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リル・ナズ・XがMTVアワードでVIDEO OF THE YEARに輝きました

2021年09月13日

 MTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)の授賞式が9月12日(現地時間)、NYのバークレイズ・センターで開催され、リル・ナズ・Xが見事に最優秀ビデオ賞(VIDEO OF THE YEAR)に輝き、最優秀監督賞、最優秀視覚効果賞と合わせて最多3冠を達成しました。


 VMAは、この1年で最も優れたミュージックビデオやアーティストを選ぶアワードで、他の権威あるアワードがアカデミー会員などによって選ばれるのに対し、視聴者投票で決まるところがポイントです。リル・ナズ・XはVIDEO OF THE YEARを受賞したことで、いま最も熱く支持されているアーティストであることを証明しました。2021年はリル・ナズ・Xの年だったと言っても過言ではありません。2019年のNYのストーンウォール50周年を記念するワールドプライドのパレードの日にカミングアウトしたリル・ナズ・Xは、ビルボード1位の最長記録保持者であり、People of colorのゲイのヒーローであり、人種や音楽ジャンルやセクシュアリティの垣根を取り払ったZ世代のアーティストして絶大な人気を博し、時代の寵児として世界に君臨した感があります。
 数あるアーティストのなかから見事にVIDEO OF THE YEAR受賞アーティストに選ばれたリルナズは、受賞スピーチで「OK、まず僕が感謝を言いたいのは、ゲイ・アジェンダ※だよ。さあ行こう、ゲイ・アジェンダ!」と語りました。そして、地獄に落下してポールダンスをした後、サタンにラップダンスをして挑発するという「MONTERO (Call Me By Your Name)」の刺激的なMVをクリエイトしたチームの全員に感謝を述べ、「みんな本当に愛してる。これが当たり前だなんて決して思わないよ」と語りました。

Gay Agenda(ゲイの議題)は、キリスト教右派が同性愛者の社会進出を貶めるために言った言葉です。1992年、福音派が「The Gay Agenda -The March On Washington-」というビデオを発行し、”ホモセクシュアル・ライフスタイル”が異性愛者を誘い込み、LGBTQの文化が受容され、法制度などの権利まで主張しはじめている、といった攻撃的な文脈で用いられています。この「Gay Agenda」というフレーズは、アンチLGBTQの動きが強まっているハンガリーやウガンダでも使われるようになってきています。ロシアの「ゲイ・プロパガンダ」(未成年者に同性愛を”喧伝”する)という言葉に近いものがあると言えるでしょう。


 そんなリルナズは、レッドカーペットでは、半分スカートのような長い裾がついたラベンダーピンク(パープル?)のドレッシーな衣装で登場しました。右から見ると男性、左から見ると女性に見えるような衣装で、本当に素敵です(ビリー・ポーターのお株を奪った感も…)

 ビリー・ポーターの「世界はまだ、この黒人の男の子の喜びの表現を見る準備ができていませんでした。今日は新しい日です。私はこのショーを観られるだけ長生きしたことに心から感謝しています」というエモーショナルな紹介でステージパフォーマンスを始めたリルナズは、「Industry Baby」と「Montero」のメドレーで、マーチングバンドやピンクの囚人服を着たダンサーたちを従え、「Industry Baby」のMVの監獄を再現したセットで、素晴らしくセクシーなショーを見せてくれました。文句なしにカッコいい、鳥肌モノのステージでした(ステージパフォーマンスの動画はこちら

 受賞、本当におめでとうございます!
 これからも大活躍を期待します。

 
参考記事:
ラッパーのリル・ナズ・Xが最優秀ビデオ賞!MTVビデオ・ミュージック・アワード(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/awards-vma-idJPKBN2G90AU

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