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レディ・ガガやブランディ・カーライルらが受賞した今年のグラミー賞は、素晴らしくクィアでした

2019年02月13日

 2月10日(現地時間)、LAのステイプルズ・センターにて第61回グラミー賞が開催されました。女性が大活躍したと称された今年のグラミーですが、実はレディ・ガガやブランディ・カーライルが3部門ずつ受賞し、たくさんのセクシュアルマイノリティ(クィア)のアーティストが大活躍した年でもありました。こんなにクィアなグラミー賞は初めてかもしれません。
 
 まず、レズビアンであることをオープンにしているブランディ・カーライルです。彼女は最優秀アルバム賞を含む6部門でノミネートされ、「最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス」「最優秀アメリカン・ルーツ・ソング」「最優秀アメリカーナ・アルバム」の3部門で受賞しました。いずれのジャンルでもOUTしたアーティストとして初の受賞です(なお、アメリカーナというジャンルについては、こちらをご覧ください)
 「最優秀アメリカーナ・アルバム」の受賞スピーチで、ブランディはこう語りました。
「アメリカーナ・ミュージックは、はみ出し者たちのオアシスです。私は完全にはみ出し者だけど、アメリカーナは今の私を作ってくれて、私の音楽を形成してくれて、このファミリー、ティムとフィル(バンドメンバーで共同作曲者)を私にもたらしてくれた。ハイスクールに通っていた15歳の時に、私はカムアウトしました。パーティには一度も呼ばれなかったわ。ダンスにも参加しなかった。この長年続く愛情深いアメリカーナのコミュニティは、私にとってずっとダンスのような存在です。私の『アライ』でいてくれてありがとう」
 ブランディは2012年にパートナーの女性と結婚し、今は2人の子どもを育てているそうです。彼女のアルバム『バイ・ザ・ウェイ・アイ・フォーギヴ・ユー』には、今のアメリカ社会の問題を提起するような曲に加えて、母親であることの大変さや、女性どうしの関係が男女の関係と同様に困難な時期を乗り越えていく物語が、非常にリアルに描かれているそうです。rockin'onでは、「今回グラミーは、ブランディの『アライ』にはならなかった。ブランディと同じLGBTで、『ダーティ・コンピューター』という傑作を作ったジャネル・モネイの味方もしなかった。カントリーの枠は押し広げているものの、人として「はみ出して」いないケイシー・マスグレイヴスの『ゴールデン・アワー』に最優秀アルバム賞を与えた。グラミーには、頑な保守的態度しか感じない」と書かれています(力強い「アライ」としてのコメントに感じ入りました)
 ブランディは最優秀楽曲賞と最優秀レコード賞にノミネートされた「ザ・ジョーク」をステージで熱唱し、観客の心を揺さぶりました。このグラミーでのパフォーマンスはさすがにYoutubeでは見れませんが、日本語訳詞が入ったMVがこちらにアップされているので、ぜひご覧ください。


 それから、最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)、最優秀映像作品楽曲、最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)の3部門での受賞を果たしたのが、われらがレディ・ガガです。ブラッドリー・クーパーが英国アカデミー賞(BAFTA)の授賞式に出席するためグラミーを欠席し、『シャロウ 〜「アリー/ スター誕生」愛のうた』のパフォーマンスは、ブラッドリーのパートもガガが歌っていましたが、スパンコールの衣装とあいまって、迫力十分でした。

 ほかにも、リッキー・マーティンやジャネット・モネイなどたくさんのLGBTのアーティストが登場しました。ダイアナ・ロスの出演など、ゲイ的に胸アツな瞬間もいろいろありました。
 駆け足でお伝えいたします。

 まず、レッドカーペットですが、レディ・ガガとジェニファー・ロペスが(ほとんど)キスするパフォーマンスを見せていました。
 また、リッキー・マーティンが、息子のマテオくんとともにレッドカーペットに登場しました。

 リッキー・マーティンはオープニング・アクトで、(メンバーのローレンがバイセクシュアル・カミングアウトした)フィフス・ハーモニーの元メンバーでLGBTを支援してきたことでも知られるカミラ・カベロと共演しました。

 オープニングでは、司会のアリシア・キーズ、そしてサプライズで登場したスペシャルゲストのミシェル・オバマらと並んで、レディ・ガガも登場しました。

 ジャネル・モネイがバイセクシュアル・アンセム「Make Me Feel」をパフォーマンス、「PYNK」のMVで着用して話題になったヴァギナ・パンツをダンサーたちに穿かせていました。

 パンセクシュアル・カミングアウトを果たしたマイリー・サイラスが、ドリー・パートンと共演し、永遠の名曲「ジョリーン」を歌いました。

 『ドリームガールズ』のモデルとなったシュープリームスでセンターをつとめ、ソロとしても「Ain't No Mountain High Enough」「If We Hold on Together」「The Boss」などのゲイ・アンセムを歌ってきた伝説の歌姫、ダイアナ・ロスが、75歳の誕生日を記念してステージに立ち、2曲を披露しました。
 
 セクシュアル・フルイディティ(同性を好きになるか異性を好きになるかが水のように流動的で、その時々の相手によって変わるというセクシュアリティ)のセイント・ヴィンセントが、最優秀新人賞を受賞したデュア・リパと共演しました。

 LGBTコミュニティのアライとして知られ、「ルポールのドラァグ・レース」のゲスト審査員も務めたりしているケイシー・マスグレイヴスが、最優秀アルバム賞をはじめとする最多4部門で受賞しました。
 

 

「はみ出し者」のSSW、ブランディ・カーライルの稀有な存在価値を解き明かす。グラミー賞で主要部門含む6部門にノミネート(rockin'on)
https://rockinon.com/blog/yogaku/183885

The (Many) Queer Moments of the 2019 Grammy Awards(ADVOCATE)
https://www.advocate.com/music/2019/2/10/many-queer-moments-2019-grammy-awards?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_content=music#media-gallery-media-14

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