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LGBT法に「差別禁止の明記を」と訴える記者会見が開かれました

2021年05月06日

 LGBTQ差別を容認し、同性婚等の諸権利運動を阻む可能性のある法案に反対する緊急声明が出されましたというニュースでお伝えしていた問題について5月6日、当事者や支援者ら有志が厚生労働省で記者会見し、差別禁止を明記するよう訴えました。緊急声明に賛同した方はトータルで4438名に上ったそうです(ご賛同いただいた方、ありがとうございます)

 共同通信のニュースは、松岡宗嗣さんが「(法案にある)理解増進は賛同しやすい響きだが、差別禁止が明示されていない。カミングアウトした当事者が解雇や異動といった差別やいじめから守られない」と指摘し、支援するエッセイストの小島慶子さんが「理解増進だけでは当事者は安心できない。性的少数者を差別できないようにするルール作りを第一にするべきだ」と訴えた、と伝えています。

 松岡宗嗣さんがTwitterで、「緊急声明に対し、4438名の賛同をいただきました。本当にありがとうございます」とお礼を述べたうえで、記者会見での他の登壇者のコメントも含めて掲載していますので、ご紹介します。

松岡宗嗣さん
「いま"信号機"がない状態。カミングアウトすると突然不当な差別的扱いという事故にあう。理解増進法では、事故にあっても「理解がなかったから仕方ないね」と言われてしまう。法律で"赤信号"をつくることで、差別を受けたひとを守り、差別を未然に防ぐことができると思います」

トランス女性の時枝穂さん
「いじめや差別で退職に追い込まれるケースも少なくない。理解増進法を進めるアドバイザーの勉強会に参加したが、著しくトランスジェンダーの人権や尊厳を傷つける発言がありました。一人でも多くのトランスジェンダー当事者を救う法律がつくられることを望みます」

こどまっぷの長村さと子さん
「差別を受けても明確なルールがないから、それが人権の侵害であると言えない。全ての人の考え方を変えるのは完全には難しい。しかし嫌いという感情から相手の権利を侵害することは許されない。差別的取り扱いの禁止という明確な決まりを作らなければ差別はなくなりません」

明治大学法学部教授の鈴木賢さん
「理解増進法では『寛容な社会』と、これは落ち度があるがおおめに見るということ。私たちに過失はなく平等な権利を求めているだけ。権利の侵害、差別の被害を受けても当事者が救済する手段がない。この法律は当事者不在の法律。このまま通すことは断固反対です」

トランスジェンダー活動家の畑野とまとさん
「とにかく理解増進法はいりません。フランスで同性婚の法制化に対して当時反対派のデモが7万人くらい。でも同性婚が認められてから何年も経ち、そんな大きなデモはなくなった。理解というのは人権が認められて、後からついてくるものです」

キッズドアの渡辺由美子さん
「子どもたちが苦しんでいる。法律を作るなら『差別をなくす』ということを言っていただいて、子どもたちが安心して学校に通えたり、日々を過ごせるようになってほしい。そうでなく『後退』させるようなものであれば、法律はないほうがよいと思います」

エッセイストの小島慶子さん
「平等と言われているのに苛烈ないじめや差別が残っている。足りていないものは明らか。どうしても理解できない人たちが差別できないようにするルールが唯一欠けている状態。ルールをつくり、なぜ差別してはいけないのかと考える、そこが理解のはじまりです」

アートユニット・キュンチョメのホンマエリさん
「憲法にも『差別されない』と書かれているのに、なぜ今LGBTQの差別を禁止することを躊躇するのか。差別を放置していいはずがない。理解を広げようと言っている間にどんどん傷ついている人は増えていく。だからこそ今すぐ差別を禁止するべきです」

ヒューマンライツウォッチの土井香苗さん
「いま差別される社会に放置されているのがLGBTの人たち。人権の一番の基本が差別禁止であり、国家の義務です。理解増進法では、企業や学校が行動を変える必要がなく、社会が変わる原動力にはならない。今必要なのは苦しんでいる人を救う法律です」

最後に再び松岡さん
「緊急声明に対し多くの賛同をいただき、名前を手作業で声明文に追加しました。中には本名を出せず、通称名の人も。当事者の多くはカミングアウトが難しい現状、きっと賛同を悩んだと思う。リスクを負ってでも差別はあってはならないと、そう思う人たちの願いが伝わってきました。国会議員はこの一人一人の現実が見えているのか。何のために、誰のために法律をつくるのか。『かわいそうなマイノリティのことをわかってあげましょう』ではなく、求めているのは平等。今国会で、性的指向や性自認に関する差別的取り扱いを禁止する、実効性のある法律を求めます」
  
 この声が国会に届き、性的指向や性自認に関する差別的取扱いを禁止する実効性のある法律が制定されることを望みます。


参考記事:
LGBT法「差別の禁止明記を」 当事者ら記者会見で訴え(共同通信)
https://this.kiji.is/762883089844207616?c=39546741839462401

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