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「現在のパートナーと出会って生きる力になった」「家族ぐるみのつきあいをしてきた」「結婚している夫婦と同じ」…同性カップルやその親族が法廷で訴えました

 8/5、札幌地裁で同性婚訴訟の原告カップルらが証言台へのニュースでお伝えした通り、日本で同性婚ができないのは憲法が保障する「婚姻の自由」や「法の下の平等」に違反していると訴える「結婚の自由をすべての人に」訴訟の全国5ヵ所のうち札幌地裁(武部知子裁判長)で8月5日、最初で最後の「尋問」が行われ、原告の5人と原告の姉1人が証言台に立ち、約3時間にわたって、裁判官からの質問に答え、「パートナーが急病でも面会できない、相続もできない」などの切実な声、結婚の平等への思いを裁判官に直に訴えました。原告の方のお姉さんから「二人の生活は結婚している夫婦と同じ。応援したい」という支援の言葉も語られました。



 原告の一人である亮佑さん(40代)は、「2002年11月、札幌で現在のパートナーと出会いました。2004年から一つ屋根の下に暮らして、彼の作ったご飯を食べて、洗濯物をたたんで、お互いの家族と一緒に旅行したりしてきました。私たち二人の関係はまぎれもない家族です。彼はかけがえのないパートナー。死ぬまで一緒に暮らしたいと思う家族です。でも、私たち同性カップルには、婚姻が認められていません。病気になった時に面会できないかもしれない、自分が先にこの世を去った時に相続もできないかもしれない。私も、異性愛者と同じように、結婚がしたいです」と語りました。
 亮佑さんは公立学校の教諭として働いているそうですが、「職場の人に同性の人と暮らしていることを言えない」といいます。その理由は「学校では同僚だけでなく、保護者や子どもたちもいるので『あの学校には”ホモ”がいる』と噂が広がってしまうことが心配だから」です。道内各地への転勤もありましたが、パートナーの存在も配慮されず、(たかしさんと一緒に暮らすため)単身寮にも入れないので、こっそり民間のアパートを借りて暮らす生活を続けているそうです。彼は「今の若い人たちに同じ苦しみを味わってほしくない」と語りました。
 亮佑さんにとって結婚とは、「二人の関係性を端的に表せるもの」だといいます。
「私たちはいろいろな説明をしても『男ふたりの友達関係と何が違うの?』と言われてしまうことがあります。結婚というと、それだけで絆のある関係性だと感じてもらえると思います」
 最後に「国に求めることは何か」と問われると、「私たちを結婚させてください。それだけです」と締め括りました。
 
 亮佑さんのパートナーであるたかしさん(40代)は、小学校のころから「オカマ」などと言われていじめられたつらい経験から、同性に惹かれる気持ちを「精神的な問題」だと感じ、受け入れられずにいました。しかし、「20年前に新聞記事で、性的マイノリティの人権問題に取り組む亮佑さんのことを知った」といい、同じ当事者の友人もいなかったたかしさんにとって、亮佑さんは憧れの存在でした。そうして17年前におつきあいが始まりました。
「(亮佑さんの)明るさに惹かれました。そこから18年間一緒に過ごす中で、もちろん喧嘩もありましたが、彼は人を妬んだり卑屈になることが一度もなく、他人の幸せを心から願う人。とても尊敬しています」
「彼とは、家族ぐるみの関係です。彼の妹の結婚式に家族の一員として参列したり、私と彼、私の両親と姉夫婦、そして甥っ子の家族7人で温泉旅行にも行ったりしました。旅行中、旅館の方から「とてもいい家族ですね」と声をかけられました。私はそれまで、結婚できなくても、私と彼と家族が幸せならそれで十分だと思っていました。でも、些細な出来事だけど、その時周りから家族として認めてもらえることが、これほど嬉しいことなんだと思わされたんです」
「しかしどれだけ多く家族としての時間を過ごしてきても、彼や彼の家族は、法的には「他人」でしかない。結婚しないのではなく“結婚できない”状況は、私たちの生活実態とかけ離れています。この日本で同性婚が実現することを通して、すべての人が自分の人生を自分で選ぶことのできる、自由な社会であってほしいと心から願います」
 
