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パラリンピック開会式にはるな愛さん、想真さんらが出演しました

2021年08月25日

 8月24日に開催されたパラリンピック開会式で、冒頭にトランスジェンダーの人気タレント・はるな愛さんが登場したことが話題になりました(この冒頭に出演していたダンサーの方たちは公募で選ばれた方たちで、はるな愛さんも自らオーディションを受けたんだそうです)

 「WE HAVE WINGS(我々には翼がある)」というコンセプトのもとで開催された開会式。「片翼の小さな飛行機」という車椅子の少女を主人公とした演劇的なショーが展開され、好評を博しました。後半、布袋さんのロックコンサートの場面で「セクシュアルマイノリティのパフォーマーも出演しています」とアナウンスされましたが、「誰のことだろう?」と気になった方も多いのではないでしょうか。おそらくそれは、光陽師想真さんのことだと思われます。
  
 想真さんは映画『私はワタシ ~over the rainbow~』や「MAZEKOZE アイランドツアー」などにも出演していましたが、発達障害で、ジェンダーが無い「無性」を自認しているダンサーの方です。
 阿部知代さんが2018年、FNNプライムオンラインの「Facebookの性別欄は58種類! 男性でも女性でもない性のこと」という記事で、想真さんのことをフィーチャーしています。
 想真さんは幼い頃、言葉をほとんど話さず、発達障害と診断されていたそうです。
「覚えているのは、幼稚園の時に男女別に整列するよう言われて、なぜ分けるんだろう、って疑問だった。並ばされたけど、こっちじゃない!と思った。でももう片方の列も違うと思った。分けられることがすごく気持ち悪くて、でも男女しかないと思い込まされていたから、その気持ち悪さを伝えることもできなかった」
「男子トイレにも女子トイレにも入れなくて、よく自分の席でおもらししました。今は多目的トイレが増えたので安心です」
 学校は保健室登校。でも外へ出れば「男?女?どっち?」と聞かれ、次第に引きこもるように。男女どちらかにならなければ生きていけない、それは無理だ、と何度も自死を試みたといいます。
「でも、この地球上で誰も性別を気にしないなら死にたくないな、と」 
 ある日、TVで性同一性障害のことを知り、自分もそうではないかと思い、医師の診断を受けたところ、「君は性同一性障害の『無性』だね」と言われ、「おお、これだ!」と腑に落ちたそうです。「『無性』は今まで聞いた言葉の中でいちばんしっくりきました」
 恋愛に関しても、尊敬や憧れの念を抱くことはあるものの、誰かに恋愛感情を抱いたことはないそうです。
 想真さんはダンサーとして活躍中で、海外公演も行なうなどしています。しかしパスポートを出す時は、今の日本の表記では性別に縛られるため、悔しい思いをしているそうです(世界には、パスポートにサードジェンダーを表記できる国が10ヵ国以上あります。詳しくはこちら
 初対面の人に無性だと説明しても「で、本当はどっちなの?」と聞かれてしまうこともあるそう。
「みんな男女の二択しか無いと思っていて、そこに当てはめようとする。『本当はどっちなの?』と。でもその『本当』って何だろう? きっと戸籍や身体のことを聞きたいんだろうけど、僕にとっての『本当』は『無性』です」

 想真さんは開会式終了後、Twitterで「パラリンピック開会式で踊ることができました」「いつも支えてくれてるみんなにほんまに感謝」「地球を想い舞うことができて感謝」「みんなで翼を広げました」「ほんとうにありがとうございました」と喜びを語っています。




【追記】
 IRIZA Lotionさんも開会式に出演していたことがわかりました(気づかず、失礼しました)。IRIZA Lotionさんは車椅子ユーザーのドラァグクイーンで、『バリバラ』などにも出演している方です。「2019年にこんなのあるよ!って数名から連絡が来まして、"わたしがやらねば、だれがやる"と思い応募」したんだそう。開会式本番では、王冠を模した、肌と一体化したようにも見えるたいへんオシャレなヘッドセットというゴージャスないでたちで、想真さんと同じ場面に出演していました。楽屋で他の出演者の方たちと一緒の写真を投稿したInstagramでは、「私にとっての翼は ゲイで、ドラァグクィーンで、車椅子、3つの翼で奇想天外な方向に飛んでいきます。行方は私にも分からない。これからもお楽しみに…」とコメントしていました。

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