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「The Old Gays」というシニアのゲイの方たちのTikTokアカウントが話題です

2022年06月03日

 TikTokといえば若者に人気のソーシャルメディアですが、「ザ・オールド・ゲイズ(The Old Gays)」というシニアのゲイたちが素敵なパフォーマンスをしているアカウントが大人気になっているそうです(あの『ニューヨーク・タイムズ』紙も彼らのことを報じました)

@oldgays

GAY

original sound - Alex Ringler

 COURRiER Japonによると、「The Old Gays」のメンバーは、ジェシー(68)、ロバート(78)、ビル(78)、ミック(66)の4人。カリフォルニア州のプール付きの一軒家で共同生活を送っている彼らは、2020年12月からTikTokの投稿をスタートしました。人気曲や面白い曲に合わせて、ゲイであることを堂々と表現したり、プールサイドで「僕ってセクシー?」とパフォーマンスしたり、時には女装したり、クリスマスにはサンタ、イースターにはバニー、みたいな感じでいろんな衣装を身に着けたりダンスしたりしています。自分も(もし60、70まで生きられたら)こういうことをやりたい!と思うような、本当に素敵な投稿です。
 開設して1年半しか経っていないのに、フォロワー数は720万人を超えています。
 彼らの撮影や編集を行なっているのは、近所に住む35歳のフォトグラファー、ライアン・イェジェックという方で、数年前、彼らと「道で出くわせば立ち話をする間柄」になり、イェジェックが当時仕事をしていたゲイアプリのためのコンテンツ動画を撮影する際、彼らに参加してもらったのをきかっけに、彼ら4人のグランフルエンサーとしての才能に気づいたんだそう。イジェックは、「4人の魅力はもっと大きなプラットフォームでさらに開花する」と直感し、SNSへの動画投稿の話を持ちかけました。

 「The Old Gays」の人気の理由は、ゲイのおじいちゃんたちが頑張って着飾って踊ったりしている様子が微笑ましくてラブリーだから、というだけではなく、時にゲイとして年を重ねることや人生観などを語ることもあり、そういったコンテンツの人気も根強いようです。若いファンの中には、ゲイ解放運動やカウンターカルチャーを担い、エイズ禍という激動の時代を経験した彼らに敬意を覚えている方も少なくないそうです。
 メンバーのロバートは、「自分が70代になるなんて想像もしていなかった」と語っています。彼は1987年に受けたHIV検査で「自分が陽性だと知った」といいます。周りの友人たちが次々とこの世を去っていくのを目の当たりにし、「私もあと1、2年で死ぬものだと思い込んでいた」。そんな彼はいま、去ってしまった当時の友人たちの声を代弁する役割を自負しているそうです。

 彼らが注目を集めている理由はもう1つあり、それは、彼らが血縁や婚姻関係以外の、自分で選んだ「家族」と和気あいあいと暮らしていることです。
 メンバーのロバートとビルが出会ったのは1980年代。かれこれ知り合って40年以上になります。二人が現在の家の空き部屋を貸し出すことに決めたのは2013年。そこにミックが入居し、その翌年には、向かいの家にジェシーが引っ越してきました。以来、4人はお互いの面倒を見合う仲、いわば家族のような関係になったそうです。
 ロバートが足の手術を受ければ、ビルがの病院への送り迎えを行ない、ネット上の辛辣なコメントに誰かが心を痛めれば、お互い元気づけあうそうです。
 

 カリフォルニアには「トライアングル・スクエア」というLGBTQのためのシニアハウスもありますが、「The Old Gays」のみなさんのように、気のおけない友人たちとシェアハウスで暮らし、互いに助け合いながら、こうしてTikTokへの投稿を生き甲斐にして、ゲイテイストなシニアライフを送るというのも素敵な生き方ですよね。
 米国ではシニアハウスもいくつかありますし、「SAGE」という高齢のLGBTQを支援する団体がとても有名ですが、日本では高齢の当事者を支援する活動はそこまで活発ではなく、これから「ゲイとしてどう老いるか」というテーマがもっとクローズアップされていくと思いますが、そういうなかで、「The Old Gays」のことは、一つの希望となるような、生きる勇気がもらえるような、本当に素敵なニュースだったと感じます。
 

 
参考記事:
コンテンツ作りが老後の「新たな生きがい」
65歳以上のシニア・ティックトッカーが増加中 再生数が伸びている理由とは?(COURRiER Japon)
https://courrier.jp/news/archives/290206/

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