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米連邦最高裁が公民権法をLGBTQに適用し、SOGIに基づく解雇を違法であると認める歴史的な判決を下しました

 2020年6月15日、米連邦最高裁が公民権法をLGBTQに適用し、性的指向・性自認に基づく解雇を違法であると認める歴史的な判決を下しました。賛成6、反対3でした。トランプ大統領が任命した保守派のニール・ゴーサッチ判事と、ジョン・ロバーツ長官がリベラル派判事4人に加わり、賛成しました。

 
 この判決文はニール・ゴーサッチ判事が書いたものです。
(判決文という、難しい単語や独特の言い回しが頻出する文章なので、間違いもあるかもしれませんが…)以下、日本語訳をお伝えします。
「今日、我々は、従業員が単に同性愛者またはトランスジェンダーであるというだけで雇用主が解雇できるかどうかを決めなければならない。答えは明白だ。同性愛者またはトランスジェンダーである従業員を解雇した雇用主は、その従業員が別の性別だったとすれば問題とならなかったであろう特徴や行為を理由に解雇している。この決定において、性別は、正確に公民権法第7編※が禁じているところのものである、必要で偽装しようのない役割を果たしている」
「単にゲイまたはトランスジェンダーであるというだけで従業員を解雇する雇用者は、公民権法第7編を犯している」
「公民権法第7編を採用した者は、彼らの働きがこの特定の結果を導くだろうとは予想しなかっただろう。おそらく、彼らは、男性の従業員へのセクシュアルハラスメントの禁止や母であることに基づく差別に対しての禁止を含む法の帰結の多くが何年もかけて現れてくるものだとは思っていなかっただろう」
「しかし、法案の起草者の想像力の限界が、法の要請を無視する理由にはならない。法令の言葉の表現が、我々にひとつの答えを与え、言外の考察が別の示唆を与えるなら、迷うまでもない。書かれた言葉のみが法であり、人はみなその恩恵にあずかる権利を有するのだ」

※公民権法第7編:公民権法は人種や民族による差別をなくすための包括的な法律で、1964年に制定されました。第7編では、平等な雇用、政府調達の契約者・下請契約者による公平な雇用を定めているほか、性別による雇用差別を禁じています。その条項を履行する政府機関として雇用機会均等委員会が設立されました。


 昨年、連邦最高裁は、LGBTQの権利と「性別による」雇用差別を禁じる公民権法第7編とに関する3件の議論を聞きました。3件のうち2件はゲイの人たち、1件はトランスジェンダーによる訴えでした。
 原告側のLGBTQと公民権グループの弁護士は、性的指向や性自認に基づく差別も「性別による」差別に含まれると主張しました。SOGIに基づく差別は必然的に「性別による」差別に関与します。その主な理由は従業員が別の性別の従業員と異なる、許容できないような扱いを受けるからです。
 さらに原告は、最高裁が「性別による」という定義の下で性別のステレオタイプに基づく差別も含んできたと主張しました。曰く、LGBTQの人々は、「男性と女性は異性と結婚する」そして「出生時に割り当てられた性別が男性/女性である人々は自身を男性/女性と自認する」といった性別のステレオタイプに抗する、つまり、LGBTQへの差別は、性別のステレオタイプに基づく差別だということです。

 アメリカ自由人権協会のLGBTQ&HIVプロジェクトのディレクター、James Esseks氏は、「これはLGBTQの平等における大きな勝利だ。50年前、黒人とヒスパニック系のトランス女性、ドラァグクイーン、ブッチ・レズビアンたちが、警察の横暴や、LGBTQが未だに直面する多くの差別に反抗して戦った(「ストーンウォール事件」)。最高裁がSOGIを理由にした解雇が無法であると明らかにしたことは、何十年にもわたる権利擁護運動の成果だ。最高裁は私たちの国の主要な趨勢をキャッチアップした、それはLGBTQ差別が法の下の平等に照らして不公正だという認識だ」
「私たちの運動はまだ終わっていない、まだまだ人々を置き去りにしている公民権法の中に、警告に値する格差が残っている。とりわけ黒人やヒスパニック系のLGBTQだ。ビジネスにおいて、公共において、税金で賄われる支援プログラムにおいて。国会は、今日の判決を確定し、LGBTQの明示的な保護や理解の確証に向かわなければならない」
 
