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レディ・ガガの新曲『You and I』のイメージは「男装」

2011年08月17日
 先日、レディ・ガガのアルバム『Born This Way』から『You and I』が第4弾のシングルとなることが発表されました。シングル『Born This Way』では宇宙人(マザー・モンスター)となり、『Judas』では暴走族のヘッドの女になり、アルバムのジャケ写ではバイクと合体し、と洪水のようにイメージをほとばしらせてきたわけですが、この『You and I』のモチーフは、男装でした。


 8月6日、『You and I』のジャケット写真が、「もし、あなたが自分自身を愛さなければ、あなたが探してる愛は見つかりっこないわ」というメッセージとともにTwitter上で公開され、話題になりました。写真は、男性に扮したガガがワイルドな表情でタバコをふかしているものだったのです。(写真右上)
 この「男性」の名前は、ジョー・カルデローネ。昨年6月、『ヴォーグ・オム』日本版のためにガガとニコラ・フォルミケッティ(「ハウス・オブ・ガガ」を代表するオープンリーゲイのスタイリスト)が生み出したもので、「態度がデカく、どんなナンセンスなことにも太刀打ちする」キャラクターなんだそうです。
 髪を後ろになでつけ、白いTシャツに黒いジャケットを羽織ったジョー・カルデローネは、50年代のロック野郎を彷彿とさせるものがあり、煙草をふかす表情には退廃的なムードが漂っています。

 そして本日、『You and I』のPVも公開され、その中にもジョー・カルデローネが登場していました。ジョー(男性としてのガガ)は、トウモロコシ畑の真ん中でピアノを弾く女の子(少女時代のガガ)と、ささやかな幸せを感じているようです。そして、二人はキスするのです。
 自分の分身どうしが愛し合うシーンは、ガガの「自分自身を愛して」というメッセージと重なります。と同時に、思春期の頃の性のありようについての精神分析的な考察としてもたいへん興味深い表現だと思います。
 そして、ガガの男装には、こちらのアメリカのニュースでも「DRAG KING」と語られていたように、単にボーイッシュなスタイルにしてみたというレベルではない、ジェンダー論的な意図を感じます。これまでガガは、ポップスターの武器であるセクシーさを犠牲にしてまで、ほとんどドラァグクイーンのように性別を超越するようなパフォーマンスを繰り広げてきましたが、この男装は当然、その延長線上にあるものと考えられるからです。
 おそらく何も知らずにこの『You and I』のジャケ写を見せられた人は、きっと被写体を男性だと思うでしょうが、実は女性が演じているんだよと知らされたとき、驚き、既成のジェンダー観が揺さぶられ、ジェンダーとは男/女という単純な二元論では語れず、とてもパフォーマティブなものであるということに気づかされるはずです。この男装にはそういう仕掛けが企図されていると思われますし、ドラァグクイーンカルチャーと同様のクィアな(キャンプな)精神を感じさせるのです。
(後藤純一)

 
男装のレディー・ガガ!!(EllE ONLINE)
http://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/Lady-Gaga-cross-dressing-11-0810

今度は性転換? レディー・ガガが男前に変身(TVGroove.com)
http://www.tvgroove.com/news/article/ctg/1/nid/5310.html

レディー・ガガの新曲ジャケット写真はなんと男装?(ハリウッドニュース)
http://music.jp.msn.com/news/article.aspx?articleid=663421

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