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岩手県盛岡市が同性パートナーシップ証明制度導入を検討へ

2020年06月17日

 IBC岩手放送が報じたところによると、岩手県盛岡市は同性カップルの関係を婚姻と同等であると認める同性パートナーシップ証明制度の導入に向けて動き始めます。導入時期は未定ですが、実現すれば東北地方の自治体で初めての例となります。
 
 昨年盛岡市議に初当選したオープンリー・レズビアンの加藤麻衣市議は、昨年10月の市議会で同性パートナーシップ証明制度や性的マイノリティの自殺対策について質問していました。盛岡市は今月末の策定を目指す第3次男女共同参画推進計画の素案に「制度の導入を検討する」という文言を盛り込みました。そしてこの6月16日に開かれた市議会で、加藤市議は、導入に向けた具体的な進め方について質問しました。
「この制度を導入していることによって、その自治体が性的マイノリティ当事者にとって暮らしやすい地域かどうかの試金石になる。今後盛岡ではどのように検討していくのかをお伺いします」
 この質問に対して、市は「多様な性に対する市民の理解促進に取り組む」と答えるにとどまり、具体的な導入スケジュールは示しませんでした。第3次男女共同参画推進計画が策定されれば、検討に向けて具体的に動き出すのではないでしょうか。
 
 いわてレインボーマーチの主催者でもある加藤麻衣さんは、昨年8月の盛岡市議選に初挑戦し、見事に2位で当選しました。東北ではまだ同性パートナーシップ証明制度が認められていないということに象徴されるようにLGBTQにとって様々な社会的課題がある、若者や女性、様々なマイノリティの声を市議会に届けたいとの思いでした。
 加藤市議は今年、岩手県陸前高田市議で同じ20代の木村聡(あきら)市議とともに、東北初の同性パートナーシップ証明制度導入を目指して活動を始めました。木村市議は3月の陸前高田市議会で同制度導入の可能性について質問し、戸羽太市長から「性的マイノリティの方にこのまちで暮らしていただく選択肢をご提示する上でも、ぜひ実現したい。一方で当事者が本当に望む形で制度設計をしなければならない」という前向きな回答を得ていました。
 5月16日にはオンラインで同制度についての勉強会を開催しました。加藤麻衣市議は「性的マイノリティを認めることはありとあらゆる市民を認めることだ」と意義を強調し、「当事者の人数は把握しにくいが、ゼロではない。うまく行政に訴えていけるとよい」と語りました。木村聡市議は「さまざまな人の協力が必要で時間がかかる話だと思う。自分のことにならない人がいるのもたぶんあると思う。できる人ができることをやっていくことが重要なのではないか」と語りました。参加した市民からは「震災後さまざまな人が訪れるようになった。世の中には無数の差別があるが無くしていくきっかけになるのではないか」といった声が上がったそうです。

 
 東北地方の自治体で初めて同性パートナーシップ証明制度の導入を検討すると公に発表したのは、今年3月11日の青森県弘前市が初だと見られます(なお、弘前市は先日の青森レインボーパレードにも祝辞を送っています)。今回お伝えしたように、岩手県の盛岡市や陸前高田市も検討する姿勢を見せていますので、近い将来、この3市の中から「東北初」が誕生するのではないでしょうか。東北地方が少しでもLGBTにとって生きやすい(故郷の町を去らずに生きていけるような)地域になっていくことを願います。
 
 

参考記事:
同性パートナーシップ制度の導入を検討/岩手・盛岡市(IBC岩手放送)
https://news.ibc.co.jp/item_39748.html
若手市議が先導、東北初のパートナーシップ制度導入へ(オルタナ)
http://alternas.jp/work/challengers/80409
東北初のパートナーシップ制度へ 陸前高田市が導入に向け勉強会【岩手県】(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/43962

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