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今年のアカデミー賞にノミネートされたLGBTQ関連映画は?

2022年02月09日

 第94回アカデミー賞ノミネートが発表され、『ドライブ・マイ・カー』が日本映画として初めて作品賞にノミネートされたことが話題になっていますが、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が最多ノミネートとなったのをはじめ、LGBTQ的にもトピックがいろいろありました。


 『イミテーション・ゲーム』のベネディクト・カンバーバッチが再びゲイの役を演じた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞など12部門にノミネートされ、今年の最多ノミネートとなりました。同作は先日のゴールデングローブ賞でも映画部門の作品賞、監督賞、助演男優賞を受賞していて、アカデミー賞でも作品賞や監督賞、主演男優賞などで本命視されています(オスカーは固いのではないでしょうか)
 
 それから、トランス男性のキャラクターが登場している『ウエスト・サイド・ストーリー』は、7部門でノミネートされていて、アニタ役を演じたアリアナ・デボーズ(『ザ・プロム』でエマの恋人の役。自身もクィア)が助演女優賞候補となっています(彼女はゴールデングローブ助演女優賞にも輝いています)。オリジナルのミュージカル『ウエスト・サイド物語』はレナード・バーンスタインをはじめ当代のゲイの才能が結集した名作で、1961年の映画はアカデミー作品賞・監督賞・助演男優賞・助演女優賞など10部門で受賞していますが、スピルバーグ版の『ウエスト・サイド・ストーリー』がどれくらいオスカーを獲得するのかというところでも注目されます。
 
 ジョナサン・ラーソンの自伝的作品であり、『RENT』の誕生秘話とも言うべきゲイの親友との交友も描かれている『tick, tick… BOOM!:チック、チック…ブーン!』は、主演男優賞、編集賞の2部門にノミネートされました。
 
 それから、ゲイのアフガニスタン難民の苦境を描いたドキュメンタリー映画『フリー』が国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門にノミネートされました。受賞を期待します。
 
 クィア俳優のノミネートとしては、上記のアリアナ・デボーズのほか、『スペンサー ダイアナの決意』でダイアナ妃を演じクリステン・スチュワートが主演女優賞候補にノミネートされました。「クリステン・スチュワートはSAGアワードではノミネートされなかった(軽く見られた)ので、このノミネートには意味がある」と『Out』誌は評しています。
 『Out』誌によると、不運にも、今年のオスカー・レースでは、明らかなクィア俳優の排除が見られました。例えば『ハウス・オブ・グッチ』のレディ・ガガ。そして『tick, tick...BOOM!チック、チック…ブーン!』でゲイの親友の役を演じたロビン・デ・ジーザス。そして『PASSING 白い黒人』のテッサ・トンプソンです。
 
 他のトピックとしては、ナイル・ディマルコ(「America's Next Top Model」の優勝者であり、セクシュアリー・フルイドであることをカムアウトしているろう者のモデル/俳優)がプロデュースした作品『オーディブル』が短編ドキュメンタリー賞にノミネートされたということが挙げられます。ろう者のアメフト選手の物語です。
 
 アカデミー賞授賞式は3月27日に開催される予定です。
 
 
参考記事:
Kristen Stewart, Ariana DeBose, Flee Among LGBTQ+ 2022 Oscar Nominations(Out)
https://www.out.com/film/2022/2/08/2022-academy-awards-oscars-full-nominations-list-lgbtq-kristen-stewart-ariana-debose-flee

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