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「感染したら同性パートナーとの関係が公に」自治体の対応に不安の声が上がっています

「法律上の家族ではないから」とパートナーの入院先を教えてもらえなかった…コロナ禍で顕在化するゲイの不安などのニュースでもお伝えしてきたように、新型コロナウイルス感染拡大の中で、社会制度の不備や差別によってLGBT(セクシュアルマイノリティ)が直面する困難が浮き彫りになってきています。そんななか、京都新聞が関西在住のゲイカップルやトランス女性にヒアリングし、自治体の配慮のない対応が悲劇をもたらす可能性を明らかにしました。
 
 滋賀県の会社員・今倉俊さん(仮名)と、大阪府の介護福祉士・竹並悠人さん(仮名)は、仕事の事情で別々に暮らしていますが、事実上結婚しているのと同様のカップルです。職場などで「ゲイなんて頭がおかしい」というような心ない言葉に傷ついてきたこともあり、周囲にはゲイであることを言っていません。今年3月、今倉さんは新型コロナウイルス陽性者と濃厚接触者の関係性や居住の形態を報じるニュースを見て、恐怖を感じたといいます。各自治体は、感染症法に基づき、感染した人の行動歴などを聞き取って発表することになっていますが、今倉さんは調査の過程で相手との関係を感づかれ、カミングアウトを強いられるかもしれないと不安を募らせたのです。調査協力は努力義務であり、「できる限り本当のことを答えたいが、彼を守るためにも、全てを正直に話すのは難しい」と語ります。
 また、京都市在住でMtFトランスジェンダーの西添さんは、上司に頼み、職場では女性として働いていますが、まだ性別適合手術を受けられていないため、戸籍上の性別は男性のままです。もし感染した場合、病院で月2回受けているホルモン治療が続けられなくなるのでは…と不安を覚え、また、「男性として公表されるのは怖い」と語っています。
 
 新型コロナウイルスへの感染が明らかになった方の個人情報をどこまで公開するかについて、厚労省は「個人情報の保護に留意しなければならない」としていますが、具体的な判断は自治体に委ねられています。
 今倉さんと竹並さんのカップルや西添さんは、性的指向や性自認についての情報公開の範囲などについて行政にどこまで要望が聞き入れられるのだろうか…と危惧しています。
 地方の小さな町だと感染したことがすぐ近所中に広まるという話も聞こえてきます。自治体が性的指向や性自認について公表したりすると、誰のことを言っているのかわかってしまい、望まぬカミングアウト(アウティング)につながる可能性も…。感染したこと自体よりも差別によって命をすり減らすような悲劇が生まれるかもしれません。
 このコロナ禍のなか、各自治体がどこまでLGBTに理解があり、配慮してくれるのかということが非常に重要で、差し迫った課題だと言えそうです。
 
 京都新聞の調査によると、陽性者から同性パートナーとの関係について公表しないよう要望があった場合、京都府は「要望があれば、公表しないことはできる」、京都市は「同性かどうかに限らず、公表していない」、滋賀県は「同居や二人の関係を公表する可能性もある」そうです。
 また、感染した同性パートナーの病状や安否を尋ねられた場合、京都府は「感染者本人に確認し、同意があれば答える」と、京都市と滋賀県は「答えない」としています。
 トランスジェンダーの方が感染した場合に公表する性別については、京都府は「要望があれば非公表にできる」、京都市は「医学上の性別で公表する可能性が高い」、滋賀県は「感染者や医師の届出で決める可能性が高い」としています。
 滋賀県の対応は、同性カップルであることは公表する一方、同性パートナーの安否確認は拒否するという、ひどいものです。同性愛者に人権は認められないのでしょうか…。
(ちなみに、京滋では未だに同性パートナーシップ証明制度を認める自治体が1つもありません)


 このような現状で、LGBTへの理解がない自治体に暮らす当事者は、一体どうしたらよいのでしょうか。個人的にでなくても、各都道府県に1つはあるだろう(ない場合も、隣の県などの)LGBT団体の協力をあおいだりしながら、自治体に対して要望を上げていくということは、とても大事ですし、意味があると思います。
 また、パートナーの安否確認については、そもそも法的に家族であると認められていないことに問題があります。いま、同性婚実現を早急に求める声も高まっています。
 同性婚の実現を目指す「Marriage For All Japan」がLGBTへの緊急アンケートを実施していますが、「パートナーが意識を失った際、治療の意思決定ができない」「同性婚を実現してほしい」といった声が、28日までに217件、寄せられています。共同代表の寺原真希子さんは、「コロナ禍で顕在化した問題の根本には差別がある。国が同性婚などの権利を認めることで市民の偏見も和らぎ、日本が大きく変わる一歩になる」と語っています。

 

参考記事:
新型コロナで性的少数者が苦悩「感染したら性的指向や関係が公に」 パートナーと距離も、差別の問題浮き彫り(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/226878

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