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英国が献血禁止基準を見直し、性別や性的指向による差別を撤廃することを決めました

2020年12月16日

 今年4月、米国がゲイ・バイセクシュアル男性の献血禁止措置を緩和というニュースをお伝えしましたが、英国はさらに進んで、献血の禁止基準を見直し、性別や性的指向ではなく個人の性行動に基づいてリスクを評価する新たなガイドラインを策定しました。
 

 英国では現状、男性が男性とセックスした場合、その日から3ヵ月間は献血することができないというルールになっており、たとえその相手が結婚相手や長年のパートナーだったとしても(ストレートなら認められるのに)ゲイ・バイセクシュアル男性であるというだけで排除されています。今回英国政府が発表した新たなガイドラインでは、本人の性別や相手の性別、それぞれの性的指向に関わらず、3ヵ月超にわたって1人の性的パートナーだけと関係を持っている場合は献血が認められるようになります。来年夏から適用されるそうです。
 LGBTQ活動家は、性的指向による偏見を排し、平等性を推進するうえでの大きな一歩だと歓迎しています。
 マット・ハンコック保健・社会福祉相は「これは前向きな一歩であり、性的指向ではなく本人の行動に基づいて個人を認識するものだ」とし、献血者の数を安全に増やすこともできると述べました。
 
 
 なお、同様の問題はLGBTQ先進国のカナダでも議論されています。カナダも英国と全く同じルールをゲイ・バイセクシュアル男性に課しており、自由党のトルドー政権下で2015年、2019年にこの制限をやめると約束されたにもかかわらず、まだ実現に至っていませんでした。
 11月26日、カナダ初のオープンリー・ゲイの保守党下院議員であるエリック・ダンカンは、国会でパトリシア・ハイデュ保健相に詰め寄りました。
「5年前、自由党はこのルールを終わらせるとゲイたちに約束したじゃないですか。なぜ約束を破るのですか?」
 ハイデュ保健相が「自由党はLGBTQのためにどの政党よりも多くのことをしてきました」などと言って質問を巧みに避け、数回そのようなやりとりが繰り返されたのち、ダンカン議員は「保健相、私の血液を受けますか?」と突っかかりました。ぎこちない沈黙の後、ハイデュ保健相は「法改正を支持し、カナダの血液機構にできるだけ早く勧めます」と述べました。
 ダンカン議員は、カナダ内科学会と血液平等連合が保証する簡単な解決法があると指摘しました。性的指向ではなく、個人の性行動に基づくリスク評価のシステムです。このメソッドはイタリア、スペイン、ポルトガルですでに実践されています(英国もこれに倣います)
  
 
 日本では、過去6ヵ月間に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」または「男性どうしの性的接触があった」方が「献血をご遠慮いただく場合」に該当するとされています(詳しくはこちら
 他国と同様で、たとえずっと特定のパートナーとしかセックスをしていないとしても、男性どうしであるというだけで、献血が認められないのです。そして、米国やカナダが過去3ヵ月という待機期間であるのに対し、日本は6ヵ月です(3ヵ月セックスレスの方と6ヵ月セックスレスの方では、数に結構な違いがあると思われます)
 
 世間では今、コロナで献血ピンチ献血 年賀状で呼びかけ冬場を前に献血を 熊野高ラグビー部が協力など、全国で献血を呼びかけるニュースが報じられています。全人口の数%を占めると推計されるゲイ・バイセクシャル男性を排除することをやめ、英国などと同様のガイドライン(性的指向を問わず、個人の性行動に基づくリスク評価)に変えれば、血液不足解消にもつながるのではないでしょうか。

 
参考記事:
ゲイやバイセクシャルの男性による献血、英政府が制限緩和へ(WSJ)
https://jp.wsj.com/articles/SB10671388092954773957304587160092460676010
Gay MP boldly confronts health minister over failure to end queer blood ban: ‘Does she not feel comfortable taking my blood?’(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2020/11/27/eric-duncan-gay-mp-blood-ban-conservative-mp-patty-hadju/

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