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EUがLGBTQへのヘイトスピーチの禁止や同性婚家族の権利保障などを盛り込んだ指針を取りまとめました

2020年11月14日

 EU(欧州連合)の執行機関である欧州委員会は12日、欧州のLGBTQが直面する不平等を改善し、安全を保障するため、前例のない指針(5カ年戦略)を打ち出しました。


 この5カ年戦略には、様々な法的、経済的規則が含まれており、LGBTQに向けられるヘイトスピーチをEU法上の犯罪リストに入れること、同性カップルの権利だけでなく同性婚家族の権利(親権)の保障も提案されています。
 2025年までの指針とし、各国の取組み状況を確認し、3年後に中間報告を作成するとしています。

 2019年の欧州基本権の調査では「差別を受けた」と感じたLGBTQの割合は43%で、2012年に比べ6ポイント上昇しています。
 また今年、コロナ禍のロックダウンの影響で、若い人が暴力やいじめを受けたり、不安や抑うつに苦しむような環境から抜け出せず、状況が悪化していると考えられています。
 
 欧州委員会の副代表、ヴェラ・ヨウロヴァ氏は「これはイデオロギーに関することではない。人間に関すること、愛に関することだ」と語りました。「この戦略は、誰も傷つけない。誰を台座に置くこともしない。安全を保証し、だれも差別されないようにすることだ」

 欧州委員会で差別の問題などを担当するヘレナ・ダッリ委員は「誰もが平等で差別されないということはEUの中核的な価値観だ。これはEU内の人々が、SOGIESCに基づく差別や暴力、恐怖を感じることなく安全に暮らせることを意味する。EUが、多様性のある社会を実現するための将来の規範となる」と話しています。

 この戦略提言では、直接名指しされてはいませんが、EUでは特にポーランドでの状況の悪化が懸念されていると見られています。
 ポーランドでは、国土の約3分の2にあたる80以上の自治体が「LGBT排除地区」を宣言するなど、差別が激しくなっており、今年7月には、EUがLGBT排除地区の補助金申請を却下する措置をとっていました。
 
 ヘレナ・ダッリ委員は「我々はいまだに完全なインクルージョンと受容を達成するまでには長い道のりを要する」と語っています。

 
 
参考記事:
LGBTなどの権利 守るための初指針 EUが取りまとめ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201114/k10012711501000.html
EU unveils historic plan to outlaw discrimination and ‘guarantee safety’ for queer citizens as anti-LGBT+ hate surges in Poland(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2020/11/12/eu-european-union-commission-plan-address-lgbt-discrimination-poland-homophobia-helena-dalli/

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