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ryuchellさんが高校時代にお母さんにカミングアウトしたときのことを語りました

2023年01月12日

 タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが10日、自身のYouTubeチャンネルに「『性』に悩んだ学生時代」という動画を投稿し、沖縄での学校時代の苦労や、母親にカミングアウトしたことについて語りました。



 ryuchellさんは昨年8月に離婚を発表し、その際、peco(ぺこ)さんが初めてお付き合いした女性だった(その前に男性とつきあっていた)と明かしていましたが、その後、LGBTQの方たちや、学校の教師からDMなどで相談の声が届いたそうです。そうした相談に答える意味もあり、今回「『性』に悩んだ学生時代」と題して、自身の沖縄での学生時代(中高生の頃)のことを語りました。
 上級生にすれ違いざまに「おかま」と言われたりしていたけど、気が強くて、自分が「プリンセス」だと思っていたので「だまれ!」みたいに言い返したりしていたと、また、体育祭で男子は上半身裸でと言われた時に先生に「無理です」と言って、認めてもらい、女子と一緒に見学できた、とても恵まれていた、と語り、「世の中は広いから、当事者の方も、自分の居場所を探すことができると思うんです。けど、学校は狭い、自分で選べない。だから先生たちは(当事者のことを理解して)配慮してほしい」と語りました。
 また、高校時代、お母さんに「男の子が好き」とカミングアウトしたところ、いい反応じゃなかった、「育て方を間違えた」と言われて「すごいショックだった」「自分が憎かった」と、「両親が離婚していて、母はほぼシングルで自分を育ててくれたのに、自分のセクシュアリティのことで苦しめてしまうのは悲しい」「お母さんに捨てられるかもしれない」と思い、すぐに「嘘だよ」ってごまかした、と語りました。その後、「付き合っていた、大好きだった人」ともいろいろあって、学校にも行きたくなくなった時期があったのですが、お母さんは学校で何があったのかも聞かず、海に連れて行ってくれて、「沖縄はとても狭い。とても暖かくていいところだけど、とても狭いところでもある。りゅうは東京に行きたいんでしょ? 海越えたらとっても広い世界がいっぱい待ってる。もっと進んだ考え方とか、もっといろんな人がいっぱいいるはず」と言ってくれたそうです。ryuchellさんは「この今見えてる学校や沖縄っていう世界が人生の全てじゃないと教えてくれた。お母さんみたいな人も世の中にはたくさんいることも教えてくれた。生きた時代が違うから、そういう人がいるのも当たり前。だから強くしてくれた」と泣きながら語りました。
 最後に、動画を観ている悩める当事者の方に向けて「あなたが今見ている世界が全てじゃない。大丈夫だよ、絶対。世の中は意外と広い。大丈夫。絶対に」と励ましました。
 思わずもらい泣きしてしまいそうになる、いい動画です。
 
