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MTVヨーロッパ・ミュージック・アワードがハンガリーで開催、LGBTQコミュニティへの支援として

 現地時間11月14日(日)にハンガリーのブダペストで開催されたMTVヨーロッパミュージック・アワード(EMA)は、ハンガリーのLGBTQコミュニティを支援するものでした。

 
 EMAは、アメリカのVMA(Video Music Awards)と並ぶMTVのビッグイベントで、ヨーロッパ最大級の音楽授賞式です。今回のEMAの司会を務めたのはラッパーで最優秀新人賞も受賞したSAWEETIE(スウィーティ)。ハンガリーで今年6月、学校で性の多様性を教えることなどを禁じる(ロシアと同様の)反LGBTQ法案が可決され、国際社会から非難の声が上がっていることを受けて、スウィーティも授賞式で「お互いに敬意を持つことはとても大切なこと。だからLGBTQコミュニティのために立ち上がることがとても重要だ」と団結を呼びかけました。

 そもそもMTVが授賞式をハンガリーで開催することを決めたのも、ハンガリーのLGBTQコミュニティへの支援の姿勢を表明するためでした。MTVエンターテイメントグループのクリス・マッカーシーCEOは今年10月、声明で「このイベントを私たちの声をより広め、LGBTQの同胞たちと団結するために生かしたい」と述べました。そのための演出の一つとしてトランスジェンダーのキム・ペトラスをパフォーマーの一人に抜擢したそうです(トランスジェンダーのシンガーがステージで歌うのはEMA史上初めてだそう)
 キム・ペトラスは今月初め、「このような法律が成立した後にハンガリーに行き、ステージで歌うことは大きな力を持つ」と語っていました。授賞式のレッドカーペットでは「愛に対する弾圧は、どのようなものであっても最低。どんな人でも自分のような人がメディアで描かれていないと思うようなことがあってはいけないし、ありのままの自分でいることが許されていないと感じるべきでもない」と語りました。EMAの歴史に残る初のトランス・アーティストとしてのパフォーマンスは、ステージ上に設置された巨大なココナッツの中でキムがグリーンのラテックスドレスで未発表の新曲「Coconuts」を歌うもので、プラス「Hit It From The Back」も披露していました(ダンサーやパフォーマーのなかにはゲイと思われる方もいました)
 

 また、パンセクシャルであることをカミングアウトしているヤングブラッドがパフォーマンス中に男性ギタリストと熱いキスを交わす場面があり、会場から大歓声が沸き起こったそうです。最優秀オルタナティブ賞を受賞したヤングブラッドは受賞スピーチで、「この賞は個人主義を称えるものだと言いたい」と語りました。「もしカメラの向こうにいる君が、自分らしくなれないと感じていたとしても、君は君らしくなれるよ」「闘い続けるんだ。輝き続けてくれ。君の想像力や個性は、君が持っている最高のものなんだよ。周囲の人たちは君を貶めようとするだろうけど、俺を信じてくれ。俺も貶められそうになるけど、誇りを持つんだ。君の色に誇りを持って、君らしさを誇ってほしい。これは個人主義へのトリビュートだよ。投票してくれたみんな、ありがとう。愛してるよ」
 
 それから、今回は「音楽やストーリーテリング、デジタルメディアを通じて世界の最も困難な問題に取り組んでいる恐れを知らない独創的な若者たち」を表彰する「MTV EMA Generation Change Award」がメインショーとしてフィーチャーされました。LGBTQの権利擁護団体「All Out」との提携で、イラクやナイジェリア、ハンガリー、ブラジル、米国の5人の若いLGBTQ活動家が受賞者として選ばれました。
 イラクのAmir Ashourは、イラク初のLGBTQの全国組織「IraQueer」の創設者です。
 ナイジェリアのMatthew Blaiseは、オープンリー・ゲイでナイジェリアのクィアピープルの肯定的なリプレゼンテーションや人間性を高めるための団体「The Oasis Project」を創設しました。
 米国のSage Dolan-Sandrinoは、クリエイティブスタジオ&デジタルマガジン『TEAM』の創設者で、若い有色人種のクィアのストーリーテリングの機会を提供しました。
 ブラジルのErika Hiltonは2020年、サンパウロで初めて黒人トランス女性として市議会議員に当選した人物で、LGBTQやセックスワーカーの平等や命を守るための闘いを続けてきました。
 そしてハンガリーのViktória Radványiはブダペスト・プライドの実行委員で、アンチLGBTQの政権下でクィアピープルを支援する活動をしてきました。
 この5人を表彰する「MTV EMA Generation Change Award」の授賞式では、あのドリュー・バリモア(『E.T.』『チャーリーズ・エンジェル』)がプレゼンターをつとめ、ビデオメッセージで「彼らはLGBTQ+コミュニティのために信じられないようなことをしています」と称えました。「このような若い声を高めるお手伝いができることを誇りに思います。彼らは皆、自分が愛したい人を愛すること、ありのままの自分を愛することを心から求めているのです」と語りました。
 
 このように、ヨーロッパ最大級の音楽授賞式が、トランスジェンダーのアーティストがパフォーマンスし、若いLGBTQの活動家の表彰がメインショーとして行なわれ、多くの出演者がLGBTQコミュニティを支援するメッセージを発し、そもそもCEO自らLGBTQ支援のためにハンガリーで開催したと公言するという、まるごとLGBTQのために開催された感のあるアワードとなったことは、前代未聞であり、LGBTQの歴史に残る画期的でパワフルな事件となりました。
 
 なお、今回のEMAの最優秀ビデオ賞(ビデオ・オブ・ザ・イヤー)は、米国のVMAと同じく、リル・ナズ・Xの「Montero (Call Me By Your Name)」が受賞しました。

 パフォーマンスを披露したアーティストのなかには、キム・ペトラスのほかにもクィアのアーティストがいました。ノルウェー出身のインディ・ポップ・ミュージシャンでMTV PUSHアーティストでもあるgirl in redは、世界的にヒットしたデビュー・アルバム『If I Could Make It Go Quiet』からヒット曲「Serotonin」をパフォーマンスしています。



参考記事:
反LGBT法があるハンガリーでヤングブラッドが男性同士のキスを披露「君らしさを誇ってほしい」(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17496127
BTSが4冠を達成! MTVヨーロッパ・ミュージック・アワードが開催 LGBTQsコミュニティとの連帯を訴える(ELLE DIGITAL)
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a38257475/bts4-mtv-lgbtqs-in-hungary-211116/
ヨーロッパ最大級の音楽授賞式「2021 MTV EMA」、BTSが4冠達成。Ed Sheeran(エド・シーラン)、SAWEETIE(スウィーティー)らが圧巻のステージを披露。ベスト・ジャパン・アクト賞は櫻坂46が受賞(タワーレコード)
https://tower.jp/article/news/2021/11/16/tg012
MTV EMAs Announce 5 LGBTQ+ Activists as Generation Change Honorees(teenVOGUE)
https://www.teenvogue.com/story/mtv-emas-announce-lgbtq-activists-generation-change-honorees

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