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特集:2026年11月上映のクィア映画

2026年11月に上映されるLGBTQ関連の映画の情報をお伝えします。今月は、ついに『となりのとらんす少女ちゃん』が公開されるほか、レインボーファミリーにエールを送る作品『このごにおよんで愛など』、カンヌで上映されたクィア映画『キャンプ・ミアズマ ティーンのセックスと死』なども上映されます

特集:2026年11月上映のクィア映画

 (『となりのとらんす少女ちゃん』より)

夏に逆戻りしたかと思われた10月も終わり、気がつけば、はや11月です。芸術の秋。お出かけもしやすい季節。というわけで、この11月に上映されるLGBTQ(クィア)関連の映画やドラマをご紹介します。今月は、ついに『となりのとらんす少女ちゃん』が公開!です。みなさん、ぜひぜひ、ご覧ください。そのほか、レインボーファミリーにエールを送る日本映画『このごにおよんで愛など』や、カンヌで上映されたクィア映画『キャンプ・ミアズマ ティーンのセックスと死』、中国でドラァグクイーンになった少年のドキュメンタリー『ファンキータウン 暗黒の光』なども上映されます。札幌と福井でLGBTQ映画祭も開催されます。また新しい情報も入ってくると思いますので、わかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに11月1日は「ファーストデー」。多くの映画館で1100円〜1300円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『3670』なども絶賛上映中です。
(最終更新日:2025年10月26日)

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<今月のトピック>

★ビル・コンドンの『蜘蛛女のキス』の公開が1月1日に決定!!
 『シカゴ』『ドリームガールズ』『グレイテスト・ショーマン』という名作を世に送り出してきたゲイの監督、ビル・コンドンが手がけ、ワールドプレミアではスタンディングオベーションで絶賛されたという話題作『蜘蛛女のキス』の公開日がついに決まりました。12月25日よりTOHOシネマズ 日比谷にて先行公開され、2027年1月1日より全国公開となります。お正月はみんなでこぞって観に行きましょう!


アイスホッケーの次はテニス! 主演はロメオ・ベッカム!
 アイスホッケーのライバルどうしだった選手が恋に落ちるというドラマ『ヒーテッド・ライバルリー』が欧米で社会現象となりましたが、今度は、最初はライバルだったものの恋に落ちていく2人のテニス選手の姿を描いたフランス映画『Forty Love』が発表されました。主演はデヴィッド・ベッカムとヴィクトリア・ベッカムの次男でサッカー選手/モデルとして人気を集めてきたロメオ・ベッカム。今作で俳優デビューを果たします。ロメオと恋に落ちるテニス選手を演じるもう1人の主役は俳優のポール・キルシェ。ほかにもカトリーヌ・ドヌーヴなども出演するそうです。公開が楽しみですね。

 
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上映中
3670

 脱北者であり、ゲイであるという「二重のマイノリティ」性を抱える青年チョルジュンを主人公に、彼がおずおずと鍾路(チョンノ)のゲイコミュニティへ足を踏み入れていく様や、友情、純愛、「二丁目的なもの」のリアルを描いた映画『3670』(レビューはこちら)。今年2月のアジアンクィア映画祭(AQFF)で上映され、会場が満員になるほど熱い注目を集めた作品が、めでたく劇場公開されることになりました。配給はAQFFを主催するレズビアンの方が立ち上げたショートレッグフィルム(『3670』が初の配給作品となります。このあと『宵闇の火花』の配給も決まっています)。そういう意味でも素晴らしい作品ですので、ぜひご覧ください。

<あらすじ>
北朝鮮から脱北したゲイの青年チョルジュンは、脱北者同士の強い絆に支えられながらも、自身がゲイであることを隠したまま深い孤独を抱えていた。韓国社会にも脱北者コミュニティにも完全には居場所を見出せずにいた彼は、やがてソウルの活気あるゲイコミュニティに足を踏み入れ、人懐っこい青年ヨンジュンと出会う。ヨンジュンとの関係をきっかけに、初めての仲間、初めてのつながりを得ながら、少しずつ世界を広げていくチョルジュンだったが……。