 
 ryuchellさんは昨年8月にインスタで「実は僕自身は、“夫”らしく生きていかないといけないと自分に対して強く思ってしまっていました。”夫”であることは正真正銘の“男”でないといけないと。父親であることは心の底から誇りに思えるのに、自分で自分を縛りつけてしまっていたせいで、“夫”であることには、つらさを感じてしまうようになりました」と語り、pecoさんとの結婚を解消し、新しいパートナーシップ(家族)のかたちに移行したと公表しました。別の箇所では「女性を好きになることは、僕の人生の中で、初めての事でした」とも語っていて(「以前は男性を好きになっていた」とも読めます)、世間では(ジェンダーアイデンティティなのか性的指向なのかは定かではないものの)クィアであることのカミングアウトであると受け取られました。これに対し、SNS上では「子どもを作っておきながら無責任」「LGBTQならそうだとぺこちゃんに言うべきだった」「妻を愛せなくなったから離婚? 男は勝手だね」といった批判の声も上がりました。
 その後、ryuchellさんとpecoさんは『AERA』のロングインタビューに応じました。ryuchellさんは2021年に入ってから「“本当の自分”と、“本当の自分を隠すryuchell”との間に、少しずつ溝ができてしまった」といい、車が運転できなくなったり、プチパニックになったりしたそうで、pecoさんにも「いつもと違う」「おかしい」と言われ、とても苦しかったと明かしました。「僕も墓場まで持っていくつもりだったし、絶対に言いたくなかったけど、「このままじゃ壊れる」と思いました。言わないほうが、本当に自分が終わってしまうと思うようになっていました」
 年末頃には「限界だ」と感じ、2022年の初めに、本当の自分の気持ちを伝えたそうです。pecoさんは「いま勇気をもって話してくれてありがとう」「生きててくれてありがとう」と思ったそうです。「本当に壊れかけていたので、そこまで行く前に話してくれてよかったです」「本当に墓場まで持っていこうとして、一人で抱え続けて行ったと想像すると、ゾッとするし、勇気を出して伝えてくれてありがとう、と本気で思いました」。そして、「今まで辛かったね」と言って、泣きながら抱きしめてくれたそうです。pecoさんは「私は大切な息子が毎日元気で、何事もなく笑顔で過ごしてくれていること、大切なryuchellが生きて、息子の父親として一緒にいてくれること、今まで何ら変わりのないママ・パパ・息子という形のまま、これからもいてくれること、それだけで私は幸せです」とも語っています。
 「ほかに好きな人ができたのではないか」という声も上がったことに対し、ryuchellさんは「そういうわけではないです」と否定し、「それこそ皆さんが言ってくださったことや、どういうことなの?という疑問は理解できます。逆の立場であれば、「どういうことか詳しく教えてくれへん?」みたいに絶対になると思う。ただ、私たち比嘉家の新しい家族の形はこれです、ここから新しくやっていきます、というだけの話だと思っています」と語っています。
 今回の発表は「する必要がなかったのでは」という声に対して、ryuchellさんは「「新しい家族の形にします」となったときに、それが外に伝わって、その理由について憶測であることないこと言われるのであれば、ちゃんと理由を言いたいと思いました」と、pecoさんは「息子に誇りをもって話せることは世間に言っていいと思う」「ryuchellの本当の自分については、私は一切恥ずかしいとか、「なにそれ」とも思わない。そこはryuchellには私には計り知れない勇気や恐怖があったと思うけど、それを言うことで勇気をもらえる人もいると思いました」と語っています。
 4歳の息子さんには伝えましたか?という質問に対して、pecoさんは「発表の前日に伝えました」と答えました。「ウソ偽りなく、わかりやすく伝えました。お家に『いろいろ いろんな かぞくの ほん』という絵本があって、それがママとママがいるお家とか、パパだけのお家とか、おじいちゃんとおばあちゃんが親代わりのお家とか色んな家族が載っているんですが、それを見ながら説明しました」今回のりゅうちぇるとの話がある前から、もともと息子に男の子でも男の子のことを好きな人もいるんだよ、とか、女の子だけど心は男の子がいるんだよ、という話は息子にしていました」「「男の子だけど男の子を好きな人がいることについてどう思う?」と聞いたら、「ぼくはハッピーだよ」って言ってくれて。100%わかっていないにしろ、4歳なので「ちょっと変だよ」とか言われてもおかしくないと思っていたけど、そう言ってくれたことはすごく嬉しかった」「そこで「ダダ(パパ)はそういう人なんだよ」という話をして、「だけど、何より私たちが伝えたいのは、あたなは紛れもなく愛し合ってできた子なんだよ」ということも伝えました」。ryuchellさんは、「正直、この話はいま話したから終わりではなく、ずっと話さないといけないと考えています。4歳なので、まだ世の中をわかっていないところが多いです。「ハッピー」という心が4歳のときにあることはすごく嬉しいことだけど、どんどん考えや環境は変わっていくだろうし。その都度その都度、息子と向き合って話しあっていかなくてはいけないと思っています」と語りました。
 モヤモヤを感じたり批判的なコメントを上げていたような方もきっと納得がいくのでは?と思えるような、素敵なお話でした。
 
 
 世の中には、異性と結婚してから自身の本当の性的指向や性自認に気づく方もたくさんいます(このサイトを読んでくださっている方たちのなかにも、そういう経験をした方もいらっしゃると思います)。ある時期には異性を、ある時期には同性を好きになることもあります。もし異性婚してお子さんも生まれてから、本当の自分に気づいたとき、夫婦で話し合って離婚を選択する方たちもいれば、そのままの家族であり続ける方たちもいます(エリン・マクレディさん&緑さんの家族のように)。どれが正しいとかではなく、それぞれの家族で話し合って決めることであり、他人がとやかく言うことではないですよね。
 セクシュアリティとはそういうものなのだ(もっと言うと、人によって一人ひとり違うし、多様なのだ)ということ、典型的な異性婚夫婦であっても育児放棄したり我が子を虐待したりという方たちもいるなかで、本当に愛情をもって子育てをするのであれば、同性カップルであっても、ryuchellさん&pecoさんのような親であっても、多様な家族のありようがあっていいということを世間の方たちにもっと知っていただきたいですね。
 
 

参考記事:
ryuchell、高校時代にカミングアウト そのとき母は…(RBB TODAY)
https://www.rbbtoday.com/article/2023/01/11/205411.html
ryuchell涙 高校生の時に「男性が好き」とカミングアウトで母親から言われた言葉に「ウソだよ…」(スポニチ)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/01/10/kiji/20230110s00041000613000c.html

【夫婦が告白】「ryuchellが壊れかけていた」pecoが婚姻解消の経緯を吐露(AERA)
https://dot.asahi.com/dot/2022091000019.html
【夫婦が告白】4歳息子「ぼくはハッピーだよ」夫婦関係解消のryuchellとpecoを受け止めた(AERA)
https://dot.asahi.com/dot/2022091000021.html

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