナンバーに彩られた素敵な作品です。
<あらすじ>
ロレンツ・ハートは、長年のソングライティングパートナーだった作曲家のリチャード・ロジャースが新たな相棒と組んで手がけたミュージカル『オクラホマ!』が初演された1943年3月31日の夜、ブロードウェイのレストラン『サーディーズ』で行われたパーティに招待されていた。そこで過ごす一夜でハートは、愛や嫉妬、焦りや憧れなど、交錯する自身のさまざまな感情と向き合っていく…。
ブルームーン
原題または英題:Blue Moon
2025年/アメリカ/100分/監督:リチャード・リンクレイター/出演:イーサン・ホーク、マーガレット・クアリー、ボビー・カナベイル、アンドリュー・スコットほか
3月6日(金)公開
上映中
ジョン・クランコ バレエの革命児
英国で振付家として名を成したのち、1960年代にドイツに渡り、地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を短期間で世界トップレベルに引き上げた天才振付家、ジョン・クランコ。生涯で90作を超えるバレエを作り、代表作である『オネーギン』は金字塔と呼ばれ、今日でも各国で上演され続けています。その『オネーギン』の誕生秘話や、45歳の若さで非業の死を遂げた彼の素顔を、現役の花形ダンサーたちによる圧巻のダンスシーンで彩りながら描き出した作品です。撮影は本拠地であるシュトゥットガルト州立歌劇場で行われ、シュツットガルト・バレエ団が全面協力。クランコ役を『マレフィセント』のサム・ライリーが演じるほか、シュツットガルト・バレエ団からフリーデマン・フォーゲル、エリサ・バデネス、ジェイソン・レイリー、ロシオ・アレマン、ヘンリック・エリクソンが出演。監督・脚本を、長年同バレエ団を取材してきたヨアヒム・A・ラングが務め、1960年代の美術や衣裳も再現。音楽をシュトゥットガルト州立管弦楽団が担当しています。
<あらすじ>
英国で活躍する新進気鋭の振付家ジョン・クランコは、警察のおとり捜査により同性間性行為の罪で起訴される。1960年、ロンドンを追われた彼は、伝手を頼ってドイツに渡り、シュツットガルト・バレエ団で客演することになる。偏見なく自分を受け入れてくれる同バレエ団に居場所を見つけた彼は翌61年に芸術監督に就任し、自由な発想で美と情熱を表現する作品とカンパニーを作り上げていく。1969年、バレエ団はニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招かれ、一夜にして世界の頂点へと駆け上がる。
ジョン・クランコ バレエの革命児
原題または英題:John Cranko
2024年/ドイツ/138分/G/監督:ヨアヒム・A・ラング/出演:サム・ライリーほか
4月4日 鎌倉
ふたりのまま
誰もが安心して暮らせるやさしい鎌倉を目指し、鎌倉で「LGBTQと家族」を考えるトーク&映画上映会が開催されます。映画『ふたりのまま』の上映、そして鎌倉で活動する多彩なゲスト(なんと武士も来場!?)によるトークイベントです。同性婚の実現をはじめ、誰も取り残されないまちについて、一緒に考えませんか?
第一部:映画『ふたりのまま』上映 16:05〜
第二部:トークイベント ゲスト:加納晶さん、星野慎二さん、長村さと子監督18:05〜
鎌倉と多様性 ~LGBTQ+と家族、誰も取り残されないまち鎌倉へ~
第一部:映画『ふたりのまま』上映
第二部:トークイベント ゲスト:加納晶さん、星野慎二さん、長村さと子監督
日時:2026年4月4日(土)16:00-19:30
会場:鎌倉生涯学習センター きらら鎌倉
参加費:500円(18歳以下無料)
定員:先着40名(事前申込制)
詳細・お申し込みはこちら
4月5日 東京
【ロスバウ】先行上映+トーク&交流会イベント
2017年からYouTubeにてゲイ・インディーズ・ムービーを配信する映像制作サークル『東京Neighbors』chが現在、昨夏から起ち上げたキャストチームが中心となって出演する新作連続ドラマを鋭意準備中で、それに先駆けて制作した2本のドラマをシアターで上映することになりました。新作の中篇『Lost Boundary』(ロスバウ)はYouTube配信前の先行上映。さらに各回、上映後はキャストチームが登壇するトークセッションや交流会も。2027年の10周年に向けて鋭意準備中の『東京Neighbors』の新たなスタイルを、いち早くシアターで体験しましょう。
『東京Neighbors』ch 新作!【ロスバウ】先行上映+トーク&交流会イベント
日時:2026年4月5日(日)11:30-13:00、14:00-15:30
会場:TheaterSPROUT(台東区松が谷3-1-12 Kappa D.C 1F&2F)
料金:Youtubeメンバーシップ会員1,500円、一般2,000円
上映作品:
短編『ねこが来るまで』(10m)
中篇『Lost Boundary -失われた境界線-』(30m)
※上映後にキャストチーム&制作スタッフによるトークセッションと交流会があります
※『ねこ来る』『ロスバウ』共に、YouTubeでは一般公開されません(メンバーシップ限定公開)
出演:東ネバ・キャストチーム todoteru、直樹、おふとん、伊藤大貴、Moto、じょん
4月12日 東京
Movies10th「夜行」上映会
theStagPartyShowMovies10作目「夜行」が上映されます。これは「夜にしか生きられない男の物語」であり、「この時代を「生きづらい」という思いを胸に夜を行き、自分の居場所をただ求めて彷徨う登場人物たちを浅薄な色彩の世界に閉じ込めた」作品です。当日は出演者・スタッフによるビフォア・アフタートークがございます。
<あらすじ>
ただ奔放に生きてきた男は、どこにも居場所を見出せずにいた孤独な男と出会う。二人は互いに想いを届け合うも結ばれず、いつしかそれぞれの隣に本当の自分の居場所を見つけるのだが…
Movies10th「夜行」上映会
日時:4月12日(日)12:30-、19:15-
会場:吉祥寺「リベストプラザ」
出演:とし(theStagPartyShowTokyo)、こーすけ(theStagPartyShowTokyoGuest)、ばんせ(theStagPartyShowTokyoGuest)、ともひろ、たかし、しん(theStagPartyShowTokyoGuest)、マサムネ、だいすけほかtheStagPartyShowTokyoMembers
INDEX
- 特集:2026年4月の映画・ドラマ
- レポート:GAP6「2030年までのHIV流行終結を目指すPhoto&Movieプロジェクト」記者発表会
- 2026上期の舞台作品
- レポート:第4回岸和田レインボーパレード
- 春だから検査を受けよう! 東京都新宿東口検査・相談室レポート
- 2026春のクィア・アート展
- 特集:2026年3月の映画・ドラマ
- レポート:愛と結婚を考えるバレンタインパーティー in 新宿二丁目
- 特集:アジアンクィア映画祭2026
- 特集:衆院選2026 〜私たちの未来への一票を投じましょう〜
- 特集:2026年2月の映画・ドラマ
- レポート:Queer Space Tokyo
- 特集:レインボーイベント2026(上半期)
- レポート:年忘れお楽しみイベント「gaku-GAY-kai 2025」
- 特集:2026年1月の映画・ドラマ
- レポート:BUFF Fetish Xmas
- 2026年への希望を込めて――年忘れ&年越しイベント特集2025
- レポート:高雄同志大遊行(KHPride)
- レポート:レインボーフェスタ和歌山2025(2日目)
- 2025-2026 冬〜新春のクィア・アート展







