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米最高裁がトランスジェンダーの自認性に基づくトイレ使用の権利を認めました

2020年12月10日

 米連邦最高裁は12月7日、オレゴン州の学区が定めた「トランスジェンダーの生徒は自らの性自認に応じてトイレを使用することができる」との規則に対して反対派の親たちが起こした訴えを棄却し、トランスジェンダーの自認性に基づくトイレ使用の権利を支持しました。
  
 この訴訟は2017年、オレゴン州ダラスの学区がトランス男子生徒のエリオット・ヨーダーくん(16歳)が男子用のトイレとロッカーを使用することを認める決定をしたのに対し、学校の親たちが「教育改正法第9編(性差別禁止規定)」に違反するものであり、「子育てに関する親の権利」や「身体的プライバシーの権利」に抵触し、「宗教の自由」を妨害するなどと主張して起こした裁判でした(なんとひどい…我が子がトランスジェンダーだったとしても、同じことをするのでしょうか)
 この訴えについて第9巡回控訴裁判所(連邦高裁)は、「シスジェンダーの生徒と同様に、トランスジェンダーの生徒にも自認性でのトイレとロッカールームの利用を認めるポリシーは、プライバシー権や保護権などに抵触しないし、ハラスメントも生まない」「オレゴンの学区の規則は差別をなくし、トランスジェンダーの生徒の安全と幸福を守るものだ」との判決を下していました。連邦最高裁は、この連邦高裁判決を支持し、自認性でのトイレやロッカールームの使用の権利を認めたのです。

 トランプ大統領は自身の任期の間、何度も保守派の判事を最高裁に送り込み、大統領選の直前にも、亡くなったルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の代わりに超保守派のエイミー・コーニー・バレットを最高裁判事に任命、その結果、現在の最高裁は6対3で保守派が多数を占めることになり、LGBTQに対して敵対的になると考えられていました。バレットは2016年、トランス女性を「生理的な男性」と表現し、公教育における性差別の撤廃を定めた教育改正法第9編の適用範囲にトランスジェンダーが含まれることに疑問を呈する発言をしていました。
 それだけに、LGBTQ団体をはじめとする人権団体は、今回の最高裁の判断を歓迎しました。
 
 ACLU(アメリカ自由人権協会)でLGBTQ・HIVプロジェクトの副リーダーを務めるチェイス・ストランジオ(トランスジェンダーの弁護士で、今年TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれています)は声明で、「最高裁はかつて、トランスジェンダーの若者は他の生徒の脅威ではないと述べています」と述べました。
「この決定は、トランスジェンダーとノンバイナリーの若者に、シスジェンダーの生徒たちと一緒に学校生活を楽しむに値するという重要でパワフルなメッセージを送るものとなった」
 チェイス・ストランジオはまた、「今回の訴訟はひどいものだったが、今後も類似した訴訟は増えるだろう。さらに、もっと危険な反トランス法を通過させるための準備を進めている州もある」とツイートしました。
 
 「今日の決定は、トランスの学生にとって素晴らしいニュースだ」と、ナショナルトランスジェンダー平等センターのマーラ・ケイスリング代表は述べました。
「トランスジェンダーの生徒たちは安全でサポーティブで差別のない環境で学べるようになるべきです。学区がそうした環境を作ろうとした行動への非難が不当であることが証明されました」
 
 最高裁判断は喜ばしいものである一方、ストランジオとACLUはトランス学生のための闘いを続けるといいます。
「私たちは裁判で、議会で、私たちの家庭やコミュニティで、全てのトランスピープルが安全で受け入れられていると感じられるようになるまで闘い続ける」


 

参考記事:
Supreme Court Affirms Rights of Trans Students In Latest Move(Out)
https://www.out.com/news/2020/12/08/supreme-court-affirms-rights-trans-students-latest-move
米最高裁、「学校のトイレ問題」で反LGBT団体の訴えを棄却(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/38653

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