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米FDAがPrEPの注射薬を初めて承認、HIV感染を劇的に減少させるブレイクスルーに

 今年の10月、月に1回注射するだけでよいタイプのPrEP薬が承認されそうですというニュースで、承認は早くても来年1月になるとお伝えしていましたが、予想以上に審査が早く進み、12月20日に米食品医薬品局(FDA)の承認が下りました。
 FDAは、PrEPの注射薬として初めて「Apretude(カボテグラビル)」を承認したことを発表しました。これまでの薬よりもHIV感染予防効果がはるかに高く、HIV予防における最初の長期作用型の薬として歴史を塗り替えるものとなりそうです。2022年初旬に米国で出荷が開始されます。
 
 
 Apretudeの使用が認められるのは、性行為を通じてHIVに感染するリスクがある10代〜大人で体重35キロ以上の人。まず1ヵ月間隔で2回の接種を行ない、以後は2ヵ月ごとに接種します。忍容性(副作用が、投与された人が耐えられる程度のものかどうか)を確認するため、リードインとしてVocabria(カボテグラビル経口剤)を経口投与することもできるそうです。

 これまではPrEPの薬として使えたのは「ツルバダ」「デシコビ」の2種類の錠剤(およびそのジェネリック薬)で、基本的に毎日服用するかたちでした。なかには、様々な要因から毎日きっちり薬を飲むことができない方もいて、アドヒアランス(毎日きっちり服用すること、服薬遵守)が課題になっていました。
 FDAの専門家は「毎日錠剤をのまなくてもHIVを予防できる初の選択肢を提供することで、HIV感染拡大を終わらせる取組みに重要な選択肢が加わる」とコメントしています。
 
 米政府の統計によると、2019年に新たにHIV陽性と診断された方は推定3万4800人でした。米疾病対策センター(CDC)の統計によれば、2020年には約120万人がPrEPを勧められましたが、実際に薬を処方された人はその25%以下にとどまっていました。予防投与の恩恵を受ける可能性がある方が、既存の経口薬では約4分の1しかPrEPの実施に至らないことになり、新たな選択肢が求められていました。
 
 Apretudeとツルバダを比較した臨床試験の結果、HIV感染予防効果は注射の方がはるかに高いことが判明しました。
 一方で、Apretudeの方ほうがツルバダに比べて注射部位反応や頭痛、疲労感、背中の痛み、筋肉痛、発疹といった副反応を引き起こす可能性が大きいこともわかりました。
 Apretudeは医薬品に耐性をもつHIV変異株のリスクがあることから、開始直前と毎回の接種前のHIV検査で陰性だった人にのみ接種が認められます。添付文書には、過敏性反応、肝臓障害、うつなどに関する警告も記載されています。


 なお、Apretude(カボテグラビル)が日本でも使えるようになるのかどうか、費用感はどんな感じなのか、といったことはまだ明らかではありません(が、いずれは「ツルバダ」や「デシコビ」のようにジェネリック薬が開発され、私たちでも利用できるようになるのではないかと期待されます)。続報に期待しましょう。
 
【追記】
 Gigazineの記事に、お値段が書かれていました。
 定価は1回あたり3700ドル(約42万円)だそう。最初に1ヵ月間隔で2回の接種、以後は2ヵ月に1回の接種として計算すると、11ヵ月分(6回接種)が2万2200ドル(約250万円)、13ヵ月分(7回接種)が2万5900ドル(約294万円)となります…。早くジェネリックが開発されるといいですね。

 
 
参考記事:
HIV性感染リスク引き下げの注射薬、米FDAが初の承認(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35181172.html
HIV感染予防における世界初の長期作用型注射剤Apretude(カボテグラビル) の米国での承認取得に関するViiV社の発表について(塩野義製薬)
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/12/20211221.html
世界初の「HIV感染を予防する注射」をFDAが承認(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20211222-fda-approves-first-injectable-hiv-prevention/

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