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サンマリノが世界で初めてオープンリーゲイの国家元首を選出しました

2022年04月07日

 4世紀初頭に建国された世界最古の共和国であり、イタリアの山々に囲まれた人口3万4000人の小国・サンマリノで、世界初のオープンリーゲイの国家元首が誕生しました。


 国会に当たる大評議会の副議長で米国大使も務めていたパオロ・ロンデリ氏(58歳)は4月1日、キャプテンリージェント※の一人に選ばれました。半年間、国家元首を務めます。

※キャプテンリージェントは、サンマリノ共和国の2人の国家元首です。国の立法機関である大評議会によって半年ごとに選出されます。通常、キャプテンリージェントは相対する政党から選ばれ、6ヵ月の任期を務めます。キャプテンリージェントの選挙は毎年4月1日と10月1日に行われます。この政府の二重首長(二頭政治)の伝統は、古代ローマの執政官に由来しています。
 
 「私はたぶん、世界初のLGBTQの国家元首になるだろう」とパオロ・ロンデリはFacebookに投稿しました。
 イタリアの上院議員でLGBTQ活動家のモニカ・シリナは、「歴史的な日です。私は喜びと誇りでいっぱいです。パオロ・ロンデリがLGBTQコミュニティに所属しながら、最初の国家元首になります。サンマリノ初というだけでなく、世界初です」と投稿しました。
 サンマリノの隣のイタリア・リミニ市のLGBTQ団体「Arcigay Rimini」は、「彼のLGBTQコミュニティへの貢献と、みんなの権利への闘い」に感謝を捧げました。ロンデリは以前、この団体の副代表でした。Arcigay Riminiは、イタリアもサンマリノのようになってほしいと希望しています。イタリアはシビルユニオンは認めたものの、昨年、ヘイトクライム禁止法が上院で却下されるなど、LGBTQを保護する法整備がまだ遅れているそうです。

 サンマリノは2004年まで同性愛が違法で、投獄される可能性もあったそうですが、パオロ・ロンデリの活動のおかげもあって、2016年にシビルユニオンを導入しています。これは同性婚への重要なステップです。サンマリノはパオロ・ロンデリが国家元首となったことで、イタリアより先に結婚の平等を達成し、世界で32番目の同性婚承認国になるかもしれません。


 なお、これをお読みの方は、もっと前からゲイやレズビアンの首相がいなかったっけ? 世界初じゃないんじゃない?と思われたのではないでしょうか。確かにこれまで、アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル首相やベルギーのエリオ・ディルポ首相、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相、アイルランドのレオ・バラッカー首相、セルビアのアナ・ブルナビッチ首相というゲイやレズビアンの首相(政府の長)が誕生してきました。しかし、国家元首は、例えばベルギーでは国王、ルクセンブルクでは大公ですし、アイスランドなどは首相の上に大統領がいます(象徴的な存在だったりします)。というわけで、国家元首としては、今回のパオロ・ロンデリ氏が世界初なのです。
 
 
参考記事:
World’s first LGBT+ head of state elected in San Marino, one of the oldest nations on earth(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2022/04/05/paolo-rondelli-san-marino-gay-lgbt-head-of-state/

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