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ミャンマーのヤンゴンで初のオープンLGBTイベントが開催

2018年02月04日

 ミャンマーの首都・ヤンゴンのThakin Mya公園で1月27日〜2月4日、「&PROUD LGBT Festival」が開催されました。

 ヤンゴンのLGBTフェスティバルはこれまで、当局の規制によって公にされない秘密の場所(フランス語学校など)での開催を余儀なくされていましたが、4回目を数える今回は公園での開催を許可され、初めてのオープンイベントとなりました。以前は2000〜3000人の規模でしたが、今回はオープニングデーに5000〜6000人が参加し、成功を収めたそうです。
 
 オープニングデーには、ドラァグクイーンのレースやハンドバッグ投げ競争などのゲーム大会やステージパフォーマンス、ヒューマン・ライブラリー(LGBTの人々が来場者からの質問に答え、経験を共有するトークセッション)のほか、地元のピューピューチョーテインという歌手のコンサートも行われ、熱狂的なファンの声援を浴びました。また、日暮れと共に国内外で制作されたLGBT映画の上映も行われました。
 
 共同代表のHla Myat Tun氏は、「これはLGBTのためだけではなく、国全体のためだと言いたい。平等と人権の基本を知るための」と語りました。
 ある参加者は、「私たちのコミュニティが安全で、開かれていることを理解し、受け入れてほしい」と語りました。
 
 ミャンマーではまだイギリスの植民地時代の名残であるソドミー法(同性愛をはじめ「不自然な性行為」を禁じる刑法)が残っており、LGBTは不自由な生活を強いられてきました。
 2011年に独裁政権が倒れ、民主政に移行してから、状況は少しずつ緩和されてきました。2012年には初めてのプライドパレードが開催されました。2013年には、初めてのゲイ&レズビアン&フレンズのためのクラブパーティがヤンゴンで開催されたほか、ソドミー法の撤廃を求めるLGBT団体が立ち上げられました。2014年には初の同性結婚式が行われました
 しかし、社会のホモフォビアや差別は依然として根深いものがあり、自身のセクシュアリティを隠さざるをえなかったり、HIV予防のサービスにアクセスできない※などの問題を抱えています。トランスジェンダーが警察官に逮捕され、侮辱的な仕打ちや暴行を受けるという事件も発生しているそうです。

※WHO(世界保健機構)によれば、ミャンマーのHIV感染率はアジア最高レベルです。軍事政権下、情報公開が制限され、「感染症被害者は皆無である」などと公表されているようなひどい状況でした。2017年8月時点で国内の推定感染者数は23万人、うち約4割が(貧困などで)抗HIV薬の治療を受けることができず、2016年にエイズで亡くなった方は8000人に上っています。
 
 そうしたなかでも、こうしてLGBTイベントがオープンに開催され、盛り上がりを見せるようになったのは、本当によかったですね(一方で、同じ東南アジアのインドネシアでは、警察によってトランス女性が拘束され、髪を切られ、男物の服の着用を強制されるという事件がありました…ひどい話です)
 今後、HIV予防や陽性者支援、治療へのアクセスが早急に改善され、ソドミー法が撤廃され、社会の理解や支援が進むなどして、ミャンマーのLGBTの方たちが、少しでも希望を持って生きていけるようになることを祈ります。
 
 


ヤンゴンでLGBTフェスティバルが開催(ミャンマーニュース)
https://www.myanmar-news.asia/news_cb1GtoLQNe.html

Myanmar hosts first-ever public LGBT festival(PinkNews)
http://www.pinknews.co.uk/2018/01/30/myanmar-hosts-first-ever-public-lgbt-festival/

「同性愛は違法」ミャンマーでLGBTはアイデンティティーを隠して生きる(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/19/gay-people-in-myanmar_n_8328450.html

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