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京都の由緒ある劇場でドラァグクイーンが「歌とダンスと絵本の読み聞かせによるスーパーバラエティーパフォーマンス」を繰り広げました

2022年08月19日

 ロームシアター京都(旧京都会館)でドラァグクイーンの方たちが「歌とダンスと絵本の読み聞かせによるスーパーバラエティーパフォーマンス」を繰り広げたり、ミラーボールの下、子どもたちがクラブのように踊ったりする「A Club Party Institute in KYOTO 〜京都のクラブパーティーを体験しよう~」が開催されました。
 

 ロームシアター京都は2016年、50年以上にわたって愛されてきた京都会館がリニューアルしてオープンした劇場です。公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団が運営しています。
 そのロームシアター京都では2020年、ダムタイプが18年ぶりの新作パフォーマンス「2020」を披露(する予定でしたが、コロナ禍で映像配信となりました)、そして、昨年8月には「プレイ!シアター in Summer オープンデイ ダイアモンドの館 HOUSE OF DIAMOND」と銘打って、関西のユニット「Peek a Queen」や「DIAMONDS ARE FOREVER」のドラァグクイーンの方たちが「エロスとアガペを自由自在に支配する大人に育てるための子どもたちに向けての特別プログラム」として絵本の読み聞かせを行なうなどしており、たいへん先進的なプログラムを実現しています。
 
 今回行なわれた「A Club Party Institute in KYOTO 〜京都のクラブパーティーを体験しよう~」も昨年同様、「プレイ!シアター」の一環として開催されました。
 午前中は親子で参加できる体験イベント「キッズメトロ」。日本最長のドラァグクイーンパーティ「DIAMONDS ARE FOREVER」の開催地である「Club METRO」が協力し、ロームシアター京都の地下のシアターにクラブを再現。親子連れなど約200人が訪れ、初めは様子をうかがっていた子どもたちも、1970~80年代にヒット曲を連発したゴダイゴの「モンキー・マジック」など懐かしの名曲につられて大人たちが踊り出すと、跳びはねたり手をたたいたりしながら、一緒にダンスを楽しんだそうです。
 午後には、シモーヌ深雪さん、フランソワ・アルデンテさん、そよ風さん、アフリーダ・オー・ブラートさん、ショコラ・ド・ショコラさん、イリザ・ローションさんというドラァグクイーンのみなさんが、korさんのピアノ演奏など交え、絵本の読み聞かせをするという「スーパーバラエティーパフォーマンス」を繰り広げました(レオ・レオニ作の絵本『スイミー』などを読み聞かせたそうです)。子どもたちは「きれいだね」と声をあげ、大きな拍手を送っていたそうです。
(ロームシアター京都の公式Twitterにそのショーの様子の画像が上がっていますが、巨大なレインボーフラッグが会場いっぱいに広げられたり、クイーンのみなさんがいつもと全く変わらないメイクで登場していて、ファミリー向けにおとなしくしたりという遠慮が一切ない感じがとても素敵です)
 
 ロームシアター広報の松本花音(かのん)さんは「劇場だけでなく、クラブも音楽や舞台芸術を楽しむ場。街中のアートや文化に興味を持つきっかけになれば」と語っています。
 京都では90年代から(森美術館での展覧会でもフィーチャーされましたが)ダムタイプや、日本におけるドラァグクイーン・パーティの起源である「DIAMONDS ARE FOREVER」(そこから『ダイヤモンド・アワー』という伝説のドラァグクイーン・ムービーが生まれたり)、AIDS Poster Project(「CLUB LUV+」を開催)のような素晴らしいムーブメントがたくさん生まれてきましたが、それでも、2020年代にこうしてドラァグクイーンが公に「舞台芸術」のパフォーマーとして認められ、クラブカルチャーとともに子どもたちの教育のプログラムに組み込まれ、あまつさえレインボーフラッグが掲げられたことには、感慨を禁じえません(子どもだからと手加減せず、クラブやゲイカルチャーの側に子どもたちを招き入れるスタンスも素晴らしいです)
 ロームシアターでは今後も、僕らのほうがビックリするような先進的な企画が展開されるのではないでしょうか。楽しみにしましょう。



参考記事:
「クラブで踊ろう」親子で体験イベント ロームシアター京都(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ8F6TT5Q8FPLZB007.html

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