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アカデミー賞でエルトン・ジョンやレニー・ゼルウィガーが受賞、ビリー・ポーターの豪華ドレスも話題に

2020年02月10日

 2月9日(現地時間)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで第92回アカデミー賞授賞式が開催され、松たか子さんがイディナ・メンゼルや世界のエルサ女優とともに映画『アナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン」を日本人として初めて歌ったことや、カズ・ヒロさんがメイク・ヘアスタイリング賞を受賞したこと、アジア映画として初めて『パラサイト』が作品賞に輝いたことなどが話題になっていますが、LGBT的なトピックもいろいろありました。

 まず、オープニングを飾ったのが、パンセクシュアルであることをオープンにしているジャネール・モネイでした。途中でオープンリー・ゲイのビリー・ポーター(『キンキー・ブーツ』『POSE』などに出演)も登場し、一緒に歌う場面もありました。
 男性的な黒いパンツと白いシャツに赤いカーディガンを羽織ったジャネールは、トム・ハンクスがノミネートされていた作品『A Beautiful Day in the Neighborhood』のテーマ曲を歌い、それから自身の歌でハリウッド黄金期を思わせるような「Come Alive」をオスカーバージョンの替え歌にして披露しました。そして中盤、あのビリー・ポーターも登場し、エルトン・ジョンの「I’m Still Standing」をかぶせて歌う場面もありました。間奏に入るとマイクパフォーマンスで女性監督が1人もノミネートされなかったことや、ノミネートされている人たちの大多数が白人であることを皮肉ったり、「私は黒人で、クィアのアーティストとしてここに立ってストーリーを伝えることをとても誇りに思ってる。黒人歴史週間おめでとう」と言って、喝采を浴びました。途中で客席に降りてトム・ハンクスにシルクハットをかぶせたり、ブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオに歌うことを要求したり、床に寝そべったり、バックではジョーカーに扮したダンサーが踊ったり、まさかのホラー映画『ミッドサマー』をフィーチャーした花まみれの演出だったりもして、自由で楽しいパフォーマンスでした(動画はこちら
 アカデミー授賞式という「特別な夜」の始まりを感じさせる、たいへん重要な役割を与えられたジャネール・モネイですが、メッセージ性とエンタメ性が共存したステージに「過去最高のオープニングパフォーマンス」など、高く評価する声が上がっているそうです。



 それから、世界的なスターでありゲイであるエルトン・ジョンの成功と孤独と苦悩を赤裸々に、ファンタジックに、あらゆる面でハイクオリティに描いた大傑作ミュージカル映画『ロケットマン』ですが、昨年、クイーンのライブで幕を開け、『ボヘミアン・ラプソディ』が主演男優賞など4部門でオスカーを獲得(最多受賞)したフィーバーぶりに比べると、いかにもさびしい結果になりましたが、エルトン・ジョンと主演のタロン・エガートンによるデュエット曲「(I'm Gonna) Love Me Again」が歌曲賞(主題歌賞)に輝いたことは、喜ばしいことです(おめでとうございます)
 名前を読み上げられたエルトンは、天を見上げ、同曲の共作者で長年のコラボレーター(映画でエルトンが彼に想いを寄せていたことも描かれている)バーニー・トーピンと共にステージに上がりました。2人はお互いを称え、パートナーやスタッフ、映画の制作に関わった人たちへ感謝の言葉を述べました。エルトンがオスカーを手にするのは1995年の「Can You Feel The Love Tonight」(映画『ライオン・キング』)に次ぐ2度目、トーピンは初のアカデミー受賞となりました。
 エルトン・ジョンはステージで「(I'm Gonna) Love Me Again」のライブも披露し、パワフルな歌声を聴かせました(今回はソロでした)。エルトンは現在、最後のワールドツアーを行なっています。
 なお、エルトンは、アカデミー賞授賞式に合わせて毎年、エルトン・ジョン・エイズ財団のチャリティ・イベント「オスカー・ビューイング・パーティ」を開催しています。今年も『クィア・アイ』のファブ5の面々など、たくさんのセレブが駆けつけました。


 
 それから、『オズの魔法使い』などで知られた伝説のミュージカル女優であり、その死がストーンウォール事件のきっかけになったと、まことしやかに語られるほどのゲイ・アイコンであったジュディ・ガーランドの、悲しい晩年と美しい真実を描いたドラマチックな映画『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガー(『シカゴ』『ブリジット・ジョーンズの日記』)が、ジュディの楽曲や声色まで完璧に再現した歌唱力や演技力で見事、主演女優賞に輝きました。2分間に及ぶスタンディング・オベーションを受けたレニーは、「ジュディは、人生でこのような栄誉を受けることはありませんでした。私たちは映画を作り始めたときからずっと、彼女の伝説を称賛し続け、それが今この瞬間につながっているのです。また同時に、この瞬間は、個性的で、並外れていて、寛大な心を持った彼女の伝説が、どのアーティストの功績をも超越したことの証明になったと思います。ジュディ、あなたは間違いなく私たちを結びつけるヒーローのひとりです。この賞を、あなたに捧げたいと思います」とスピーチしました。
 レニーは以前、『Advocate』誌のインタビューで、『シカゴ』に主演してゲイ人気が高まったと聞いて、手を叩きながら「本当に? うれしい!」と語っています。彼女はゲイの友人を「宝物です」と語り、ゲイピープルは「共感能力が高く、理解があり、人をジャッジしない、受容的な人々」「人生を謳歌する技術に長けた人々」だと語りました。
 レニー・ゼルウィガーは今月末、『ジュディ 虹の彼方に』PRのために来日が予定されています。


 最後に、世界中が注目する「あの人」が、どんな衣装で現れたのか?についてお伝えしましょう。
 「あの人」とはもちろん、昨年のアカデミー賞授賞式のレッドカーペットにタキシード・ドレスを着て登場し、センセーションを巻き起こしたビリー・ポーターです。あれ以来、ビリーは、MET GALAや、トニー賞などのアワードイベントで、あっと驚くようなファビュラスでクィアな装いを披露し続け、世界中の視線を集めてきましたが、ちょうど1年となる今回のアカデミー賞授賞式では、無数の黄金に輝く羽がついたトップスにゴージャスな柄のフレアロングスカートがついたドレス(光り輝くエレガントなドレスで知られるジャイルズ・ディーコンのカスタムルック)に編み上げのハイヒール厚底ブーツ(ジミー・チュウ)を合わせたゴージャスな装いを披露しました。
 SNSでは早速、「ビリー・ポーターが眩しすぎる!」「レッドカーペットで一番輝いてる!」「ドレスですでにオスカーをとったみたい」といった絶賛コメントが上がっています。
 
 

 


エルトン・ジョン、アカデミー賞歌曲賞を受賞(BARKS)
https://www.barks.jp/news/?id=1000178540

【第92回アカデミー賞】主演女優賞は『ジュディ』のレネー・ゼルウィガー 映画に重なる劇的復活!(cinemacafe.net)
https://www.cinemacafe.net/article/2020/02/10/65749.html

<第92回アカデミー賞>ビリー・ポーター、今年も堂々ドレスで登場 豪華絢爛デザインに世界の視線が集まる(exciteニュース)
https://www.excite.co.jp/news/article/Mdpr_international1963206/

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