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三重県議会が住所無断公開を「人権侵害」と認定し、議員の人権意識高揚を図る決議案を全会一致で採択しました

 小林貴虎議員(自民党県議団)が公開質問状を送ってきた同性カップルの住所を無断で公開した問題を受け、三重県議会は18日、「人権侵害を引き起こした」とし、「人権が尊重される社会の実現のため、議員みずからの人権意識の高揚に努める」などとする決議案を全会一致で可決しました。


 これに先立つ13日の代表者会議で、日沖正信議長は小林県議に対し、厳重注意を行ないました。「今回の行為はプライバシーや人権の侵害になりうる」とし、代表者会議で「再び同様のことがあれば議員辞職を求める」との声が上がったことも伝えました。
 自民党県議団の津田健児団長は、小林議員と共に同性カップル宅を訪れて謝罪したと報告し、「(同性カップルからは)加害者の小林議員にも温かい言葉をいただいた」と語り、「勝ち負けで表現することはおかしいかもしれないが、完敗という正直な思いを抱いた」と述べました。(このコメントに対し、SNS上では「勝ち負けなのか」「これが謝罪した加害者側のコメント?」「心から詫びる人の言葉ではない」といった批判の声が上がっています…)
 議員らは小林議員の対応を「大きな前進」と評価する一方で、津田団長に対して「再び同様のことがあれば次はない」とする自らの発言を順守するよう要求、津田議員は「おっしゃる通り」と返答しました。
 また、再発防止策として策定する議員の人権意識を高める決議案について「今回の問題を薄めず、しっかりした内容にすべき」「二人(同性カップル)をがっかりさせてはならない」との声も上がったそうです。
 

 18日に開かれた県議会本会議では、小林県議によってインターネット上に公開された情報が拡散されたことで「県民のプライバシー侵害や誹謗中傷が発生した」「県民が公選職にある者に自由に意見を述べることを萎縮させた。県民から抗議が多数寄せられ、県議会への信頼が損なわれた」と指摘し、そのうえで、県議会が平成2年に決議した「人権県宣言」に立ち返り、「不当な差別のない、人権が尊重される、明るく住みよい社会を実現するため、議員自身がみずからの人権意識の高揚に努め、相互に人権を尊重し、人権を侵害してはならないという責務を、議員が率先して実行していく」と記された決議案が全会一致で可決されました。
 決議案の提出は住所無断公開問題の再発防止策として、最大会派の新政みえ(21人)が先月28日の代表者会議で提案したもので、全ての会派が賛同し、12人の議員が今月17日付で日沖正信議長に提出していました。

 
 5月12日の毎日新聞朝刊政治面に掲載された「三重県議の同性カップル住所暴露 少数者おびえさす「無配慮」」という記事で、デジタル報道センターの山下智恵記者は、「私は「LGBTQへの理解はかなり広がってきた」と考えていたが、実態はそれほど楽観的ではないのかもしれない」とし、これまでの動きを整理して伝えたうえで、「もちろん、三重の問題をいち地方で起きた「対岸の火事」と捉えるべきではない。主要7ヵ国で、同性婚やそれに準じるパートナー制度がないのは日本だけだ。政界を見渡せば、保守系の議員を中心に差別発言が根強く飛び交っている。小林氏はブログで「意見の異なる者どうしで対話を」と強調していた。どこまで本気かはわからないが、性的少数者の苦悩や背景を汲み取らないなら、一方通行の呼びかけで終わるだろう」と指摘し、「ただ、私たちも自らを省みてみたい。LGBTQを含む多様な人たちが暮らしやすい社会を実現するため、本当に少数者の声に耳を傾け心に寄り添えているだろうか。いくら少数者が「悪意が向けられる社会は嫌だ」と声を上げても、多数者が積極的に動かなければ改善は難しいと思う」と締めくくっていました(当事者に寄り添う姿勢、優しいですね。こういう方が政界の多数になるといいですね…)

 
 小林県議が無断で住所を晒したことで伊賀市のお二人がひどい目に遭ったのは本当に許し難いことですが(損害賠償請求してもおかしくない話ですよね)、それ以降、県議会の議員のみなさんがたくさん話し合いを重ね、小林県議も直に謝罪し(お二人も安心でき)、こうして三重県議会が、小林県議の行為は「人権侵害を引き起こし、県民を委縮させた」として議員の人権意識高揚を目指す決議を全会一致で可決したのは、とても真っ当な対応だったと思いますし、伊勢新聞などのきめ細かな報道のおかげで、この問題が全国に伝わり、改めて人権侵害やアウティングについての意識が高まったのではないかと思います。
 この県議会の決議でも、毎日新聞の記事でも述べられているように、性的マイノリティだからといって脅されたりするいわれはないと、堂々と声を上げてよいのだとあらためて確認されたことも(当たり前のことではありますが)よかったと思います。私たちはゲイだからといって萎縮したりする必要はなく、一市民として意見を言ったりする権利がきちんとが認められている存在なのだと自信を持ってよいのです。
 


参考記事:
同性カップル住所無断掲載問題…三重県議会議長が自民県議に厳重注意(CBC)
https://news.yahoo.co.jp/articles/84a32e8dd25b7cf843eb3c3d7a8e9a31f1cc526c
三重県議会代表者会議 小林県議を厳重注意 同性カップル住所掲載(伊勢新聞)
https://this.kiji.is/765743075457105920?c=39546741839462401
県議会で“議員みずから人権意識の高揚を”決議案可決(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20210518/3070005555.html
同性カップルの住所を公開、県議会が「人権侵害」の決議案可決 三重県(メ~テレ 名古屋テレビ)
https://www.nagoyatv.com/news/?id=006746
「侵害してはならない」 住所公開巡り 人権問題県議会決議(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210519/ddl/k24/040/196000c
人権意識の向上、三重県議会が決議 同性カップル住所公開(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/256208
人権意識高揚へ決議 同性カップル住所無断公開 三重県議会「県民委縮させた」(伊勢新聞)
https://www.isenp.co.jp/2021/05/19/59866/

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