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「同性愛は依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」にkemioさん、Mattさんら多くの著名人が抗議しています 

2022年07月01日

 神道政治連盟が「同性愛は精神障害で依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」などと記した冊子を自民党系議連で配布というひどいニュースに対し、たくさんの著名人の方々が批判、抗議の声を上げています。
 

 モデルでタレントのkemio(けみお)さんはインスタグラムのストーリーズで「同性愛は依存症でもないし、自殺は本人のせいでもないよ」と抗議しました。「とても怖すぎる言葉が飛び交っている」「2022年になっていろんなところでLGBTQ+の事を目や耳にするかもしれないけど、まだまだたくさんの人が自分らしく生きることを拒絶されて社会の中で苦しい思いをして生活をしているの」「もし悲しい思いをしている人がいたら あなたは一人じゃないよ!大丈夫 だいすき!」
 
 元プロ野球巨人軍投手の桑田真澄氏の次男でアーティストのMattさんもインスタグラムのストーリーズで「同性愛が依存症って 何の話? この大馬鹿者」と激怒するコメントを投稿しました。

 モデルの三吉彩花さんもインスタグラムのストーリーズで「なぜこうなってしまう? もちろん様々な意見があるのが当たり前だと思うけど 決めつけるのは違うのではないでしょうか。まだこんなこと言ってる人がいるのかと思うと残念すぎる」と批判しました。

 こうした投稿を受けて、ネット上では「三吉彩花ちゃんがLGBTのこと発信してくれてめちゃめちゃ嬉しい。多種多様は素晴らしいけど人を傷つけるのは良くないって俺も思う」「kemioくんのストーリー見たけど、ガチドン引きであんな奴らが国束ねてるとか反吐」など、同調する声が多く集まったそうです。
 これを報じた『smartFLASH』の記事は、「冊子の中には「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」という記述もあった。少数者を正当化すべきでないという考え方こそが、社会を崩壊させることにつながる危険な考えではないだろうか」と締めくくられています。

 劇作家で演出家の鴻上尚史氏は「これが昭和ではなく、令和の今であることに暗澹たる気持ちになります。融和を説くのが宗教なのか、分断を加速するのが宗教なのか」とTwitterに投稿しました。
 
 作家の平野啓一郎氏もTwitterで「与党が恐ろしい極右政党の国。選挙でこの現実を直視した投票行動をすべき。マスコミは看過すべきじゃない」と訴えました。

 映画監督の想田和弘氏もTwitterで「酷すぎる。何十年も遅れた差別的で誤った認識に、絶句せざるを得ない。参加議員の見解をただすべき。政治に携わる資格が問われる」と批判しました。

 「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)では、大竹まことさん、室井佑月さん、青木理さんが「ありえない」と非難しました。青木さんが「いまだにまだこんな差別的文章を出しているのはね…。改めてゾッとするような話」と語り、大竹さんは「調べでクラスの20人の中に1人くらいの割合でLGBTQの人がもう存在してるって事もわかってきてるわけじゃない?それなのに、多様性も認めず、生産性を重視するみたいな?そうじゃないっていうのが、大人が話しててよくわからんでいるなーっていう気がする」と、室井さんも「これだけ差別やめろっていう風に世の中で広がってるのに、どうして未だにわからない人がいるのかと思うし、自分がそう思わなくても、そっとしておいてあげるっていう選択肢がある。誰かを攻撃的に叩いて自分の正当性を押し出すやり方は、一番やっちゃいけないこと。正しいことをしたいっていう思いなのかもしれないけど、攻撃対象がいる訴えっていうのは正しいことじゃない。そういうことが恥ずかしいって早く気づくべきなんだよね」と語りました。
 
 政権与党の多くの国会議員がLGBTQへの悪意に満ちた誤謬だらけの主張を議連で共有していたという事実(TBSによると、神道政治連盟の人が無理やり読ませたのではなく、司会の議員が「読んでほしい」と呼びかけたそうです)にショックを受けたり憤りを覚えた方は多いと思いますが、こうして多くの著名人の方が一緒に批判したり抗議の声を上げてくださっているのは、心強いことですね。