 たかしさんのお姉さんは、「2002年の12月、たかしから「実は、男性とつきあっている」と告げられました。最初は驚きましたが、勇気を持って言ってくれて、うれしかったです。これまで言えずに一人で抱えてつらかったでしょう、気づいてあげられなくてごめんねと伝えました。その後、亮佑さんとも会い、家族ぐるみの関係が続いています。亮佑さんは弟を誰よりも支えてくれて、私たち家族の潤滑剤となってくれています。二人が一緒に暮らすなかで、たかしも笑顔がどんどん増えていきました。亮佑さんのお母さんも(亮佑さんが)部屋の片付けが苦手なことを心配していましたが、『(たかしさんと)二人で暮らして部屋がきれいになった』とか『料理も健康的になった』と喜んでくれて、姉としてもうれしいです」と語りました。
 お姉さんは、15年ほど前、お二人が参加した選挙ボランティアで、有権者を男女に分けて受付をすることについて説明を受けた際、誰かが「オカマが来たらどうするか」と言って笑いが起きたことに対し、「身体が震えた」と語りました。「ふと、たかしを見ると、無表情だったのをおぼえています。その後たかしに『大丈夫だった?』と聞くと『そんなことあったっけ』と。心配させないためにそう答えたのかなと思いますし、いつもこうした言葉を投げかけられ自尊心を傷つけられてきたのだな、と思いました。私自身、何も知らなければ一緒に笑っていたかもしれないとも思い、ショックを受けました」とも語りました。
 そして、亮佑さんとたかしさんは「結婚している夫婦と変わらない関係」だといい、「例えば二人のどちらかが亡くなった時に、喪主になれるのか。税金や年金、万が一の保険の面でもみんなと同じように扱われません。法律が差別を助長している状況だと思います。同性婚を認めて、異性愛者と同じ権利を与えてほしいです。今日も性的マイノリティとして生まれる人がいます。SNSを見れば、誹謗中傷もすぐに見つけられてしまうような現状で、若い人が自死に追い込まれないように、また、二人が苦しんできたことを次の世代に引き継がないように、ここで断ち切ってほしいと思います」と語りました。
 
 続いて、札幌市在住のCさんとEさんの女性カップルが証言台に立ちました。お二人は2008年2月から交際を始め、2010年から一緒に暮らしていますが、Eさんの両親が同居を許してくれず「別の部屋を借りて両親をごまかしながら一緒に生活を始めました」と振り返りました。
 Eさんは高校1年生の時に同性から受け取ったラブレターが家族に見つかり、お母さんが号泣しながら「思春期の気の迷いだからじきに治るよ、きょうだいの自己形成に関わるから絶対に言わないでほしい」と言われたそうです。
 Cさんも母親から「(あなたが)同性愛者であることを地元の人には言わないでほしい」とお願いされたそうです。
 さらに、Eさんは初めて自分がレズビアンであることを友人や学校の先生にカミングアウトした際、友人からは好奇な目で見られ、学校の先生からも「レズビアンであることをやめなさい」と言われたそうです。Eさんは自身のセクシュアリティに悩み、自死まで考えたこともありました。「性的指向は変えようと思って変えられることではないので、だからこそ苦しかった」と語りました。
 Cさんは料理担当、掃除や洗濯はお互いの仕事が休みの時に分担をしています。二人で保護猫を引き取り育てていて、旅行が趣味で年に数回は行っています。「異性カップルと何も変わらない生活を送っていると思います」とCさんは話します。
 お二人は分譲マンションを購入しましたが、Eさんによると「同性カップルでペアローンを組めるような会社は少なく、しかも公正証書などの作成が必要で時間もかかってしまうので、二人でお金を出し合って一括で購入した」そうです。しかし、そうやって購入したマンションも、「もしどちらかが亡くなったあと、スムーズに相続できるのか不安に感じている」と語ります。
 裁判官から「パートナーと結婚できるようになったら、社会に向けてどんな意味がありますか?」と問われ、Eさんは「同性カップルでも”ふうふ”として、幸せに生活できる二人が増えると思います」と語りました。「国は私たちの存在を想定していないと言いますが、でも今、私たちはこの社会に存在しています。仕事や学校に行って、家に帰って料理や子育てをしたり、異性カップルと変わらない存在です。でも結婚ができません。結婚は、私たちの『あたりまえの日々』が壊れそうになってしまったときに守ってくれるものだと思います。私はパートナーと20年も30年も、一生、一緒に生きていきたいと思っています。この裁判が私たちの未来を明るくしてくれる大きな一歩となってほしいと思います」
 「結婚ができるようになったら、何がしたいか」と聞かれると、Eさんは「今までかけられることがなかった『おめでとう』という言葉をかけてほしいです」と語りました。
 
