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第63回グラミー賞のノミネーションが発表され、かつてないほどたくさんのクィア・アーティストがその才能を評価されました

2020年11月27日

 11月24日、第63回グラミー賞のノミネートが発表され、かつてないほどたくさんのLGBTQのアーティストがその才能を評価されました。特にクィア女性の躍進には目覚ましいものがありました。


 今年のグラミー賞ノミネーション発表は、レコーディング・アカデミーの臨時会長であるハーヴィー・メイソン・ジュニアがこの1年における音楽の重要性について「私たちの日常は、世界的なパンデミックだけでなく、社会不安によって突如として一変してしまいました。その間、人々は 慰め、インスピレーション、団結のために音楽を聴いていました」と語るスピーチから始まりました。
 ビヨンセが最多9部門、テイラー・スウィフト、ロディ・リッチ、デュア・リパがそれぞれ6部門にノミネートされ、次いで、レズビアンであることをオープンにしているシンガーソングライターのブリタニー・ハワードが最優秀ロック・パフォーマンス、最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム、最優秀R&B・パフォーマンス、最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンスなど5部門でノミネートされました(今回ノミネートされたクィア・アーティストの中で最多です)
 今年特にエキサイティングなカテゴリーとなったのが、新人賞です。クィア・ラッパーのCHIKA、カナダのゲイのDJ/ソングライターのケイトラナダ(最優秀ダンス・レコーディング、最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバムにもノミネート)、バイセクシュアルのシンガーソングライター/インディー・ポップ・ミュージシャンのフィービー・ブリジャーズ(最優秀ロック・パフォーマンス、最優秀ロック・ソング、最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバムにもノミネート)。8人中3人をLGBTQが占めました(なお、GLAADは、新人賞にノミネートされたドージャ・キャットやミーガン・ジー・スタリオンも、性的指向を明らかにしていないものの、どちらもストレートではないと思われている、と述べています)
 レディ・ガガが「Rain On Me」で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンスに、『Chromatica』で最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバムにノミネートされました(テイラー・スウィフト『FOLKLORE』やデュア・リパ『FUTURE NOSTALGIA』などと受賞を争います。どれも名盤なので、決めがたいですよね!)
 ルーファス・ウェインライトは『Unfollow The Rules』で最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバムにノミネートされました。
 大御所リッキー・マーティンは『PAUSA』で最優秀ラテン・ポップ、アーバン・アルバムにノミネートされました。
 昨年3部門受賞のブランディ・カーライルは、今年も最優秀カントリー・ソング、最優秀映像メディア楽曲の2部門でノミネートされています。同じくカントリー部門では、レズビアンのシンガーソングライター、ブランディ・クラークが最優秀カントリー・ソロパフォーマンス、最優秀カントリー・アルバムにノミネートされています。
 そのほか、トランスジェンダー/ノンバイナリーのDJ/ソングライターのアルカが最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバムに、バイセクシュアルのシンガーソングライター、ラッパー、ベーシスト、ボーカリストであるミシェル・ンデゲオチェロが最優秀R&Bソングにノミネートされています。
 最優秀ミュージカル・アルバムにノミネートされた『JAGGED LITTLE PILL』はLGBTQのことも描いた作品で、主演の一人、ローレン・パットンはバイセクシュアルの俳優です。
 最優秀スポークンワード・アルバム(詩、オーディオ・ブック、朗読など)にノミネートされたレイチェル・マドーはレズビアンのニュースキャスター、ローナン・ファローは、以前ゲイだとカムアウトし、のちにLGBTQコミュニティの一員であると語ったジャーナリストです。

 疑いようもなく、こんなにたくさんのLGBTQのアーティストや作品、ジャーナリストがグラミー賞にノミネートされたのは初めてのことだと、GLAADは述べています。『Out』誌は「クィア女性がグラミーを席巻した」と評しました。
 
 1月31日に発表されるグラミー賞授賞式は、昨年をしのぐクィアなものになるでしょうか? 楽しみにしましょう。
 
 
<グラミー賞のLGBTQ受賞者リスト>
主要部門
●最優秀ニュー・アーティスト
CHIKA
ケイトラナダ 
フィービー・ブリジャーズ 

POP部門
●最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス
レディ・ガガ with アリアナ・グランデ「Rain On Me」
●最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム
レディ・ガガ『Chromatica』
●最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム
ルーファス・ウェインライト『Unfollow The Rules』
●最優秀ダンス・レコーディング
ケイトラナダ feat. カリ・ウチス「10%」
●最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム
アルカ『KiCk i』
ケイトラナダ『BUBBA』

ロック部門
●最優秀ロック・パフォーマンス
ブリタニー・ハワード「Stay High」
フィービー・ブリジャーズ「Kyoto」
●最優秀ロック・ソング
フィービー・ブリジャーズ「Kyoto」

オルタナティブ部門
●最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム
ブリタニー・ハワード『Jaime』
フィービー・ブリジャーズ『Punisher』

R&B部門
●最優秀R&Bソング
ロバート・グラスパー feat. H.E.R.&ミシェル・ンデゲオチェロ「Better Than I Imagined」
●最優秀R&B・パフォーマンス
ブリタニー・ハワード「Goat Head」

カントリー部門
●最優秀カントリー・ソロパフォーマンス
ブランディ・クラーク「WHO YOU THOUGHT I WAS」
●最優秀カントリー・アルバム
ブランディ・クラーク『YOUR LIFE IS A RECORD』
●最優秀カントリー・ソング
The Highwomen(ブランディ・カーライル)「CROWDED TABLE」

ラテン部門
●最優秀ラテン・ポップ、アーバン・アルバム
リッキー・マーティン『PAUSA』

アメリカン・ルーツ音楽部門
●最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス
ブリタニー・ハワード「Short and Sweet」

スポークンワード部門
●最優秀スポークンワード・アルバム(詩、オーディオ・ブック、朗読など)
レイチェル・マドー『BLOWOUT: CORRUPTED DEMOCRACY, ROGUE STATE RUSSIA, AND THE RICHEST, MOST DESTRUCTIVE INDUSTRY ON EARTH』
ローナン・ファロー「CATCH AND KILL」

ミュージカル部門
●最優秀ミュージカル・アルバム
JAGGED LITTLE PILL

映像・映画音楽部門
●最優秀映像メディア楽曲
ブランディ・カーライル「CARRIED ME WITH YOU [FROM ONWARD] 」



参考記事:
Brittany Howard, Brandy Clark, Chika, Kaytranada, Phoebe Bridgers, Lady Gaga, and more lead a dynamic group of LGBTQ nominees for The 63rd Grammy Awards(GLAAD)
https://www.glaad.org/blog/brittany-howard-brandy-clark-chika-kaytranada-phoebe-bridgers-lady-gaga-and-more-lead-dynamic
Queer Women Bagged a Ton of 2021 Grammy Nominations(Out)
https://www.out.com/music/2020/11/24/queer-women-lgbtq-grammy-2021-nominations

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