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三重県議会代表者会議が開かれ、自民党県議団長が「議会」に謝罪、政倫審設置は継続協議となったものの、小林県議に説明を求めることで合意しました

2021年04月16日

 同性カップルの住所をブログで晒した小林県議の行動が問題視され、県議会が経緯の調査と対応の協議に動いていた件で14日、三重県議会代表者会議(議長、副議長、会派の代表者等が協議または調整を行なう会議)が開かれ、小林県議に説明を求めることで合意しました。また、自民党県議団の津田団長が「写真の削除要請があった時点で速やかに削除すべきだった」などと述べ、議会運営に大きな支障をきたしたとして関係者に謝罪しました。
 

 会議の参加者は、小林県議が同性カップルの住所を無断掲載したことは「批判を免れない」との認識で一致。「議員としての資質を疑う」など厳しい意見が出ました。
 自民党県議団の津田健児団長は、「小林議員は『住所や氏名を削除してほしい』と伝えられた時点で、速やかに削除すべきだった。指導ができておらず、申し訳ない」などと述べ、議会運営に大きな支障をきたしたとして関係者に謝罪しました(これに対し、SNS上では、「まずは被害者に謝るべきだろう」との声が多数、上がっています。本当にその通りです)
 新政みえの稲垣昭義代表は、「決して看過できるものではない。反省や謝罪がない」「本人からの説明が聞きたい。道義的批判を受けている責務を果たしてもらいたい」とし、政治倫理審査会(政倫審)※の設置を提案しました。
 これに対し、草莽の長田隆尚代表は、「政倫審の設置に該当するかは微妙な問題だと思う」と述べました。
 また、傍聴者の稲森稔尚県議(以前からLGBTQを熱心に支援してくださっている方)は、小林県議が2019年にTwitter上で不適切な投稿をした問題を取り上げて「人権侵害に常習性があり、再発の可能性が極めて高い。しっかり調査すべき」と主張しました。
 政倫審の設置については、会派間で主張が食い違い、継続協議となりました。

※政治倫理審査会は、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関です。委員の過半数が賛成した場合に審査会が開かれます。議員が「行為規範」等の規定に著しく違反し、道義的責任があると認められた場合、委員の3分の2以上の賛成で、一定期間の登院自粛や役職辞任などを勧告できます。
 
 
 今回の小林県議の行動に対し、弁護士の猪野亨氏は、「自分の価値観に合わない、カッときたから短絡的に連絡先の情報までネットに拡散させてしまうのは公人としては不適格です」「連絡先がツイッターで流されたことから、嫌がらせの電話がかかってきているということです。この県議のやったことはこうした事態を招いたという点では責任重大です」と述べています。
 
 同じく弁護士の上谷さくら氏は、「住所は個人情報の中でも大事なものです。本人の承諾なく載せることはプライバシーの侵害に当たります。質問者の2人は性的指向を開示しているのでアウティングに当たらないという主張もありますが、そもそも性的指向に関係せずとも、住所を世界中に晒すというのは重大なプライバシー侵害です」と指摘しています。
「どういう立場の人間であるか、身分を明かして議員に質問するというのは大事なことです。しかし、だからといって受け取った側がその情報を自由にしていいということではありません。質問者の個人情報を無断で晒す行為は、一市民である質問者に対して権力者が報復し、脅しているように感じるので、市民が萎縮して、匿名でなければ質問できなくなってしまいます。その観点からも、小林議員の行為は正当化できません」
 
 プライバシー権は憲法13条(幸福追求権)で保障される権利の一つです。小林県議は、公人でありながら憲法違反を冒したと言えますが、その事の重大さを反省し、いやがらせの電話に苦しめられた伊賀市のカップルに対して、住所公開というプライバシー侵害が招いた事態の責任を認め、謝罪すべきでしょう。もし当人がそれを拒むのであれば、政治倫理審査会の設置も含め、県議会は厳正な対応を実施すべきでしょう。今回のような「陳謝」で幕引きとするのは、到底許されないことです。
  
 次回の代表者会議は、19日に開かれます。
 今後もこの問題を注視していきましょう。

 

参考記事:
三重県議が同性カップルの氏名や住所を無断公開 「要請があった時点で削除すべきだった」(三重テレビ放送)
https://news.livedoor.com/%E3%80%8C%E8%A6%81%E8%AB%8B%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%99%82%E7%82%B9%E3%81%A7%E5%89%8A%E9%99%A4%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%8D%E3%80%80%E4%B8%89%E9%87%8D%E7%9C%8C%E8%AD%B0%E3%81%8C%E5%90%8C%E6%80%A7%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%B0%8F%E5%90%8D%E3%81%AA%E3%81%A9%E7%84%A1%E6%96%AD%E5%85%AC%E9%96%8B/article/detail/20030212/
住所無断掲載、説明要請へ 三重県議会代表者会議 小林議員対応で合意(伊勢新聞)
https://this.kiji.is/755231859073253376?c=39546741839462401
性的少数者問題 県議会の政倫審設置は継続協議(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210415/ddl/k24/040/188000c
連絡先を掲載する県議の問題は自民党の公党としての責任こそ重要 イタ電を掛ける人たちの心の貧困(BLOGOS)
https://blogos.com/article/528360/
弁護士語る同性カップル住所無断公開の違法性「名誉棄損や脅迫にも」(女性自身)
https://jisin.jp/domestic/1970173/

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