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同性愛差別演説を繰り返した井上義行候補が当選、そして同氏が統一教会の信徒であることが判明しました

2022年07月14日

 6月22日、参院選の比例区に自民党から立候補した井上義行氏が出陣式で「2000年培った家族の形が外国からの勢力によって変えられようとしている」「同性愛とか…可哀想だと言って」「家族ができないで、家庭ができないで、子どもたちは本当に日本に本当に引き継いでいけるんですか」などと演説したことが波紋を呼びましたが(詳細はこちら)、その後の演説でも「同性婚には反対!」「どんな批判を受けようとも、戦わなければなりません」などと繰り返していたこと、選挙の結果、比例区で当選を果たしたことがわかりました。この差別発言について地元の神奈川新聞が取材しましたが、井上氏は「差別と受け取られるのであれば今後、国会議員として注意したい」などと述べているそうです(ハフポスト日本版BuzzFeedも見解を問い合わせていますが、回答がないそうです)

 それだけでなく、もっと恐ろしい、驚愕の事実が明らかになりました。井上氏は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の信徒であり、教団の全面支援を受けて当選したのです。ジャーナリストの横田一氏の取材・レポートによると、7月6日に開かれた同教団の集会で井上氏は幹部から「すでに信徒」と紹介され、「炎上上等」「同性婚反対を信念を持って言っている」と表明していました。
 
 横田一氏は7日、IWJという市民メディアに、また、12日にはニュースソクラというサイトにも寄稿し、Yahoo!にも掲載されました。
 横田氏は街宣でLGBT差別発言を繰り返していた井上候補を取材しており、同氏の事務所から7月6日、井上候補が埼玉県浦和市のさいたま市文化センターで話をするとの情報を得て、現地へ取材のために向かいました。が、そこで行なわれていたのは、世界平和統一家庭連合の「神日本第1地区責任者出発式」。旧統一教会の責任者(幹部)の集会でした。
 その旧統一教会の会合で、幹部から「すでに信徒」と紹介された井上候補は、「(『同性婚反対』と言ったことで)今、トレンド入りしました。そして私が演説しようとすると『差別するな』というプラカードを持って(抗議が)始まりましたよ」「またさらに大炎上になるかもしれないけれど、私は同性婚反対を、信念を持って言っていますから!」と表明し、会場が割れんばかりの拍手と声援に包まれたといいます。
 会場から出て来た井上候補に横田氏が「差別ではないか」と尋ねると、信徒を前に威勢よく「信念だ」と表明したにもかかわらず、「あなた方がねじ曲げている」との一点張りで、同性婚反対の理由も語らなかったそうです。

 統一教会は文鮮明教祖をメシアと崇める教団で、80年代、洗脳・マインドコントロールによって印鑑や壺を高額で売りつける「霊感商法」(1984年から86年上半期までの苦情相談件数は1万611件もあり、判明した被害額は40億円)が大きな社会問題となった反社会的カルト教団で(公安警察が「特異集団」として監視していました)、各地の大学では「原理研究会」や「カープ(CARP)」というサークルの形をとって勧誘活動が行なわれ、大学では入学シーズンに新入生を対象に警告書が配付されました。1992年には桜田淳子さんや山崎浩子さんも参加した合同結婚式のことが騒がれました。
 統一教会がアンチLGBTで、同性カップルの権利保障をどれだけ激しく阻害してきたかということについて、渡辺直弼さんという方が「アンチLGBTとしての統一教会」という原稿にまとめてくださっています。統一教会は同性婚を“家庭崩壊を企む文化共産主義”と定義して同性婚に対して猛烈な反対工作をしてきた教団で、2015年の渋谷区の同性パートナーシップ証明制度の発表の際も”学校教育や子供の躾にも悪影響”、”「普通の人々」を脅かす同性婚社会”などと書いたビラを撒き、街宣活動や本の出版も行なってきました。例えば市議会で「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと述べて制度導入に強硬に反対した鹿児島市の上田議員や、伊賀市のゲイカップルにいやがらせをしていた三重県の小林議員も過去に統一教会と関わりがあったことが指摘されています。今回の井上氏が同教団の信徒で、教団の支援を受けて選挙活動を行なっていたのであれば、同性愛差別演説を繰り返してきたのも頷けます。

