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結婚の平等を求め、日弁連に人権救済申立てが行われました

2015年07月07日

こちらの記事でお伝えしていたとおり、LGBT支援法律家ネットワークが、日本弁護士連合会(日弁連)に対して「同性婚が認められていないのは人権侵害だ」とする人権救済申立てを行うことが発表されていましたが、7月7日、呼びかけに応えて申立人となった全国の455名の方たちとともに、申立てを行いました。「同性婚が認められないことにより、同性カップルがパートナーに遺産を相続できなかったり、緊急入院時の面会や手術の同意の際に制限があったり、生命保険の受け取り人に指定することができないなど、さまざまな不利益な扱いを受けており、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する人権侵害である。法律の整備を政府や国会に勧告するよう求める」という主旨です。
 申立人となった当事者の方と同性婚人権救済弁護団のメンバーは同日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開きました。
 
 弁護団の森あい弁護士によると、申立人の居住地は42都道府県に及び(海外在住の方も2名)、年代は10代〜60代にわたります。また、申立てに賛同する署名が1万1680筆、集まっているそうです。弁護団長の山下敏雅弁護士は「4月に申立人を募りはじめたところ、大幅に予想を超える数が、日本全国津々浦々から集まりました。同性愛者からこれだけ多くの生の声が集まったのは初めてでしょう」と語りました。「LGBT支援法律家ネットワークを2007年に立ち上げて活動してきましたが、ここ数年で社会的関心が高まってきたので、今年1月に新年の抱負として『申立をやろう』ということになりました。渋谷やアメリカの動きを知っていたわけではなく、たまたま偶然ですが、裏返せば必然ということでしょう。日本の同性愛者が苦しみながら少しずつ歩み続けてきた。それが世界の動き、国内の動きと重なって、ちょうど今のタイミングになったのだろうと思っています」

 記者会見には、申立人となった何人かの方も臨んでいました。
 タレント・文筆家の牧村朝子さんは、涙ぐみながら日本が同性婚を認めないのは理不尽だと訴えました。
「私は小学校4年生の時に初めて女の子を好きになったんですけど、その時、自分のことがこわかったです。周りで言われる『気持ち悪い同性愛者』とか、レズビアンとかに、自分がなってしまうんじゃないかと思って、自分に対する恐怖感がものすごくありました。なので、自分が女の子を好きだということをないことにしようとして、中学校の時に忘れられない経験をしました。入ったばかりの中学校で、一つ上の先輩が、『この子、レズなんだよ、入ったばかりの新入生を物色しているから付き合ってあげてよ』って、いじめられていて、私はそこで胸が痛かったんですけど、何と言いだしてよいかわからなくて、一緒に笑ったんですよね。『ハハハ、うけるー。レズだってー』って。それがすごくつらかったのは覚えています」
 そんな牧村さんも、現在は、同性婚が認められているフランスで、同国の女性と結婚生活を送っています。
「妻とは2011年に東京で出会いました。彼女は子どもの頃から日本語を勉強し、大好きな漫画関連の仕事に就くために努力してきた女性です。勉強の甲斐あって、日本の出版社でいきいきと働いていました。子どもの頃からの夢を叶えたひたむきな姿に私は強く惹かれ、お付き合いがはじまることになりました。神社や古民家園といったいかにも日本らしいところでのデートを重ね、妻と私はやがて、法が認めなくても家族になっていきました。ですが、私たちのような国際同性カップルにとって、一緒に暮らすことは簡単ではありません。法律上は他人扱いであるため、家族としての在留資格が下りないのです。私の妻は当時、労働ビザで日本に住んでいましたが、万が一ビザが打ち切られれば、もちろん引き離されてしまいます。私たちはフランスで暮らし始めることにしました。義理の両親が私を「私たち家族のもとへようこそ」と言って抱きしめてくれたこと、私の両親が私の妻を「新しい娘」と呼んで迎え入れてくれたことは、今でも忘れられない思い出です。それでも、まだフランスで同性婚が法制化されていなかった当時、私はビザ切れを理由に日本に帰されてしまいました。日本でもフランスでも家族として認められないことによる不便と不安が、ビザ切れを機にふくらんでいきました。
 2013年にフランスで同性婚が法制化し、私たちはなんとかフランスで共に暮らせるようになりました。共同名義の家を買い、在仏日本大使館にも報告をしました。「日本に出すための婚姻届を書いてください」と言われたので、夢のような気持ちで婚姻届を書きました。「夫となる者」の欄を、くっきりと「妻」と書き換えて。一生結婚はできないものとあきらめていた私が、まさか行政の方から婚姻届を書くように言われるなんて、信じられないほどうれしかったです。ですが、いざ提出すると、窓口で受け取り拒否となってしまいました。「同性同士だったんですね。では受け付けられません」と言われ、はじめから想定の範囲外とされていたようでした。落ち込んでいるところに、今度はこんなニュースが入ってきました。在日米軍関係者がアメリカで同性と結婚した場合、日本でも家族と認めてビザを出すというのです。もちろん、これで離れ離れになる家族が減ったことは喜ばしいことです。ですが、在日米軍が家族を日本に迎えられるのに、日本人の私にはできない、という事実を前に、なんと理不尽なことだろうかと、今でも納得のいかない思いです。妻はフランスで、日本に帰りたいと泣いていました。また万一日本の両親に介護が必要になった時も、私の両親にとって義理の娘である妻が日本で暮らせないというのはあんまりです。なぜ、書類上の性別を理由に、家族が引き離されなければならないのですか。なぜ、在日米軍関係者にある権利が、日本人の私に認められないのですか。こんな理不尽なことが正当化される世の中であってほしくありません。法の下の平等に基づき、妻と私は、日本の婚姻制度から性別による不平等を撤廃することを求めます」

