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シャロン・ストーンが90年代にHIV/エイズ研究を支援したことで「8年間、仕事がなかった」と明かしました

2022年12月17日

 『Harper's BAZAAR』誌によると、シャロン・ストーンは90年代、HIV/エイズ研究を支持し、エリザベス・テイラーの後を継いでamfAR※1のチャリティイベントに携わるようになったことで8年間も仕事を干されたそうです。「当時はエイズについて語ることが許されなかった」といいます。彼女は2020年、エリザベス・テイラー・エイズ基金レガシー・アワードを受賞しています。 

※1 amfAR(The Foundation for AIDS Research、エイズ研究のアメリカ財団)は1983年に設立されたエイズ研究、HIV予防、治療教育、およびエイズ関連の公共政策の提唱を支援することを目的とした国際的な非営利団体です。毎年カンヌ国際映画祭の期間中にファンドレイジング(寄付金集め)のために開催されるamfARチャリティ・ガラは、多くのセレブが出席する華やかなイベントとして有名で、ファッション界からも注目を集めます。(例えば2019年のamfARチャリティ・ガラの様子がこちら、2021年の様子はこちらに掲載されています)

 映画『氷の微笑』で有名なシャロン・ストーンは、私生活では大変な苦労をしていて、9度も流産を経験し、脳卒中で人生が一変したといいます。そうしたこともあり、90年代にはHIVに影響を受けている人々の窮状に関心を寄せていました。1995年、毎年カンヌ国際映画祭の期間中に行われるamfARチャリティガラで、友人であり当時会長だったエリザベス・テイラーの後を引き継ぐと「8年間、仕事がなかった」と明かしています。「当時はエイズについて語ることなど許されなかった」といい、当時の彼女のパブリシストには「これをやったら、あなたのキャリアは崩壊する」と警告されたそうです。「でも私は『わかっている。でも、私はやる。あなたは私を殺すつもりね』と言ったの。そうしたら彼女は『あなたがやらないなら、私はあなたを殺すわ』と答えたの」
 シャロンはエリザベス・テーラーの後継として3年間、会長を務めましたが、「抵抗や残酷さ、嫌悪、抑圧に直面するとは思っていなかった」そうです。それでも、エイズをめぐる偏見やスティグマを変えていこうとする気持ちは変わりませんでした。
「エイズ治療薬が鎮痛解熱剤のようにテレビで宣伝されるようになるまで25年間、私はその役にとどまった。私のキャリアは崩壊したわ。8年間、仕事をしなかった。もし、また『コンドーム』と言ったら、資金提供を止めると言われた。繰り返し脅され、私の生活は脅かされた。でも私はやり通すと決めたの」と『People』誌に語っています。
「残酷な行為も受けたけれど、まったく後悔はしていません。それより重要なのは、抗レトロウイルス薬が導入される前は4000万人が亡くなっていたけど、今は3700万人のHIV陽性者がちゃんと元気に生活していること」 

 シャロンは2014年には一晩で3500万ドルもの寄付金を集めたといいます。2020年にはエリザベス・テイラー・エイズ基金からレガシー・アワードを受賞しています。

 
 なお、シャロンの前にamFARで奮闘していたエリザベス・テイラーは1985年、ロック・ハドソンがエイズで亡くなった後、アカデミー授賞式でロック・ハドソンを追悼しながら(当時タブー視されていた)エイズについて初めて語った人です。周囲の人々は「君はそんなものに関わってはいけない。ゲイで、ダーティで、秘密にすべきものだ」と彼女に言いましたが、彼女は「だって、友達が亡くなったのよ!」と答えました。彼女はamFARに協力しながら、自身も「エリザベス・テイラー・エイズ基金」を設立し、HIV/エイズに関するチャリティ活動に情熱を注ぐセレブの第一人者となっていきました。
 1991年、フレディ・マーキュリー追悼コンサートの会場に現れたエリザベス・テイラーは、「心配しないで、歌わないから」と言って聴衆をなごませたあと、こんなスピーチをしました。「今宵はみんなでフレディを祝福する夜です。もう1つ、偉大なスターの命を道半ばにして奪ったものについて語る夜でもあります。こんなことは起こる必要はなかった。起こるべきじゃなかったんです。もう二度と、偉大な才能が失われる…こんな悲劇は繰り返したくない。みなさん、自分を見てください。自分がどんなにすばらしいかを。あなたは世界の未来です。輝く光。世界を担う希望です。自分を守るの。セックスをする時はいつだって必ずコンドームを使いましょう。ストレートのセックスでも、ゲイのセックスでも、バイセクシュアルのセックスでも同じことです。ドラッグをやるときは注射の回し打ちはだめ。自分をケアしましょう。自分を愛して。自分をリスペクトするの。世界はあなたに生きてほしいと望んでいる。あなたを愛しています」


 時代は変わり、治療法も進歩し、U=Uのことが明らかになり、PrEPという画期的な予防法も普及しつつあります。多くのHIV陽性者の方たちが亡くなることなくずっと元気に生きていけるようになりました。エリザベス・テイラーやシャロン・ストーンの善意・熱意もこうした進歩に貢献したはずです。


 

参考記事:
シャロン・ストーン、HIV/エイズ研究を支援したことで「キャリアが崩壊した」と語る(Harper's BAZAAR)
https://www.harpersbazaar.com/jp/celebrity/celebrity-news/a42210427/sharon-stone-says-aids-activism-destroyed-career-221212-lift1/

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