g-lad xx

NEWS

リル・ナズ・X、グラミー賞の全身ピンクの衣装をディスった同性愛嫌悪なラッパーに軽やかなコメント返し

2020年01月31日

 先日のグラミー賞で最優秀新人賞など主要3部門を含む6部門にノミネートされ、<最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)><最優秀ミュージック・ビデオ>を受賞したリル・ナズ・X。レッド・カーペットにはヴェルサーチの全身ネオンピンクのレザースーツで登場し、話題を呼びました(男性アーティストの中では、ビリー・ポーターの次くらいに注目されていたのでは?)。そんなリル・ナズの素敵コーデに、パスター・トロイというラッパーがホモフォビアむきだしなディスで噛みつきましたが、リル・ナズは軽やかにこれを交わし、70万近いイイネがつきました。
 
  
 20歳のラッパー、リル・ナズ・Xは、昨年、カントリーの大御所ビリー・レイ・サイラス(マイリー・サイラスの父)をフィーチャリングした異色のカントリーラップソング「Old Town Road」が大ヒットしている真っ最中にゲイであることをカムアウト(しかもストーンウォール50周年を記念するニューヨークのパレードの日に)、「Old Town Road」はそのまま全米シングルチャート1位を更新し続け、マライア・キャリーの記録を抜き、驚異の19週連続No.1という輝かしい記録を樹立、一躍トップアーティストたちの仲間入りを果たしました。 

 今回のグラミー賞授賞式で着ていた全身ピンクのレザースーツは、ピンクが同性愛者のシンボル・カラーだからなのではないかと(タイラー・ザ・クリエイターもピンク、トニー賞の時のビリー・ポーターもピンクでした)想像しますが、これに噛み付いたのが、パスター・トロイです。
 パスターは、自身のインスタグラムにリル・ナズの写真をアップし、以下のようなアンチ同性愛なコメントをつけました。
「俺はグラミーを獲れないはずだよな。だって、こんな格好しなくちゃいけないんだろ。ヤツらは子どもたちにこういう概念を押しつけるのが大好きなんだ」
「近所のファミリーレストランで同性カップルがキスをしたりイチャついたりしているのを見た14歳の息子が、彼らに対して嫌悪感を露わにしたことを誇りに思う」
「ヤツらは、男から、とくに黒人の男から”男らしさ“を奪おうとしている。みんな第三の目を開いて自分たちの息子に何が真実かをしっかり教えたほうがいい。さもないと、息子たちは本当にオールド・タウン・ロード(田舎道)を歩くことになるぜ!」
 パスターは、さらに「#NotMySons(俺の息子は違う)」「#ItAintWorthIt(価値がない)」といった侮辱的なハッシュタグをつけました。

 パスターの同性愛嫌悪(ホモフォビア)むきだしな投稿は大炎上し、その後削除されましたが、Twitterでは、彼のコメントのスクリーンショットが拡散され、たくさんのユーザーたちが議論を交わしました。
 そんななか、リル・ナズ本人が、パスターが使用したグラミー賞での写真を貼って「パスター・トロイがくどくどとホモフォビックな暴言を吐いて、なんとか自分がグラミーに呼ばれなかった理由を納得させようとしてる」というTwitterでの投稿に対する引用コメントで、「あ~、この写真の俺、マジでカッコいい。マジで」とコメントし、あっという間に70万近いイイネがつきました(マジでカッコいいですね)
 
 映画『ムーンライト』でもリアルに描かれていましたが、マチズモが支配的な(toxic masculinityと言うのでしょうか)黒人男性社会では、依然としてホモフォビアが根強く、ヒップホップ界でも、ショービズ界でもゲイに対する風当たりが強いと言われています。そんななか、リル・ナズがブレイク直後に堂々とカムアウトしたのは本当に革新的であり、新世代の旗手、時代のアイコンとして、リスペクトを集めました。「そんなリル・ナズに対する今回のパスターの言動は、ヒップホップ界、そして、黒人社会に今も蔓延する悪しきステレオタイプや同性愛嫌悪を象徴するような出来事となった」と、フロントロウの記事は評しています。

 また、リル・ナズは以前から、ヘイト(ディスや嫌悪コメント)に対してあえてジョークを交えて返信する軽さや機知を見せていて(もともとギャグが好きなキャラですよね)、そんな爽快なキャラも人気の一役買っているのではないでしょうか。
 いずれにせよ、今後も出てくるだろうヘイトやいやがらせに負けず、活躍してほしいですね。
 
 
 
リル・ナズ・X、全身ピンクの衣装を批判した反同性愛者への返しが「とことん俺流」(フロントロウ編集部)
https://front-row.jp/_ct/17336773

INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。