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国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」が、サルを使った実験で、体内からHIVを完全に除去することに成功したそうです

2021年11月11日

 日本BCG研究所と共同でHIVワクチンの研究・開発に携わっている国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」の研究班は11月8日、サルを使った実験で、治療に用いればHIVを体内から完全に排除できるワクチン技術を開発したと発表しました。「医薬基盤・健康・栄養研究所」霊長類医科学研究センターの保富康宏センター長は、「完治につながる大きな一歩」だと語りました。
 

 研究班は免疫反応を強める物質を出す細菌に着目し、この細菌の遺伝子を弱毒化したHIVの遺伝子に組み込み、生ワクチンを作りました。これをカニクイザルに接種したところ、一度はHIVに感染しましたが、その後ウイルスが検出されなくなりました。ワクチン接種後は、感染すると100%死亡する強毒性のHIVに感染しても、7頭のうち6頭でHIVが検出されなくなり、さらに、生き残った6頭から採った血液とリンパ節細胞を健康なサルに注射したところ、4頭ではウイルスが検出されなかったといいます。接種により、HIVに感染した細胞を破壊する「細胞性免疫」が誘導されたためだそう。ヒトへの治療にも応用が期待できます。
 研究班は今後、投薬治療中のHIV陽性者から採ったHIVから個別にワクチンを作り、治療につなげたいとしています。保富センター長は「5年以内にヒトでの臨床試験を開始したい」と話しました。


 今年8月、mRNAベースのHIVワクチンの臨床試験が開始され、ようやくHIVワクチン実現という夢が現実味を帯びてきたとお伝えしていましたが、今度は、体内からHIVを完全に除去する(完治させる)技術が開発、という朗報が届きました。陽性者の方たちにとっての長年の夢が叶う時が来そうです。
 エイズ流行開始から40年。HAART(カクテル療法)によってエイズが「死に至る病」ではなくなってから25年。ようやくエイズが「治る病気」になりそうだという希望が見えてきました。本当に感慨深いです。
 



参考記事:
ワクチンでHIV排除 免疫誘導、サルで成功 栄養研(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021110800974
エイズウイルスを完全に排除、サルでの実験で 「完治につながる」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASPC86567PC8ULBJ01W.html


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