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国連でLGBTの人権をめぐる初の首脳級会合が開催されました

2016年09月22日

 9月21日、ニューヨークの国連本部でLGBTの人権について議論する初の首脳級会合が行われました。
 会合には、潘基文事務総長やアメリカのバイデン副大統領、チリのバチェレ大統領、ノルウェーのソルベルグ首相ら約20ヶ国の首脳級が出席しました。世界各国のLGBT団体も参加し、同性愛が未だに70ヶ国で犯罪行為とされていることや、ロシアやエジプトなどで同性愛行為を理由とした逮捕者が増えていること、同性愛を理由に殺された人が一昨年までの7年間で1600人余に上ることなどについて意見が交わされました。
 潘基文事務総長は「いくつかの国では、歴史の潮流に逆らい、同性愛者への厳罰を新たに設けた」と批判し、性的指向を理由とした差別の根絶を訴えました。バイデン副大統領は「どんな政府も社会も個人も、誰を愛するか指示しようとすべきではない。LGBTの皆さんの普遍的権利を守ることが現代の人権問題であり、とても重要なことだ」と述べました。
 国連本部前の横断歩道は今週末までレインボーカラーにペイントされ、国連総会に出席する各国の首脳や代表団にLGBTの人権についての理解を促すそうです。

 
 国連はこれまでもLGBTの人権擁護のために会議を開いたり声明を発表したりしてきました。ここで、国連のLGBTをめぐる動きを概観してみましょう。
 1990年5月17日、WHO(世界保健機関)が同性愛を治療の対象から除外しました(同性愛は病気ではないと宣言しました。これを記念してのちに5月17日がIDAHO=国際反ホモフォビアデーとなりました)
 2007年3月、国連特別報告者、国内・地域および国際的人権委員会のメンバー、そして前国連人権高等弁務官を含む人権の専門家グループによって作成された「性的指向と性自認の問題に対する国際法の適用に関するジョグジャカルタ原則」がジュネーヴの国際連合人権理事会で承認されました。 
 2008年12月、世界人権宣言採択60周年を記念して国連総会に提出された「人権と性的指向と性的自認に関する声明」は、このジョグジャカルタ原則を踏まえたものでした。世界中のすべての国で、性的指向や性自認を理由にした差別や暴力、投獄、極刑を行わない原則を確認し、人権擁護を訴える内容で(詳しくはこちら)、日本を含む66ヶ国が賛同しましたが、アラブ連盟の後押しによる反対声明が提出され、採択には至っていません。
 2011年6月、国連人権理事会において、南アフリカが国連人権高等弁務官事務所に対し、ウィーン宣言及び行動計画の履行のためにLGBTの置かれた環境や状況に関する世界規模の報告書の提出を求める決議案(詳しくはこちら)を提起し、賛成多数で可決されました(LGBTに関する初の国連決議となりました)
 2011年12月、国連人権高等弁務官事務所はこの問題に関する初の正式な国連報告書を提出しました。ヘイトクライムや同性愛の違法化や差別、LGBT市民に対する権利侵害が報告され、同性愛を違法とする制度の撤廃や性的指向に基づく差別に対する包括的な法整備、ヘイトクライムによる事件の再調査などを始めとしたLGBTの権利擁護を求める内容でした(日本語訳は見当たらず…原文はこちらです)
 2012年3月、この報告書をたたき台として、国連人権委員会で、政府間機関がLGBTについて正式に討論する初の会議が行われました。この会議では、潘基文国連事務総長が歴史的なスピーチを行い、感動を呼びました(こちらで字幕付きの動画をご覧いただけます)
 2013年9月、国連でアルゼンチン、オランダ、ノルウェーの各国外相、米国国務長官、フランス開発協力相、ブラジル、クロアチア、EU、日本、ニュージーランドの政府高官、そして国連人権高等弁務官が出席し、LGBTの人権に関する初の閣僚級会合が行われ、LGBTに対する暴力と差別の問題解決に向け緊急行動が呼びかけられました(詳しくはこちら
  
 国連広報センターの公式サイトには、国連がLGBTの人権についてどのように取り組んできたか、どのようなスタンスでいるか、ということをまとめた「LGBT 声を上げ、差別をなくそう」というページが設けられています。ちなみに国連広報センター公式サイトのトップページを飾っているは、今年のレインボーリール東京のオープニングを盛り上げてくれたレスリー・キーさんや早見優さん『恋のブギウギトレイン』(国連「持続可能な開発目標(SDGs)」 テーマソング)PV出演者のみなさんの素敵な写真です。






国連で初のLGBTめぐる首脳級会合を開催(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2874765.html

性的少数者の権利で国連会合=事務総長「潮流に逆らうな」(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016092200256

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