3670
2025年/韓国/124分/カラー/監督・脚本・編集:パク・ジュンホ/出演:チョ・ユヒョン、キム・ヒョンモクほか/配給:ショートレッグフィルム
2026年9月25日(金)渋谷ホワイトシネクイント、10月9日(金)アップリンク京都、ほか順次拡大公開


 
上映中
ナギダイアリー

 今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されて話題になった作品です。深田晃司監督が岸田國士戯曲賞を受賞した平田オリザさんの代表作『東京ノート』に着想を得て脚本を執筆し、岡山県奈義町をモデルにした「ナギ」を舞台に新たな物語を描き、企画の立ち上げから9年の歳月をかけて完成させました。松たか子さんが、癒えない喪失を抱えながら彫刻制作に没頭する寄子という複雑なキャラクターを演じています(クィアの役です)。『Esquire』の「深田晃司監督作品『ナギダイアリー』量産型BLを吹き飛ばす衝撃作【カンヌ国際映画祭2026】」によると、今作は「“共感”とは何かを観客に問いかける、稀有なクィア映画」であり、量産されるBLを吹き飛ばすような「マイノリティ消費を徹底的に避け、社会と接続したクィア映画」です。松たか子さん演じつ寄子が、ストレートであろう義理の妹・友梨との対話の中で、過去に経験した残酷なことをぽつりぽつりと話し、それは真っ白なシャツでトマトソースのスパゲティを食べているときに点々とつくシミのような感じで、昨今目立つ量産型BLは、この「シミ」を漂白している、まるで社会的問題などないかのようにクィアの背景がきれいに「なかったこと」にされている、エンタメとして消費できるほど当事者が体感する恋愛の痛みはスイートではない、本作はそんな消費型クィア作品へ向けた、深田監督のアンチテーゼなのではないかと思うほど、ごまかさずに地方に生きるクィアのリアルを訴えてくる、と綴られています。「地方と都会。日本とアメリカ。女性と男性。大人と子ども。マイノリティとマジョリティ――。あらゆる非対称性に気づくのはいつも「ではない方」の側。自分のマイノリティ性に気づいたいっぽう、マジョリティ性には鈍感でいる都会人でストレートとして生きてきた友梨の視点を通じ、本当に“共感”するとはどういうことなのかを観る側は掘り下げざるを得なくなる」。この記事を読んだだけで、「絶対に観なくては」と思えます。 

<あらすじ>
自然豊かな町・ナギで、ひとり創作に打ち込む彫刻家の寄子。ある日、東京と台湾で建築家として活躍する友梨が数日間の休暇をとり、別れた夫の姉である寄子のもとを訪れる。若くして妻を亡くした寄子の幼なじみ・好浩、息子の春樹とその親友・圭太など、人々との出会いは穏やかな日常に小さな揺らぎをもたらしていく。友梨は寄子の彫刻のモデルを毎晩つとめるなかで彼女の知られざる喪失に触れ、友梨自身にも変化が起こりはじめる。

ナギダイアリー 
2026年/日本・フランス・シンガポール・フィリピン合作/110分/G/監督:深田晃司/出演:松たか子、松山ケンイチ、石橋静河ほか



11月1日 札幌
札幌LGBTQ映画祭ミニ2026

 ​映画を通して「北海道にアライの輪を広げる」イベント。今年は規模を縮小し、インタラクティブなイベントとして開催します。上映作品は『ふたりのまま』です。

札幌LGBTQ映画祭ミニ2026
日時:11月1日(日)13:00開場、13:30開始
会場:赤れんが庁舎 2階 赤れんがホールA
料金:前売 1,500円、当日 2,000円



11月2日上映 東京
キャンプ・ミアズマ ティーンのセックスと死

 『テレビの中に入りたい』等で注目されたジェーン・シェーンブルンの最新作が東京国際映画祭で上映されます。1980年代に大流行したスラッシャー映画へのオマージュであると同時に、映画が自己形成にどのような影響を与えるかについて考察する作品でもある本作は、第79回カンヌ映画祭「ある視点」部門のオープニングを飾っています。ジェーン・シェーンブルンはノンバイナリーの監督で、今作ではバイセクシュアルのハンナ・アインバインダー(『Hacks』)、パンセクシュアルのジリアン・アンダーソン(『X-ファイル』『セックス・エデュケーション』『ザ・クラウン』)、ノンバイナリーのジャック・ヘヴン(『テレビの中に入りたい』『クイーンズ・オブ・ザ・デッド』)というクィアな俳優を起用しています。