 Gerald Bostockさんは、ジョージア州クレイトンの少年裁判所のソーシャルワーカーとして雇用され、Donald Zardaさんはニューヨークを拠点とする「Altitude Express」のスカイダイビングのインストラクターを務め、働きぶりに何の問題もなかったが、意図しない成り行きで解雇されました。
 Bostockさんは、2013年、ゲイのソフトボールリーグのプレイヤーであると新聞に載ったことで解雇されました。
 Zardaさんは、2010年、スカイダイビングの時の二人が一緒に飛ぶに際しての女性の学生の心配に答えて「僕は100%ゲイだから」と答えたことで解雇されました。
 二人は、前の雇用主を公民権法に反するとして訴えました。Zardaさんは2014年の事故で亡くなりましたが、彼の母親が訴訟を引き継ぎました。ニューヨークの連邦高裁は、その訴えを認めました。
 一方、Bostockさんの訴えは、地裁で却下され、アトランタの控訴裁で棄却が確定しました。

 Aimee Stephensさんは、デトロイトの葬儀場で6年働きましたが、自身が女性であると告げて、2013年に解雇されました。彼女は雇用機会均等委員会に申し立てを行い、地裁に訴えました。シカゴの控訴裁は、その訴えを認めました。

 アメリカ自由人権協会は、Aimee StephensさんとDonald Zardaさん、Aimeeさんの妻であるDonna Stephensさん、Donaldさんやお母さんの死後、裁判を引き継いだDonald Zardaさんの前のパートナー、Bill Mooreさん、Donald Zardaさんの妹であるMelissa Zardaさんを弁護しました。

 トランプ政権は、公民権法はLGBTQのことを扱っていない、1964年の時点ではLGBTQを含めたいと思っていなかった、もし雇用主が解雇しても、それは「性別による」差別には当たらないと主張しました。
 トランプ政権は、LGBTQの差別からの保護を求めるなら国会に上げられるべきだとしました。トランプ大統領は「イクオリティ・アクト」に反対しています。
 
「私の妻のAimeeは、ソウルメイトだった」とDonna Stephensさんは語りました。
「私たちは20年間、結婚していました。最後の7年間、職場で女性であるとカミングアウトして解雇された時から、彼女はトランスジェンダー差別に反対するリーダーとしての役割を果たしました。私はSOGIに関わらず公正に扱われると確定させた、この勝利をうれしく思います。Aimeeのレガシーを誇りに思います」
 Aimeeさんは、判決を知ることなく、先月亡くなっていました。

 勇気をもって裁判を起こした3人の中で唯一、まだ存命のGerald Bostockさんは「私たちを歴史的な瞬間にいざなうプロセスに参加していることを誇りに思う」とコメントしました。
 
「私たちの国の物語は、すべての人々の偉大な平等、偉大な公正に向かう容赦のない行進のひとつです」と、ジョー・バイデンは語りました。「今から50年前の6月、最初のプライドパレードがニューヨークでプロテストとして開催されました。それは解放を求めるデモ行進でした。今日、SOGIによる差別が公民権法で禁じられると断言されたことは、最高裁がシンプルで深遠なアメリカの理念、すべての人間は尊敬と尊厳をもって扱われなければならないととする理念を確定させたということです。それは、すべての人々が恐怖に苛まれることなく、オープンに、誇りをもって、本当の自分自身で生きられるようにすべきということです」

 なお、トランプ政権は6月12日、オバマケアで明確にされたトランスジェンダーへの差別禁止規則を撤廃することを明らかにし、また、15日には、在韓米大使館が掲げたレインボーフラッグと「BLACK LIVES MATTER」のバナーを撤去させ、LGBTQ差別と人種差別を肯定する姿勢を強めています。

 

参考記事:
Supreme Court rules in favor of LGBTQ rights in landmark decision(LGBTQ NATION)
https://www.lgbtqnation.com/2020/06/supreme-court-rules-favor-lgbtq-rights-landmark-decision/

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