g-lad xx

NEWS

ぷれいす東京が「サル痘」についてのオンライン学習会を緊急開催します

2022年05月31日

 5/19に「サル痘」の感染に性的指向は関係ありませんし、性感染症でもありませんというニュースでお伝えしたように※、米国や欧州で確認された「サル痘」患者のなかになぜか同性と性的接触を持つ人(Men who have sex with men=MSM)が目立っています。今後、日本のゲイ・バイセクシュアル男性の間でも感染が広がるのでは…との不安を覚える方もいらっしゃることでしょう。
 そんななか、ゲイ・バイセクシュアル男性への偏見などがないHIV陽性者支援団体・ぷれいす東京が「サル痘」についてのオンライン学習会を開催してくれることになりました。英国留学経験のある医師2人をお招きし、病気の基礎的なことから現時点での情報までお伺いするものです。聞き手はぷれいす東京の生島さんです。
 土曜の夜ということで都合の悪い方もいらっしゃるかと思いますが、アーカイブを残す方向で検討しているそうですので、もしアーカイブ視聴が可能になったら、ぜひ後日、ご覧になってみてください。
 
緊急開催:ぷれいす東京学習会『知っておこう「サル痘」』
日時:2022年6月4日(土)18時〜19時(予定)
配信方法:YouTube LIVE
情報提供:村松崇氏(東京医科大学病院 臨床検査医学科・医師)、仲村秀太氏(琉球大学医学部感染症・呼吸器・消化器内科学講座・医師)
聞き手:生島嗣(ぷれいす東京代表)




 
※このニュースをお届けした後も、サル痘に関する新しい情報がどんどん入ってきています。以下に少しお伝えします。

 5/27のForbes JAPAN「米サル痘患者が9人に拡大、「コミュニティーの広がり」を示唆」によると、米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は米国の7州で9人の感染者が確認されたと発表、すべての感染者がMSMであると述べており、感染者の中には最近、感染が広がっている地域を旅行した人もいれば、そうでない人もおり、これは一定レベルの「コミュニティの広がり」を示唆しているとして、「スティグマではなく、科学によって導かれる戦略」で対処することを呼びかけました。現在、感染者らが互いにどのような接触を持っていたかを把握するための積極的な調査を進めているそうです。

 5/30のCNN「サル痘、欧米など23カ国で257人の感染確認 WHO」によると、WHOは29日、サル痘を風土病とする地域以外の23カ国で計257人の感染が確認され、約120人が疑い例として報告されていると発表しました。これらの国で死亡例は報告されていません。「サル痘の集団発生が広域に分散して見つかった例は過去になく、世界的な公共保健上のリスクは中程度とされる。今後、幼い子どもや免疫不全患者など高リスクの集団に感染が広がり始めた場合は、公共保健上のリスクもさらに高まる恐れがある」とのことです。WHOは医療現場に対し、発疹や発熱などの症状がみられる患者には検査を実施するよう呼びかけました。一方、集団感染の大半は男性どうしの性交渉が発端とされることから、感染者への差別や偏見を極力防止する必要があると強調、「サル痘は性感染症ではないが、発疹中の性交渉でうつる可能性がある」とのことです。

 同日のナショナルジオグラフィック「サル痘について今わかっていること、感染経路や治療薬、歴史など」は、感染者の推移、感染経路、治療法やワクチン、感染者が増えている理由、ヒトの間で広まりやすくなるように進化した可能性など、サル痘について今わかっていることを総合的に解説しています。
 WHOの感染症疫学者マリア・バン・ケルクホーブ氏は、「今回の症例では(サル痘の)感染は、本当に密接な身体接触、つまり皮膚と皮膚との接触で起きています。それは新型コロナとある意味、大きく違います」「これは封じ込められる状況です」「感染者に投与する抗ウイルス薬候補も、感染リスクの高い人々、つまり感染者との濃厚接触者に投与するワクチンもあります。ワクチンは全員に必要なものではありません」と語っています。
 WHOのHIV・肝炎・性感染症プログラムの顧問であるアンディー・シール氏は「サル痘患者との濃厚接触があれば誰でも感染します」と述べています。感染者のウイルスを含む体液(唾液や膿)を介して広がるため、ウイルスを含む体液で汚染されたベッドシーツや衣服も感染源となりうると言います。
 サル痘ウイルスは新型コロナウイルスと異なり、DNAウイルスなので、変異しにくく、安定しており、変異株は発生しにくいそうです。
 サル痘患者が増加している大きな理由の1つは、天然痘の撲滅により、天然痘ワクチンの接種を受けていない人が多くなったこと、もう1つの理由は森林伐採によって野生動物と人間との距離が近くなったことが挙げられます。
 また、サル痘ウイルスが、ヒトの間で広まりやすくなるように進化した可能性について、「最近サル痘に感染したポルトガル、ベルギー、米国の3人の患者から採取したウイルスのゲノムを見るかぎり、伝播を容易にするような遺伝子の欠失や獲得があったことを示す証拠はない」といいます。しかし、ウイルスがまだ変化していなかったとしても、流行が長引けば変異の機会は増えると懸念されています。

 なお、6月のプライド月間を迎えるにあたり、「パレードへの参加を見送る必要はない」という素敵なニュースもありました。ロイター「LGBTQ+パレード参加見送りは不要、サル痘拡大でWHO専門家」によると、WHOのアンディー・シール氏は「プライドパレードへの参加を取りやめる必要はない」と語り、サル痘が異例の拡大を見せていることでパレードへの参加を控える理由にはならないとし、支援を示すことは重要だとの姿勢を示しました。パレードは屋外で行われるため、「感染の可能性が高まると懸念する理由は特にない」とのことです。そのうえで、現在見られる感染の多くはクラブなどの閉鎖された空間で行なわれたイベントに関連づけられていると述べました(少し補足すると、こちらで報じられたベルギー・アントワープの「ダークランド・フェスティバル」なども、いわゆるダークルームも備え付けられたパーティでしたので、クラブパーティ自体というよりは「密接な身体接触」で感染したのではないかと考えられます。PinkNews「Monkeypox: People with symptoms told not to have sex as 71 new UK cases confirmed」によると、英国保健安全保障庁は、感染拡大状況に鑑み、少しでもサル痘の症状・病変がある人は「密接な身体接触」を控えるようにと呼びかけているそうです)

INDEX

SCHEDULE