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【サッカー女子W杯】カムアウトした選手が過去最多を記録し、少なくとも94名に上ることが明らかになりました

2023年07月20日

 7月20日にオーストラリアとニュージーランドで開幕するFIFAサッカー・女子ワールドカップに参加するLGBTQの選手の数が、過去最多を記録しています。

 Outsportsによると、前回2019年大会は40人でしたが、今大会はその倍以上で、少なくとも94名に上ります。そのほとんどが北米や南米、欧州、オーストラリアとニュージーランドの選手で(アジアでもフィリピンの3選手がカムアウトしています)、参加チームの3分の2以上で選手がカムアウトしています。その中には今大会が最後のワールドカップだと宣言している米国のミーガン・ラピノー選手※や、ブラジル代表でFIFA女子最優秀選手賞を6度受賞したマルタ選手も含まれます。また、8つのチームのキャプテン、2つのチームのコーチがカムアウトしているそうです。

 Outsportsによると、2018年の男子サッカー・ワールドカップでは、カムアウトした選手は一人もいませんでした。Outsports創設者であるサイド・ジーグラー氏は、なぜ男女でこのような違いが生まれるのかについて、その要因の一つは、高いレベルでサッカーをしている女性の性的マイノリティの数が、同じようにプレーしている男性の性的マイノリティの数よりも単純に多いためだと話しています。「これはバスケットボール、アイスホッケー、そしてほとんどの他のスポーツにも当てはまります。WNBA(全米女子バスケットボール)では、25%以上の選手がカムアウトしています。公表している選手が多いことが、より多くの女性がカムアウトしやすい環境を作り出しています」

 2019年の『ガーディアン』紙の記事によると、多くのLGBTQアスリートは、チームやスポンサー、リーグからの拒絶や不当な扱いを恐れてカムアウトできずにいます。にもかかわらず、FIFAはLGBTQを差別や抑圧する法律のある国でワールドカップを開催して、ファンやアスリートらから批判されてきました。2018年男子大会の開催地ロシアは、公に同性愛について語ることを規制する「同性愛プロパガンダ禁止法」がありましたし、2022年大会のカタールでは同性間の性行為が違法で、禁固刑に処せられる危険もありました。
 オープンリー・ゲイのロビー・ロジャーズ選手は2015年、ロシアとカタールでの開催決定について「行動が言葉よりも雄弁であるのなら、FIFAが同性愛者のアスリートに向けたメッセージは悲痛なほど明確です。彼らは私たちをサポートしていないだけでなく、我々の命には価値がないとしました」と、『USAトゥデイ』紙に寄稿しています。「ワールドカップへの出場を望む同性愛者のアメリカ代表にとって、性的指向をオープンにすれば逮捕される恐れのある国に足を踏み入れるということになります」
 FIFAはさらに、昨年のカタール大会でレインボーカラーの腕章の着用を禁じており、そのことも批判の的になりました。
 今大会ではレインボーカラーの腕章の着用は許可するそうです。
 『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は3月、カタールでの腕章禁止について「私たちはみんな学んできた」と述べました。「今回、我々はキャプテンや連盟、選手、FIFAなど関係者全員との対話を模索し、異なる感受性を捉え、他の人を傷つけることなく、誰かの立場や価値観、感情をポジティブな方法で表現するために何ができるかを考えます」


 
※ミーガン・ラピノー選手は8日、今季限りでの引退をSNSで発表しました。「この美しいスポーツをプレーするのは今季で最後にするという決断を下したことに、非常に穏やかな気持ちと感謝の念を抱いています」「サッカーがこんなふうに私の人生を形づくり、変えてくれるとは想像もしていませんでした」 
 ラピノー選手は女子W杯で2回の優勝を誇り、今大会でも代表メンバーに選出されています。2012年ロンドン五輪では金メダルを獲得し、17年の代表キャリアで199キャップを刻んでいます。2019年にはFIFAの年間最優秀選手に選出されました。
 2012年にレズビアンであることをカムアウトし、LGBTQの権利や人種差別、男女間賃金の不平等といった社会課題に取り組んできました(その訴えが認められ、今大会の女子W杯の賞金総額は前回から4倍近くもアップしました)。2019年の女子サッカーW杯でキャプテンとして米国を優勝に導いた際の表彰セレモニーでは「このチームにはピンクの髪もタトゥーもゲイもいる」「同性愛者なしのチームで優勝なんてできない」とスピーチしました。
 昨年、米国の文民に贈られる賞として最高の栄誉である大統領自由勲章を授与されました。サッカー選手としては初めて、女子スポーツ選手や指導者としては6人目の快挙でした。
 
 


参考記事:
At least 94 out LGBTQ athletes competing in the 2023 Women’s World Cup, a record(Outsports)
https://www.outsports.com/2023/7/11/23787885/world-cup-women-gay-lesbian-lgbtq-usa-australia-brazil
サッカー女子ワールドカップ、LGBTQの選手数が過去最高に。前回大会から倍以上の増加(ハフポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/openly-lgbtq-athletes-2023-womens-world-cup_jp_64b20619e4b038c60cc4a267

サッカー女子米代表のスター、ラピノーが今季限りでの引退発表(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3471749
大自在(7月16日)メーガン・ラピノー(静岡新聞)
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1278780.html

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