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PrEPが劇的な効果を上げ、英国の男性間でのHIV感染が71.4%も減ったことが明らかに

2020年01月18日

 英国公衆衛生サービスが新たに発表した報告書によると、2012年から比べて男性間でのHIV感染が71.4%も減ったことが明らかになりました。PrEPの普及が予防に大きく貢献したと見られています。
 
 2018年現在、英国には約103,800人のHIV陽性者がいると見れられていますが、その93%はすでに診断を受けていて(検査を受けて陽性であるとわかっていて)、97%が治療を受けていて、97%がウイルス量が検出限界以下になっています(UNAIDSが提唱する90-90-90を上回る、素晴らしい成功です。ちなみに米国では診断を受けた人が83%、検出限界以下に抑えられている人は63%程度です)
 2012年までは英国の男性間でのHIV感染は2300件だったのが、2018年は800件にまで下がっていました。実に71.4%も減ったのです。
 
 英国のマット・ハンコック保健大臣は、「今回の報告は、2030年までにHIV感染をなくすという我が国の目標を実現可能なものにすると勇気づけてくれる」と述べました。

 PrEPの推進に取り組む団体「Prepster」のフィル・サンバ氏は、「この統計は、PrEPがいかに効果的かということを如実に示している。HIV検査を受ける機会も増えているし、即日検査も受けやすくなっている」と語りました。
「僕らは新しい予防の時代に生きている。PrEPがNHS(国民保健サービス)で無料で受けられるようになったおかげで、政府ののろまな政策のおかげで不必要に感染する人がいなくなった※」
「今日、僕らはマット・ハンコックや官僚に『PrEPを全面的に実行するよう舵を切れ』と言えるようになった」

※BBCによると、2019年10月の1ヶ月間に、少なくとも15人が国民保健サービスでPrEPを受けるのを待っている間に、HIV感染したそうです(詳しくはこちら

 英国で早くからHIV/エイズに関する情報提供を行ってきたNAM/aidsmapのマシュー・ホドソン氏は、PrEPに広くアクセスできるようにすることが、2030年までに感染ゼロの目標の達成に寄与すると述べています。
「英国でのHIV新規感染は、ゲイ・バイセクシュアル男性の間で急激に下がっている」
「このデータを全体的に見ると、祝福すべきところがたくさんある。英国は、陽性者が検出限界以下になるという点で世界一レベルになった。2030年の感染ゼロも、決して夢ではない」
 

 国民保健サービスでPrEPが無償提供されるようになる以前、ツルバダのジェネリック薬をWebサイトで安く販売しはじめ、英国でのHIV感染の劇的な減少に貢献したグレッグ・オーウェンへのインタビューがBuzzfeedに掲載されています。彼の働きのおかげで、2015年〜2016年の1年間でHIV感染症の診断を受けるゲイ・バイセクシュアル男性の数が40%減少し、イングランド全域でも3分の1も減ったそうです。


 日本ではPrEPはまだ正式に認可されていませんが(今年中に認可されるのでは?という見方もあります)、これほどまでに効果が明らかなのですから(ほとんど99%の確率で感染を抑えるという研究結果もあります)、ぜひ導入を、と願うものです。そのために、安全なジェネリック薬についての情報の提供や、PrEPに関する医療(病院、クリニック)の見守りの体制が整えられていくことがたいせつになります。
 
【関連記事】
日本におけるPrEPの現状と、今後への期待
レポート「日本におけるPrEPの普及と課題 〜見守りネットワーク作りを目指して〜」




HIV infections among gay and bi men fall by 71% in UK(BBC)
https://www.bbc.com/news/health-51122979

HIV infections among gay and bi men have fallen by 71% in the UK(GAYTIMES)
https://www.gaytimes.co.uk/community/131480/hiv-infections-among-gay-and-bi-men-have-fallen-by-73-in-the-uk/

Health Officials Say PrEP Is A Major Factor In Fewer HIV Infections(instinct)
https://instinctmagazine.com/health-officials-say-prep-is-a-major-factor-in-fewer-hiv-infections/

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