 ゲイカップルの田中昭全さんと川田有希さんも記者会見に臨みました。田中さんは、人権救済を申し立てた理由を次のように述べました。
「僕らは8年間ずっと一緒に暮らしています。周りの友人・知人は、僕らがゲイカップルだということをみんな知っていて、受け入れてくれています。両親も受け入れてくれていて、お互いの親と一緒に、カフェでご飯を食べたりもしています。一昨年、2人の『ついのすみか』として、築40年の家を買いました。2人だけの家を持てたことがうれしく、これからDIYで手直しをしながら暮らそうと思っています。ただ、この家の名義は僕個人です。もし僕が交通事故で死んでしまったら、彼は相続できません。遺言書を公正証書にすることなど、いろいろ考えましたが、どれも完全ではなく、いま一番ほしいのは同性婚だと思うようになって、申立人になりました」

 また、40代の会社員女性は、「同居して8年になる女性のパートナーがいます。どれだけ同棲していようと、結婚はできません。周囲の人からなぜ結婚しないのかと言われますが、私たちにはその選択肢がありません。(ばれるかもしれないという)恐怖心も常にあります。次の世代に同じ思いをしてほしくないです。同性愛者は皆さんの周りにもいます。すべての人に平等に結婚の選択肢がある社会を望みます。自分らしく生きたいと願っています」と語りました。
 
 日弁連は、関係者などから聞き取りなどを進め、人権侵害があったと判断した場合、勧告を出す予定です。
 山下弁護士は「この申立てが認められれば、総理大臣や国会などに対して、日弁連が文書を出すことになります。文書そのものに何らかの強制力があるわけではありませんが、理屈の面で弁護士たちが一生懸命検討した結果ということですから、今後、国会や地方自治体でこの問題が議論になる際、重要な資料になります。裁判を起こす際に『証拠』として裁判所に提出することもできます」と、人権救済申立の意義を強調しました。



同性婚求め 日弁連に人権救済申し立て(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150707/k10010142181000.html

同性同士の結婚を認めないのは人権侵害だとして人権救済申し立て(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00296798.html

「同性婚認めて」 日弁連に人権救済申し立て(テレ朝)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000054229.html

「同性婚」を認めて欲しい、455人が人権救済申し立て(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2534856.html

同性婚の法制化を…455人が人権救済申し立て(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150707-OYT1T50151.html

同性婚:権利求め日弁連に救済を申し立て(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150708k0000m040028000c.html

同性婚求め救済申し立て=LGBTの455人、日弁連に(ウォール・ストリート・ジャーナル)
http://jp.wsj.com/articles/JJ12782807208891174241618445577310842318068

「同性婚が認められていないのは人権侵害」同性愛者455人が日弁連に「救済」申立て(弁護士ドットコムニュース)
http://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_3350/

日本も同性婚を認めて!フランスで女性と結婚した牧村朝子さん「人権救済」求める理由(弁護士ドットコムニュース)
http://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_3351/

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