【追記】2022.7.23
 トランスジェンダーの活動家・遠藤まめたさんが『論座』に「統一教会が繰り広げてきた反LGBT運動」という記事を寄稿しました。都城市の男女共同参画条例をめぐって、ネガティブキャンペーンが展開され、「性的指向に関わらず人権を尊重する」という条文から「性的指向」が外されてしまった例など、これまで各地の自治体で統一教会によるアンチLGBTQの運動が展開されてきた事例をまとめ、「反対運動を行っている相手がどのような手法をとってきたのか、まず知ることが重要だ」と訴えています。
 
 
 7月8日に起こった衝撃的な事件、そして山上容疑者が宗教団体に恨みを抱き、トップを殺害しようと考えたと供述して以降、統一教会のことがクローズアップされ、日々、たくさんの報道がなされています(情報量が多すぎて、なかなか追いつけませんが…)
 衝撃的なのは、同教団の教義で、アダム=韓国、エバ=日本とされ、“エバ国”である日本の支部が資金調達をし、“アダム国”である韓国の本部に捧げるという内容(詳細はこちら)。信者から集めた多額な資金が教団に流れており、その被害総額は1237億円にも上るということ。各種報道では、教団が信者に、保有する不動産を担保に借金をさせたり破産させたりしてまで献金させてきた実態が明るみに出てきています。山上容疑者の母親も保険金や不動産など億単位の献金をしており、山上容疑者の兄は自殺、本人も自殺未遂を起こしています。こうして家庭を壊され、苦しみ、教団に恨みをつのらせる信者二世は少なくありません(「同性婚は家庭を壊す」などと言っていますが、実際に家庭を壊しているのはどっちだ、という話です)
 そして、これまでタブー視され、マスコミがほとんど報じてこなかった政界(主に自民党)と統一教会との関わりが、次第に明らかになってきています(こちらこちら、そして北丸さんの記事など、続々と上がってきています)
 昨年、与野党合意を見た「LGBTへの差別は許されるものではない」と記された法案が(「道徳的に許されない」「種の保存に反する」などといった差別発言だけが撒き散らされて)お蔵入りになったことや、国会でどんなに同性婚の必要性を訴えても「我が国の家族のあり方の根幹に関わる」「極めて慎重な検討が必要」との答弁が繰り返されるだけで何も進まないということなども、統一教会の思想と無関係ではなかったのでは…(神政連の冊子の件なども、関係があるのかもしれません。アンチLGBTQという点では一致してますから)
 与党とカルト教団の蜜月ぶり(ズブズブの関係)が続々と報じられ、衝撃を禁じえませんが、事はLGBT施策に限りません。教団は政治権力の掌握を目指し、3桁もの信者を秘書として国会に送り込んできたそうで、このように危険なカルト教団が政権の中枢に入り込み、影響を与えていたというのは本当に深刻な事態です。大手メディアもこの件をもっと徹底的に追及し、国益のために広く国民に知らせていただきたいものです。
 
 

参考記事:
「LGBT差別」と炎上中の自民党・井上義行候補(全国比例)が、自民党の支持母体で、井上氏自身も信徒の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会合で「炎上上等」と表明!(IWJ)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508513
安倍元首相の秘書官・井上参院候補 旧統一教会集会で「信徒になった」と紹介される」(Yahoo! / ニュースソクラ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2230c5e416f888b1c6fa4cdcedda248a68aceb3
安倍元首相側近の井上義行氏が大炎上!旧統一教会の「全面支援」で当選していた(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308280

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