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一橋大院生の死から5年の命日に、弁護士になった同級生が「差別をなくしたい」と語り、学内のLGBTQ支援団体が追悼動画を発表しました

 一橋大学法科大学院の男子学生(当時25歳)がゲイであることを同級生にアウティングされ、精神に不調をきたし、校舎から転落死する事件が起きた日から、ちょうど5年が経った8月24日、当時の同級生で卒業後に弁護士になった方が弁護活動を通じて「性的指向や性自認による差別、偏見をなくしていきたい」と語るインタビュー記事が東京新聞に掲載され、また、学内のLGBTQ支援サークルが、追悼の動画を発表しました。
 

 亡くなったAさんの同級生Bさんは、「法律家を志す人の中でもアウティングが起きてしまった。同級生として何かできたのでは」と今も悔やんでいます。Aさんとは約1年半、同じ教室で授業を受けていて、優秀で人当たりがよいだったと振り返ります。
 亡くなったのは模擬裁判の日で、授業中から体調が悪そうだったそうですが、その日の夕方頃、校舎から転落したと教職員から聞かされたそうです。「何が起きたかわからなかった」「クラス内でもなんとなく話題に出さないような雰囲気があった」といいます。
 Aさんの死から1年が経った2016年8月、遺族の方の提訴によって、アウティングが起きていたことを知りました。
 「自分も彼を傷つける振る舞いをしていなかっただろうか」と不安が募ったそうです。「何の罪滅ぼしにもならないが、繰り返してはいけない」と、プライドパレードや事件についての集会、人権問題を学ぶ勉強会に参加するようになったそうです。
 この事件をきっかけに、アウティングが社会問題化し、大学のある国立市は2018年、アウティング禁止を明記した条例を施行しました。今年6月には、パワハラ防止法により企業にアウティング防止策が義務づけられました。
 現在、弁護士として働くBさんは「苦しんだ彼の分もと言うのはおこがましいけれど、こうした悲しい事件が起きないようにできることをしたい」と語っています。
 遺族の方が起こした裁判は、LINEグループ内でアウティングしてしまった同級生とは和解が成立し、対応に問題があった大学側とは、東京地裁の一審判決で遺族の請求が退けられることとなりました。現在は控訴審で和解に向けて協議中だといいます。
 
 一橋大学でLGBTQ学生らを支援するサークル「LGBTQ+ Bridge Network」の代表・本田恒平さん、副代表の西良朋也さん、当事者でもある山口紗英さんは、Aさんが亡くなってから5年を迎えた8月24日、追悼の動画を発表しました。
 昨年までは有志の学生らが命日に合わせて学内に献花台を設けていましたが、今年は、新型コロナウイルス感染予防で学内への入場が制限されているため叶わず、しかし、「年に一度、思い出す機会を」との思いから、動画制作にしたそうです。
 動画は約19分間で、3人が事件を振り返って語るものです。Aさんの妹さんの友人だという本田さんは、「隣にLGBTQの学生がいあるということをみんなに認識してほしい。なぜ周りにいない、知らないのか、と自問自答できる環境を作っていきたい」と語りました。差別問題を専門に研究しているという西良さんは「一橋大学には、ちゃんと学生が安心して学べ、学生・教職員が安心して通える学校づくりをしていただきたい」と、山口さんは「二度とあのような事件を起こしてはいけない。大学という閉鎖的な空間の中で、どうしたら安心して過ごせるようになるか、大学側に改善を求めたい」と、LGBTQ学生が差別やアウティングを受けることなく学べる環境作りへの理解の重要性を訴えました。
 動画では、追悼コメントも募集しており、集まったコメントは遺族に届けられるそうです。ぜひご覧ください。




 Aさんの命は二度と戻ることはありませんが、こうして彼の周囲にいた方が、LGBTQ差別と闘っていきたい、当事者学生のセーフスペースを作りたいと表明し、行動する姿には、感銘を覚えます。胸を打たれるものがあります。雲の上のAさんもきっと喜んでいることでしょう。
 私たちは、ある意味、全員がAさんの遺族なのだと思います。それぞれに彼の死を受け止め、できることをしていけたら、と思うものです。
 海外では国際反ホモフォビアデーやナショナルカミングアウトデー、ピンクシャツデーなど、LGBTQに関する様々な日(記念日というよりは、行動しようと呼びかけるための日)が生まれていますが、もしかしたら8月24日を「アウティングについて考える日」として、全国的に何かイベントを開催したりするようになったらよいかもしれないですね。
 
 
参考記事:
アウティングされた一橋大院生の死から5年 弁護士になった同級生 「差別、偏見をなくしたい」(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/50662

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