【追記】2022.7.4
 LGBT法連合会から抗議声明が発表されました。
「2022年6月13日、神道政治連盟国会議員懇談会は、同性愛について「回復治療の効果が期待できる」「依存症」や「精神障害」であり、「LGBTから抜け出すこと」などを論じた、事実誤認甚だしい差別言説が記載された論考を冊子として配布し、司会の議員から「読んで欲しい」と呼びかけたと報じられている。冊子の内容は、どのような党派の主張であれ、断じて容認できないものであり、当会としても最も強い抗議の意を表する。
 性的指向や性自認が、あたかも自分の意思で選択できるかのような言説や、医学的に治療可能であるかのような主張は、半世紀以上に亘り、世界の当事者コミュニティを苦しめてきたものであり、歴史的誤謬として記憶に刻まれている。今日、こうした言説自体が人権侵害であるのみならず、極めて非科学的な事実誤認であることは、科学的にも確立した知見である。
 ましてや、このような人権を蹂躙した非科学的な言説をもとに、政策を検討、議論することなど決して許されない。また、こうした言説が多様性に資するなどといった一部主張には、いささかも与することはできないことを改めて強く表明する。立法府をはじめ、あらゆる分野における多様性に関する議論は、人権の尊重を大前提としてなされるべきで、この認識は国際的にも共有されている。
 どのような言説であれ、性的指向や性自認による差別によって困難を抱える当事者を排除するものは容認できないが、今回の言説は、その中でも最も筆舌に尽くし難い、目を覆わんばかりの差別そのものであり、当事者に与える悪影響は計り知れない。当会は、このような言説の政策への影響を厳しく監視するとともに、今回露わになった根深い差別に対抗する決意を改めて表明する。このような状況の改善にこそ、差別禁止法が必要であるとの意を新たにし、当事者の尊厳と生活を守るべく全力で運動を展開していく所存である」

 7月5日には、ピンクドット沖縄からも抗議声明が出ました。
「一般社団法人ピンクドット沖縄は誰もが等しく平等に自分らしく生きられる社会を目指した団体です。
 今回報道にもあった神道政治連盟によるLGBTQを差別するような記述がある冊子を配布した件に関して一部の大学教授の科学的根拠もない非科学的な事実誤認を正当化するような原説に強く抗議致します。
 同性愛を「精神障害」や「依存症」と位置づけLGBTの自殺率が高いのは社会の差別が原因ではなく本人自身の問題だという誤った認識が議員連盟の参加者へ広がるのは世界的な世論に逆行する極めて危険な問題であります。 
 性的少数者のライフスタイルが正当化されたら家庭と社会を崩壊する社会問題だという考え方はむしろ逆であり、このような差別的な考え方が広がることが大きな社会問題であると考えます。
 上記差別的言説に抗議するとともに参加した国会議員が改めて性の多様性を理解尊重できるような取り組みを積極的に行うことを強く要請します。
 今回の言説は決して許されるものではなくLGBTQを理解促進、啓発する団体として正しい認識を広め当事者の尊厳と権利、生活を守り、お互いが尊重しあえる社会になるよう努めてまいります」

 
 
 なお、今回の件に関して7月4日(月)夜、「LGBTQ+当事者をとりまく日本の現状の問題を訴え」「私たちの切実な声を多くの人に届けるべく」『STAND FOR LGBTQ+ LIFE』と題した緊急抗議街宣が、有志によって開催されるそうです。
「(冊子に書かれていた内容は)指摘してもしきれないほどの間違った知識ばかりでした。国際水準で脱病理化が進み、国連憲章でも【あらゆる人】の人権を守ると定められているなか、日本に暮らす人々の生活を握る現政権が論理的にも科学的にも間違った認識のままでは、私たちLGBTQ+の人権は守られません」
「自身の人権が侵害され、パートナーとの関係が婚姻という形で認められず、性別変更要件も非常に過酷なものであるなか、自殺を選ぶLGBTQ+当事者が多くいるのが事実です。自殺率の高さを、人権を保障せず踏みにじってきた現政権が、都合よく解釈していると訴えます」
 


【追記】
 7月2日、「#自民党はLGBT差別冊子の内容を明確に否定してください」とのオンライン署名が立ち上げられました。
(1)自民党として、この冊子に書かれている内容を明確に否定し、差別をなくす姿勢を示してください。
(2)これ以上誤った認識に基づく差別的な考えを広めないために、冊子を回収してください。
と求めるものです。
 抗議集会に参加するのは難しい…という方にもご参加いただけます。
 昨年の与党国会議員によるLGBT差別発言の撤回と謝罪を求める署名は9万4千筆を超えました。この署名もきっと10万筆を超えるなどして大きな反響を呼び、これ以上差別的で誤った主張が広げられないよう、対応がなされるのではないでしょうか。





参考記事:
「同性愛は依存症」にkemio抗議 「そんなことない」「怖すぎる言葉が飛び交ってる」(J-CASTニュース)
https://mdpr.jp/other/3231622
自民党議員の会合で「同性愛は障害」文書を配布 三吉彩花、Mattら芸能人からも上がる批判の声(smartFLASH)
https://smart-flash.jp/entame/189500/
性的マイノリティーに対する差別的文書配布報道 Mattら各界著名人が激怒「この大馬鹿者」(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202207010000114.html
自民党の国会議員による差別的な内容の文書に、大竹らありえないと断言。室井「差別することは恥ずかしいって早く気づくべき」(文化放送)
https://www.joqr.co.jp/qr/article/57579/
「神道政治連盟」の会合で“同性愛は依存症”などと記した冊子配布 当事者反発(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/83810

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