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住所無断公開の三重県議が、同性カップルに直接謝罪しました

 同性カップルの住所と氏名をブログで晒した三重県の小林議員の行動が問題視され、小林議員は県議会で謝罪し、委員会などを辞任したものの、三重大大学教授らが辞職勧告を含めた厳しい措置をとるよう県議会に抗議していました。この件について5月9日、小林県議が被害者のお二人の家を訪ね、直接謝罪したことがわかりました。


 小林県議は4月21日の代表者会議での謝罪の際、被害者であるカップル(加納さんと嶋田さん)にも「直接会って謝罪したい」と述べていましたが、5月8日の毎日新聞の記事「公人がLGBTQをいじめる社会 男性カップル、暴露された住所」によると、加納さんは「謝罪があっても受けるのか戸惑っています。Twitterでの反応※を見ると小林氏の考えは変わっていないので。でも受け入れなければ、私たちが悪いように攻撃されるような気がします」と、嶋田さんも「直接会うのはまだ怖いです。また録音されてさらされるかもしれない」と語っており、不安や戸惑いを隠せない様子でした。

※小林議員は謝罪後も同性カップルを誹謗中傷するSNSの投稿に賛同を表す「いいね」を押していたことを県議会で追及され、自民党県議団の津田団長が「いかなる理由があっても反省が足りなかったと言わざるをえない」と述べていました。

 5月9日、加納さん&嶋田さんがTwitterで、小林県議と津田県議がお二人のご自宅を訪ね(携帯に何度も連絡があったそうですが、知らない電話番号は着信拒否の設定にしていたのでわからなかったそうです)、謝罪した旨を報告しました。
「お互いたくさん話をすることができ、また今後それぞれの立場で性的マイノリティやその他のマイノリティが暮らしやすくなる社会づくりに向けて前を向いて取り組んでいきましょうと提案させていただきました」
「もし事前にご連絡いただいていたらきっとお会いしていなかったと思います。きっと書面で連絡して下さいと言っていたかと思います。でも、結果的にお会いできて良かった、たくさんお話しできて良かったと思います」
「帰られた後、冷静になるまで少し時間がかかりました。まだ本当にこれでよかったのか確信は持てません。また僕らの対応にはいろんなご意見があるかと思います。それでも、僕らはこれで良かったと思います」

 お二人は続けて、全国の応援してくれた皆さんに向けて、「助けを求める勇気を!」というメッセージを投稿しました。
「不安でいっぱいで絶望で、二人で慰めあっていたけど、周りの人たちには強がりを言っていたけど、限界を超えたとき、弱音を吐いた。助けを求めた。「あとは自分たちでなんとかします」と言ってくれた言葉が忘れられない。弱音を吐いたとき、周りの人たちが寄り添ってくれた。なんとかしようと考えてくれた。優しさがあふれる言葉をいっぱいくれた」
「助けを求める勇気があれば、寄り添う準備ができているALLYの方たちが大勢います。以前、地域のALLYの方たちが「自分たちは受け止める準備ができている」と力強くおっしゃった、その言葉は本当だったと理解できた」
「時代は着実に進んでいます。多くの先輩たちが頑張ってくださったおかげで、僕たちは地域で自分らしく幸せに暮らすことができています。そして、僕たちも全ての人たちが自分らしく幸せに暮らしていける社会づくりに向けて進んでいこうと決意を新たにしました」

 
 県議会でも「そもそも反省していないのでは」「どこが問題なのかを理解しているのか」などと厳しく追及され、三重大教授なども「今後もこのような言動を繰り返す可能性が高い」と辞職勧告を求めているように、また、上記の毎日新聞の記事でも「小林氏の行動には明らかな敵意があったと感じる。もし本心から少数者との対話を望んでいるのなら、上辺だけの謝罪ではなく、その背景を自ら丁寧に振り返る必要があると思う」と指摘されているように、小林県議が今回の件について何が問題だったのかを本当に理解しているのか、反省しているのかという疑問は払拭されていない、これで一件落着としてはいけない、と感じる方もいらっしゃることでしょう。(県議会では、日沖議長が「議員らの人権に対する考え方を定めた決議案をまとめる」意向ですので、今後もまだ動きがあると思います)

 いちばん大切なのは、被害者のお二人が1日も早く、安心して暮らせるようになる日が戻ってくることだと思っておりましたので、今回、このように和解といいますか、話し合いができて、お二人が「よかった」と思えた、前向きな気持ちを取り戻せたことは、本当によかったと思います。
 お二人の「助けを求める勇気を!」は、世の中捨てたもんじゃないなと思える、胸が熱くなるようなメッセージでした。お二人がおっしゃるとおり、僕らが思っている以上に、世の中にはALLY(味方になって動いてくれる人)がたくさんいます。あとは「助けを求める勇気」を持つことなんですよね。 
 
 上記の毎日新聞の記事で、LGBTQなどの問題に詳しい皆川洋美弁護士(札幌弁護士会)が「少数者には声を上げられない人が多いのです。悪意に対して声を上げることは、少数者の仕事ではありません。そもそも、誰だって少数者になり得る。多数者の側から『少数者に悪意が向く社会は嫌だ』と言うことが重要です」と語っています。
 何か嫌な目にあったり差別を受けたりしたとき、今までは「きっと言ってもどうにもならない」と思って泣き寝入りしてしまっていた方も少なくなかったことでしょうが、もう堂々と言ってよい時代になったのだと思います。必ず味方が現れますし、正義とか公正がちゃんと通用します。「ゲイであること、平等を求めることは少しも悪いことではない、問題を解決しなければいけないのは世間のほうだ」という確信を持ってよいのです(それがプライドということじゃないでしょうか)。もしこの先、アウティングなど、何か嫌な目にあったときは、躊躇せずに助けを求め、声を上げていきましょう。
 
 
参考記事:
公人がLGBTQをいじめる社会 男性カップル、暴露された住所(毎日)
https://mainichi.jp/articles/20210507/k00/00m/040/207000c

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