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TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたLGBTQ10人

2020年10月02日

 伊藤詩織さんと大坂なおみさんが選ばれたことで話題の、米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」。実はこの100人の中には、LGBTQの方たちが何人も選ばれています。『METRO WEEKLY』の記事によると、その数は10人に上ります。

ビリー・ポーター
 g-lad xxでもたびたび紹介していますが、もともと『キンキーブーツ』のローラ役でトニー賞を受賞している俳優で、アカデミー賞のレッドカーペットにタキシード・ドレスで登場したことで世界的な注目を集めました。その後、ドラマ『POSE』に主演し、昨年、ゲイとして初めてエミー賞主演男優賞を受賞しました。
 
ミーガン・ラピノー
 米女子サッカーチームのキャプテンとして女子サッカーW杯で史上最多4度目の優勝という偉業に導いた方。昨年の凱旋パレードで「同性愛者なしのチームで優勝なんてできない」とスピーチし、賞賛されました。2012年にレズビアンであることをカムアウトしています。

ホールジー
 アーティスト部門に選ばれたHalsey(ホールジー)は、バイセクシュアルであることをカムアウトしているシンガーソングライターで、『Without Me』のMVは4.4億回、『Bad At Love』のMVは3.1億回視聴されているほどの人気です。VOGUEのインタビューでは「流動性を許さないなんて、この社会がいかに多様なジェンダーを受容することに消極的かという証左です。男は強くあるべき、というようなトキシック・マスキュリニティ(有害な男性性)の問題は、個人に多大な影響を与えますし、男性が女性のようにふるまうことを否定する考えには、本当に心が痛みます」と語っています。
 
グレッグ・バーランティ
 オープンリー・ゲイの脚本家/プロデューサー/監督です。2001年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された『ブロークン・ハーツ・クラブ』という名作ゲイ映画をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。『Love, サイモン 17歳の告白』の監督でもあります。『エバーウッド 遥かなるコロラド』の企画原案、『ブラザーズ&シスターズ』や『ARROW/アロー』のショーランナー、『グリーン・ランタン』の原案・脚本・製作なども手がけています。

BLMの創始者
 BLACK LIVES MATTERの創始者であるPatrisse Cullors(パトリッセ・カラーズ)、Alicia Garza(アリシア・ガーザ)、Opal Tometi(オパール・トメティ)の3人もリストアップされています。パトリッセ・カラーズとアリシア・ガーザはクィア女性です。

チェイス・ストランジオ
 アメリカ自由人権協会の弁護士、Chase Strangio(チェイス・ストランジオ)は、トランス男性としてトランスジェンダーの権利擁護の活動にも携わっています。今年6月、米連邦最高裁が性的指向・性自認に基づく解雇を違法とする画期的な判決を下しましたが、チェイス・ストランジオも弁護団の一員として、この勝利に貢献しました。俳優兼活動家のラヴァーン・コックスは、「チェイスは、法制度の混乱した矛盾と限界について明確に語り、同時に最も弱い人々を助けるために制度の力を行使しています。現在、彼は史上最大のLGBTQ+の法的勝利に貢献した弁護士として称賛されている。彼が私の友達であることが誇らしい」とコメントしています。

アンジェラ・デイヴィス
 レズビアンの活動家/著述家/学者であるアンジェラ・デイヴィスは、第二波フェミニズム、ブラックパンサー党、反ベトナム戦争運動、刑務所廃止運動などに関わり、レーニン平和賞を含む、多くの賞を受賞してきました。2020年、『TIME』誌の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」で1971年の代表に選ばれています。

トルマリン
 トランスジェンダーの活動家、映像作家です。マーシャ・P・ジョンソンの短編映画『Happy Birthday マーシャ!』や、すべてのIDの性別を男性に戻したミス・メジャーの『The Personal Things』などを発表しています。こちらに詳しく紹介されています。

祁家威
 台湾の蔡英文総統のリスト入りも話題になりましたが、Chi Chia-wei(祁家威)も入っています。台湾の同性婚実現の立役者である活動家で、2017年には総統文化賞が贈られました。台北のパレードでは大きなレインボーフラッグを振って参加者にエールを贈ったりする姿がおなじみです。

 ほかにも、ジェニファー・ハドソン、セレーナ・ゴメス、ドウェイン・ウェイド&ガブリエル・ユニオン夫妻(子どもがトランスジェンダーで、全力サポート)のようなLGBTQアライもリストアップされています。
 
 また、『TIME』誌が選考理由を説明した「How We Chose the 2020 TIME100」では、「ルールとしてこの100人は存命者の中から選ぶことになっているが、今年多大なインパクトを与えたにもかかわらず亡くなってしまった方も本当にたくさんいる」として、ルース・ベイダー・ギンズバーグや、ジョージ・フロイドら人種差別の犠牲者と並んで、エイミー・スティーブンスの名前も挙げられています。トランス女性のAimee Stephens(エイミー・スティーブンス)は、米連邦最高裁が性的指向・性自認に基づく解雇を違法とした裁判の原告の一人です。5歳のときから女性だと自認していましたが、なかなか公にできず、家族を持ち、アイデンティティの分裂に苦しんだ挙げ句、2013年、勤め先のミシガン州の葬儀社に、女性として生きることを決断したと伝える手紙を書き、その直後に解雇されたのです。彼女はこの不条理に対し、裁判で闘うことを決意しました。しかし、最高裁の歴史的な判決を聞く前に、今年3月に59歳で亡くなりました。

 

参考記事:
TIME 100 honors LGBTQ icons including Billy Porter, Megan Rapinoe, Chase Strangio, BLM founders(METRO WEEKLY)
https://www.metroweekly.com/2020/09/time-100-honors-lgbtq-icons-including-billy-porter-chase-strangio-blm-founders/
伊藤詩織・大坂なおみ両氏選出で話題のTIME誌「世界で最も影響力のある100人」。他にも注目したい人たち(HARBOR BUSINESS Online)
https://hbol.jp/229032?cx_clicks_art_mdl=11_title

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