<あらすじ>
若い女性監督クリスは、子どもの頃に夢中になって見ていたスラッシャー映画『キャンプ・ミアズマ』のリメイクを監督することになった。彼女は、その第1作で最後まで生き残ったヒロインを演じたビリーをキャスティングするため、人目を避けて第1作のロケ地に暮らしているビリーを訪ねる。ふたりがかつての映画について語るにつれ、現実と虚構の境界が次第に曖昧になってゆく…。

キャンプ・ミアズマ ティーンのセックスと死
原題:Teenage Sex and Death at Camp Miasma
2026年/アメリカ、カナダ/112分/脚本・監督:ジェーン・シェーンブルン
11月2日(月)15:15-、ヒューリックホール東京で上映 *ジャパン・プレミア



11月3日 福井
福井LGBTQ+映画祭2026

 かずえちゃんが主催する福井LGBTQ+映画祭も今年で6回目を迎えます。午前の部は『熱狂をこえて』、午後の部は『LGBTQ+100人カミングアウト2026』を上映し、それぞれ松岡弘明監督、KAZUYUKIさんがアフタートークに出演します。

福井LGBTQ+映画祭2026 
日時:2026年11月3日(火祝)10:00-16:00
会場:テアトルサンク スクリーン4(福井市中央1丁目8-17 アップルビル4階)



11月7日公開
となりのとらんす少女ちゃん

 ついに公開! 全編関西弁の笑えて泣ける胸キュンエンタメ作品『となりのとらんす少女ちゃん』。原作も出演者もトランスジェンダーなので安心して観れる(差別的表現や見下しや侮蔑が感じられない)作品になっているという信頼感がしっかりあって、そのうえで、トランスジェンダーのことを正面から深く描きつつ、ゲラゲラ笑えるエンタメ作品に仕上がっていて、一般の映画館でメジャー作品として上映されるってスゴイこと。日本のLGBTQ映画史に残る快挙です。キホン、関西弁のベタでコテコテなコメディで、寅さんじゃないけど家族のことを描いたファミリードラマでもあって、笑えて泣ける映画になってます。主演は『ブルーボーイ事件』の中川未悠さん(兵庫県出身)。お母さん役ははるな愛さん。オバチャーンもカメオ出演してます。マジ面白素晴らしいのでぜひ観に行ってください!(レビューはこちら)

<あらすじ>
母親と2人で大阪に暮らす中学2年生のユウタのもとに突然、ユウカと名乗る女性が現れる。ユウカは10年後の未来からやって来たユウタ自身で、多大な苦労の末に性別適合手術を受けて現在の姿になったのだと言い張る。そしてユウタに対し、二次性徴が始まって男の身体になる前に一刻も早く性別移行に向けてホルモンを飲み始めるよう迫る。性別違和を感じていないわけではないユウタだったが、あまりにも強引なユウカに反発、2人の攻防が始まる。そんな中、ユウタの14歳の誕生日に「事件」が起こり、ユウタは未来への選択を迫られることになる――

となりのとらんす少女ちゃん
2026年/日本/72分/原作:とら少/脚本・監督:東海林毅/出演:中川未悠、はるな愛、髙橋蒼太、竹内大騎、イシヅカユウ(声の出演)ほか
11月7日より新宿K's cinemaほか全国ロードショー公開



11月8日 東京
ファンキータウン 暗黒の光

 アジアンドキュメンタリーズ映画祭2026で、中国の成都でドラァグクイーンになった少年を描いたドキュメンタリー映画が上映されます。
「中国・成都のクラブ『ファンキータウン』に集う若者たちは、どこか破滅的で切ない影を帯びている。ドラァグクイーンとして喝采を浴びる少年、困窮生活を続けながらも音楽に没頭するDJたち、プレッシャーから逃れてきた音楽家……。現実社会とネット空間、恋愛とセクシュアリティ、性的マイノリティの葛藤と自由、快楽と苦悩の間を彷徨い、ときに自分を見失ってしまう。家族や世間との距離感がつかめない者たちは、闇と光が溶け合うクラブで自分の存在を確かめる。当たり前にある日常の裏で、もがき苦しむ若者たちの心の迷いと苦悩がアンダーグラウンドなクラブカルチャーの映像を通して伝わってくる。現代社会の人間模様を追った群像ドキュメンタリーだ」(公式サイトより)