 裁判官は、Eさんとたかしさんに対して「性的指向は(自分の意思で)変えられないのか」と質問し、二人とも「自分の意思で変えられるものではなかった」と答えました。この質問にはどのような意図があったのか?について、弁護団の須田布美子弁護士は「その属性が『自分で選べるもの』なのか『選択の余地はないもの』なのかによって、差別に対する判断が厳しくなったり、ゆるくなったりと変わってきます。裁判官が『性的指向は自分で選べるんじゃないの?』という見方でこの質問をしてきたのか、それとも人権問題として厳しく判断するために、あえて『セクシュアリティは自分で選べない』と原告に言わせようとして質問したのかは、判決を見てみないとわかりません。しかし、この論点に関心があるということは伝わりました」
 同じく弁護団の加藤丈晴弁護士は、「今回の尋問では、『同性カップルも異性カップルも変わりませんよ』という生活の実態を裁判官に理解してもらいたかった、ということが目的の一つ。また、結婚という制度がそれぞれのカップルにとってどういう意味を持つのかをご自身の言葉で伝えてもらいたかった」と語りました。「『結婚があれば自分たちの関係性を説明しやすい』とか『何かあったときの保障を受けられる』など、それぞれが考える『結婚の意味』について伝えることが今回は重要だったと思っています」「裁判官は真剣な表情で、深く頷きながら話を熱心に聞いてくれました。当初尋問で目的としていたことは達することができたのではと思います」

 法廷を出た亮佑さんは、「異性愛者は好きになると結婚できますが、同性愛は結婚できない、これは差別です。同性婚ができても(制度を使わない人にとって)世の中は何も変わりません。私たちの日々の生活も特には変わらないでしょう。でも、当事者にとっては、緊急時に家族として扱われるようになったり、勇気づけられ、カミングアウトできるようになったり、自殺したいと思う人も減るかもしれません」とコメントしました。
 パートナーのたかしさんは、「去年の2月の提訴から今日に至るまでのいろいろな思いを、今日、伝えることができました。出し切った部分もあるし、まだまだこれからなのでがんばらないと、と思いを新たにしている部分もあります。裁判官や国の代理人の方々の心に残るといいなと思います」
 
 勇気をもって証言台に立ったみなさん、本当におつかれさまでした、と申し上げたいです。
 
 なお、この日の夜、原告のみなさんと北海道の弁護団​のみなさん、「Marriage For All Japan —結婚の自由をすべての人に」代表理事の松中権​さんが出演し、オンライン報告会が開催されました。こちらからご覧ください。
 


参考記事:
「私たちを結婚させてください、それだけです」同性婚訴訟、札幌の原告が尋問で語ったこと(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20200806-00191928/
「結婚の自由をすべての人に訴訟」 札幌にて全国初の尋問(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000054117.html
同性婚訴訟 原告たちが尋問で訴え 札幌地裁(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200805/k10012552871000.html
「私たちを結婚させてください」 同性婚を認めないのは憲法違反 男性同士カップルが法廷で訴え(STVニュース北海道)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5079de989dddfffcb516490d0854b15bb42b5b70
「私に交際相手はいません」 同性婚訴訟 原告が真実を話せない苦悩を語る(STVニュース北海道)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e9baf7a95a38d7379c1faa679d441a5cae06e9e
「世の中変わるきっかけに」 同性婚訴訟 原告が過去のイジメ経験を証言(STVニュース北海道)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0376e74e06e518c80d7ebe1d4e7e814baac0c40e
「結婚は生きる力に」同性婚訴訟、本人尋問 札幌地裁(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/447782/

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