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「今夜はゲイナイトです」アカデミー賞授賞式のゲイ的名場面

2022年03月28日

 今年のアカデミー賞授賞式は、何と言っても『ドライブ・マイ・カー』の快挙、『コーダ あいのうた』の3冠(ろう者の俳優トロイ・コッツァーが初めて助演男優賞を受賞)、そしてウィル・スミスのビンタ事件が話題になりましたが、g-lad xxではLGBTQに関するトピックをまとめてお伝えしたいと思います。
 
 
 最初に、今回共同で司会を務めた3人の女性、エイミー・シューマー、ワンダ・サイクス、レジーナ・ホールが登場し、恒例のオープニング・モノローグを行ないました(アカデミー賞は最初に司会者が一人で語るのが恒例になっています)。オープンリー・レズビアンであるワンダ・サイクスは、「私たちは素晴らしい夜を迎えようとしています」と語りはじめました。「フロリダの人々のために、私たちはゲイナイトを開こうと思います」とました(フロリダ州の「ゲイと言ってはいけない」法案への皮肉として)。そしてエイミー・シューマーやレジーナ・ホールも、何度も「ゲイ」という言葉を口にしました。会場のセレブの方たちにも好評で、デンゼル・ワシントンやニコール・キッドマンも拍手していたそうです。
  
 それから、『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズが助演女優賞を受賞し、クィア(性的マイノリティ)であることをカムアウトしている有色人種女性として初のオスカー受賞という快挙を成し遂げました。
 アリアナ・デボーズは受賞スピーチで、「白いフォード・フォーカスのバックシートに座る小さな女の子を想像してください。彼女の目をのぞいてください。オープンリー・クィアでアフロラティーナの女性が見えるはずです。彼女はアートで自分の強さを見つけたんです。それこそが、私たちが今日祝うべきことだと信じます」と語り、会場から大きな歓声と拍手が贈られました。アリアナは続けて「だから、自分のアイデンティティに疑問を持ったことのあるすべての人たち、グレーゾーンで生きていると感じているすべての人たち、私が約束します。私たちの居場所は確実にあるのです」と語り、あらゆる社会的マイノリティの人々を勇気づけました。

 映画『タミー・フェイの瞳』に主演して初めてオスカーに輝いたジェシカ・チャステインは、その受賞スピーチで、LGBTQへの暴力や、アンチLGBTQの法制化など現在の危機について語り、感動を与えました。
 プレゼンターのアンソニー・ホプキンスが主演女優賞の受賞者を発表するや、スタンディング・オベーションで迎えられたジェシカ・チャステイン。アカデミーへの感謝を述べ、彼女の人生におけるサポーターやキャスト、スタッフに感謝を捧げました。同じく主演女優賞候補になっていたクリステン、ニコール、ペネロペ、オリヴィアにさえも「みんな愛してる」と述べました。初めてのオスカーの受賞として申し分のない、完璧なスピーチでしたが、これで終わるのではなく、彼女はこのように語りました。
「私たちは今、たくさんのトラウマや孤立に満ちた、困難な時代に直面しています。米国民の主要な死因は自殺になっています。多くの家族が、私の家族も無縁ではありません。特にLGBTQコミュニティのメンバーはしばしば仲間との場所から締め出されます。差別的で暴力的な法制化が、私たちを分断するためだけにこの国を席巻しています。世界中の罪のない人々が暴力とヘイトクライムに直面しています。このような時代は、私が演じた伝道師のタミー・フェイのことを思い起こさせます(タミー・フェイは、「おかまは地獄に落ちる」などと言っていた他の多くの伝道師と異なり、LGBTQの権利擁護者で、初期のエイズ危機の犠牲者に光を当てたゲイ・アイコンでした)。そのラディカルな愛の行ないに胸を打たれました。私たちは今夜、愛についてたくさん語られました。私はタミー・フェイの思いやりに触発され、その思いやりは私たちを前に導く原則だと感じました。どんな人であれ、誰を愛していようと、暴力や恐怖に苛まれることなく人生を生きたいという共通の願いのもとで私たちみんなを結びつける原則です。希望を失い、孤独を感じる人…誰もが、あなたはあなたであるというかけがえのなさゆえに無条件に愛されているのだということを知ってほしいと思います」
 ジェシカ・チャステインは以前から熱心なアライでした。この『タミー・フェイの瞳』も、彼女がタミー・フェイの生き様に触発され、ドキュメンタリーの映画化権を自ら購入して実現したものです。
  
 アカデミー賞授賞式の大トリである作品賞の発表では、あのライザ・ミネリとレディ・ガガがプレゼンターを務めました。レディ・ガガはライザ・ミネリに「会場の歓声が聞こえる? みんなあなたのファンよ!」と声をかけ、アカデミー賞主演女優賞を受賞した『キャバレー』が公開50周年を迎えるライザ・ミネリは、レディ・ガガに「この場に来られて本当にうれしい。しかもあなたと一緒だなんて! 大ファンなのよ」と語りました。ゲイ・アイコンなレジェンドの素敵すぎる共演シーンとなりました。
 
 『Out』誌には17人のLGBTQセレブリティのレッドカーペットPhotoが掲載されていました。上記のワンダ・サイクス、アリアナ・デボーズのほか、クリステン・スチュワートとフィアンセのディラン・マイヤー、『クィア・アイ』のカルチャー担当カラモ・ブラウン、エリオット・ペイジ、ラヴァーン・コックス、ナイル・ディマルコ、ティム・クックらの写真を見ることができます。

 
 
参考記事:
At Oscars, Florida's 'Don't Say Gay' bill target of joke(abc)
https://abcnews.go.com/Entertainment/wireStory/oscars-floridas-dont-gay-bill-target-joke-83709974
アリアナ・デボーズ、クィア公表の有色人種女性初オスカー「私たちの居場所は確実にある」涙のスピーチに拍手喝采(modelpress)
https://mdpr.jp/international/detail/3078035
Jessica Chastain Called Out “Bigoted” Anti-LGBTQ+ Legislation at the Oscars(them.)
https://www.them.us/story/jessica-chastain-called-out-anti-lgbtq-legislation-in-her-oscars-speech
Lady Gaga and Liza Minnelli’s touching double act steals the show at the Oscars 2022. Well, almost(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2022/03/28/oscars-lady-gaga-liza-minnelli/
17 LGBTQ+ Celebrities Who Walked the 2022 Oscars Red Carpet(Out)
https://www.out.com/celebs/2022/3/27/all-lgbtq-lesbian-gay-bisexual-trans-celebrities-2022-oscars-academy-awards-red-carpet

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