ファンキータウン 暗黒の光
原題:THE LAST YEAR OF DARKNESS
2023年/中国、アメリカ/90分/監督:ベン・ムリンコソン
11月8日(日)17:45-、渋谷ユーロライブにて上映(オンライン視聴もできるようです)



11月27日公開
このごにおよんで愛など

 10月24日に行なわれたプレミア上映で広瀬奈々子監督が「この映画はLGBTQを扱ったクィアな映画です。好きな人と生きていきたいというのは、すごくシンプルな願いだと思うんですが、社会の制度によっては、当事者間の気持ちだけでは難しいこともあります。当事者だけでなく、たくさんの人を巻き込んで、いろんな人に観てもらえるようにこの映画を作りました」「セクシュアルマイノリティの方も、そうじゃない方も、ご自身の人生と重ねて観ていただけるとうれしいです。この映画が家族の枠組みについて考えるきっかけになれば」と語っています。また、監督は以前から既存の家族像に疑問を抱いていたといい、「友人のレズビアンカップルから子どもができたというお知らせをいただいたんです。ぱーっと視界が開けた感じがしました。子どもが大きくなったときに、生きやすい世の中になっているといいなと思って、この物語を書きました」とも語っています(映画ナタリー「長澤まさみ、柄本佑、石橋静河「このごにおよんで愛など」プレミアに集結 広瀬奈々子は映画に願い込める」より)。橋口監督の『ハッシュ!』から四半世紀が過ぎ、また一つ、レインボーファミリーをめぐる素敵な映画が誕生したと言えそうです(そのことも踏まえてか、今作には『ハッシュ!』でゲイカップルと子どもを授かろうと奮闘する片岡礼子さんも出演しています)
 
<あらすじ>
絵本作家の小島詩は、保険会社に勤める小島杜夫と結婚して3年目になる。子どもをつくろうという杜夫の提案をはぐらかす詩だったが、その一方で担当編集者の倉持潤奈と密かに関係を続けていた。ある日、杜夫と潤奈の2人から選択を迫られた詩は、3人で子どもをつくろうという突拍子もないことを言い出す。詩の自分勝手な提案に戸惑う杜夫と潤奈だったが、3人で一緒に暮らすうちに関係が変わりはじめ、ついに潤奈の妊娠が判明する。 

このごにおよんで愛など
2026年/日本/G/監督:広瀬奈々子/出演:長澤まさみ、柄本佑、石橋静河、松井ケムリ、片岡礼子ほか




11月27日より配信
海賊になった貴族

 『海賊になった貴族』は、18世紀の黄金時代を舞台に、裕福な貴族から海賊になったスティード・ボネットと、伝説の「黒ひげ」(エドワード・ティーチ)を中心とした男性どうしのロマンスが大きなテーマとして描かれている作品です。スティードとエドワードが敵対や交流を経て互いに強く惹かれ合い、パートナーシップを深めていくというだけでなく、海賊クルーの間でのロマンスや、女性カップル、ノンバイナリーやトランスジェンダーのキャラクターなども描かれているようです。そのシーズン1・シーズン2が11月27日からHulu(フールー)で見放題配信される予定です。

<あらすじ>
1717年、バルバドスの地主(ジェントリ)であったボネットは、海賊として名を上げることを決意し、その適性がないにもかかわらず、裕福な生活を捨てて自前の船リベンジ号に乗って海に出る。しかし、船長としての能力に欠くボネットの指揮は海賊としての体をなさず、彼や彼の手下たちは、海軍や血に飢えた他の海賊たちの脅威に巻き込まれ、四苦八苦する。やがて、彼らは悪名高き海賊・黒髭ことエドワード・"エド"・ティーチと彼が率いる海賊団と出会い、ボネットとティーチは紆余曲折の末に恋に落ちる。

海賊になった貴族
原題:Our Flag Means Death
2022年/アメリカ
11月27日からHuluで見放題配信(※まだ視聴URLが公開されていないようなので、追って更新します)


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